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〘321㌻〙

第1章

1 是これはモーセがヨルダンの此旁こなたの曠野あらの紅海こうかいに對たいする平󠄃野ひらのに在ありてバラン、トベル、ラバン、ハゼロテ、デザハブの間あひだにてイスラエルの一切すべての人ひとに吿つげたる言語ことばなり 2 ホレブよりセイル山やまの路みちを經へてカデシバルネアに至いたるには十一日路にちぢあり 3 第だい四十年ねんの十一月󠄃ぐわつにいたりその月󠄃つきの一日ついたちにモーセはイスラエルの子孫ひと〴〵にむかひてヱホバが彼等かれらのために自己おのれに授さづけたまひし命令めいれいを悉こと〴〵く吿つげたり 4 是これはモーセがヘシボンに住󠄃すめるアモリ人びとの王わうシホン及およびエデレイのアシタロテに住󠄃すめるバシヤンの王わうオグを殺ころしたる後のちなりき 5 即すなはちモーセ、ヨルダンの此旁こなたなるモアブの地ちにおいてこの律法おきてを解明ときあかすことを爲なし始はじめたり曰いはく 6 我われらの神かみヱホバ、ホレブにて我われらに吿つげて言いひたまへり汝なんぢらはこの山やまに居をること日ひすでに久ひさし 7 汝なんぢら身みを轉めぐらして途󠄃みちに進󠄃すゝみアモリ人びとの山やまに往󠄃ゆき其それに鄰󠄄となれる處々ところ〴〵に往󠄃ゆき平󠄃野ひらの 山地やまち 窪地くぼち 南みなみの地ち 海邊󠄎うみべ カナン人びとの地ちレバノンおよび大河おほかはユフラテ河がはに到いたれ 8 我われこの地ちを汝なんぢらの前󠄃まへに置おけり入いりてこの地ちを獲えよ是これはヱホバが汝なんぢらの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかひて之これを彼かれらとその後のちの子孫しそんに與あたへんと言いひたまひし者ものなりと

9 彼時かのとき我われなんぢらに語かたりて言いへり我われは一人ひとりにては汝なんぢらをわが任にとして負󠄅おふことあたはず 10 汝なんぢらの神かみヱホバ汝なんぢらを衆多おほくならしめたまひたれば汝なんぢら今日こんにちは天空󠄃そらの星ほしのごとくに衆おほし 11 願ねがはくは汝なんぢらの先祖せんぞの神かみヱホバ汝なんぢらをして今いまあるよりは千倍ばいも多おほくならしめ又󠄂またなんぢらに約束やくそくせしごとく汝なんぢらを祝福めぐみたまはんことを 12 我われ一人ひとりにては爭いかで汝なんぢらを吾わが任にとなしまた汝なんぢらの重負󠄅おもにと汝なんぢらの爭競あらそひに當あたることを得えんや 13 汝なんぢらの支󠄂派󠄄わかれの中うちより智慧󠄄ちゑあり知識ちしきありて人ひとに識しられたる人々ひと〴〵を簡えらべ我われこれを汝なんぢらの首長をさとなさんと 14 時ときに汝なんぢら答こたへて言いへり汝なんぢが言いふところの事ことを爲なすは善よしと
 321㌻ 
15 是こゝをもて我われ汝なんぢらの支󠄂派󠄄わかれの首長をさなる智慧󠄄ちゑありて人ひとに知しられたる者等ものどもを取とりて汝なんぢらの首長をさとなせり即すなはち之これをもて千人にんの長かしら百人にんの長かしら五十人にんの長かしら十人にんの長かしらとなしまた汝なんぢらの支󠄂派󠄄わかれの中うちの官吏󠄄つかさびととなせり 16 また彼時かのときに我われ汝なんぢらの士師さばきびと等たちに命めいじて言いへり汝なんぢらその兄弟きやうだいの中うちの訴訟󠄃うつたへを聽きき此人このひとと彼人かのひとの間あひだを正たゞしく審判󠄄さばくべし他國よそぐにの人ひとにおいても然しかり 17 汝なんぢら人ひとを視みて審判󠄄さばきすべからず小ちひさき者ものにも大おほいなる者ものにも聽きくべし人ひとの面おもてを懼おそるべからず審判󠄄さばきは神かみの事ことなればなり汝なんぢらにおいて斷定さだめがたき事ことは我われに持もちきたれ我われこれを聽きかん〘245㌻〙 18 我われかの時ときに汝なんぢらの爲なすべき事ことをことごとく汝なんぢらに命めいじたりき

19 我等われらの神かみヱホバの我等われらに命めいじたまひしごとくに我等われらはホレブより出いでたち汝なんぢらが見み知しれるかの大おほいなる畏おそろしき曠野あらのを通󠄃とほりアモリ人びとの山やまを指さしてガデシバルネアに至いたれり 20 時ときに我われなんぢらに言いへり汝なんぢらは我われらの神かみヱホバの我われらに與あたへたまへるアモリ人びとの山やまに至いたれり 21 視みよ汝なんぢの神かみヱホバこの地ちを汝なんぢの前󠄃まへに置おきたまふ汝なんぢの先祖せんぞの神かみヱホバの汝なんぢに言いひたまふごとく上のぼり往󠄃ゆきてこれを獲えよ懼おそるゝなかれ猶󠄅豫ためらふなかれと 22 汝なんぢらみな我われに近󠄃ちかよりて言いへり我等われら人ひとを我われらの先さきに遣󠄃つかはしてその地ちを伺察うかゞはしめ彼かれらをして返󠄄かへりて何なにの途󠄃みちより上のぼるべきか何なにの邑々まち〳〵に入いるべきかを我われらに吿つげしめんと 23 この言ことばわが目めに善よしと見みえければ我われ汝なんぢらの中うちより十二人にんの者ものを取とれり即すなはち一ひとつの支󠄂派󠄄わかれより一人ひとり宛づゝなりき 24 彼等かれら前󠄃すゝみゆきて山やまに登のぼりエシコルの谷たににいたり之これを伺うかゞひ 25 その地ちの菓物くだものを手てに取とりてわれらの許もとに持もちくだり我われらに復命かへりごとして言いへり我等われらの神かみヱホバの我等われらに與あたへたまへる地ちは善よき地ちなりと

26 然しかるに汝等なんぢらは上のぼり往󠄃ゆくことを好このまずして汝なんぢらの神かみヱホバの命令めいれいに背そむけり 27 すなはち汝なんぢらその天てん幕まくにて呟つぶやきて言いへりヱホバわれらを惡にくむが故ゆゑに我われらをアモリ人びとの手てに付わたして滅ほろぼさんとてエジプトの國くにより我われらを導󠄃みちびき出いだせり 28 我等われらは何方いづくに往󠄃ゆくべきや我われらの兄弟きやうだい等たちは言いふその民たみは我われらよりも大おほいにして身長たけたかく邑々まち〳〵は大おほいにしてその石垣いしがきは天てんに達󠄃いたる我われらまたアナクの子孫しそんを其處そこに見みたりと斯かくいひて我われらの氣きを挫くじけりと
 322㌻ 
29 時ときに我われなんぢらに言いへり怖おづる勿なかれ懼おそるゝなかれ 30 汝なんぢらに先さきだち行ゆきたまふ汝なんぢらの神かみヱホバ、エジプトにおいて汝なんぢらの爲ために汝なんぢらの目めの前󠄃まへにて諸もろ〳〵の事ことをなしたまひし如ごとく今いままた汝なんぢらのために戰たゝかひたまはん 31 曠野あらのにおいては汝なんぢまた汝なんぢの神かみヱホバが人ひとのその子こを抱󠄃いだくが如ごとくに汝なんぢを抱󠄃いだきたまひしを見みたり汝なんぢらが此處このところにいたるまでその路みちすがら常つねに然しかありしなりと 32 この言ことをなせども汝なんぢらはなほその神かみヱホバを信しんぜざりき 33 ヱホバは途󠄃みちにありては汝なんぢらに先さきだちゆきて汝なんぢらが營えいを張はるべき處ところを尋󠄃たづね夜よるは火ひの中うちにあり晝ひるは雲くもの中うちにありて汝なんぢらの行ゆくべき途󠄃みちを示しめしたまへる者ものなり

34 ヱホバ汝なんぢらの言語ことばの聲こゑを聞きゝて怒いかり誓ちかひて言いひたまひけらく 35 この惡あしき代よの人々ひと〴〵の中うちには我わが汝なんぢらの先祖せんぞ等たちに與あたへんと誓ちかひしかの善よき地ちを見みる者もの一人ひとりも有󠄃あらざるべし〘246㌻〙 36 只たゞヱフンネの子こカルブのみ之これを見みることを得えん彼かれが踐ふみたりし地ちをもて我われかれとかれの子孫しそんに與あたふべし其そは彼かれまったくヱホバに從したがひたればなり 37 ヱホバまた汝なんぢらの故ゆゑをもて我われをも怒いかりて言いひたまへり汝なんぢもまた彼處かしこに入いることを得えず 38 汝なんぢの前󠄃まへに侍はべるヌンの子こヨシユアかしこに入いるべし彼かれに力ちからをつけよ彼かれイスラエルをして之これを獲えしむべし 39 また汝等なんぢらが掠かすめられんと言いひたりしその汝なんぢらの子女こどもおよび當日そのひになほ善よし惡あしを辨わきまへざりし汝なんぢらの幼兒をさなご等ども彼かれら即すなはちかしこに入いるべし我われこれを彼かれらに與あたへて獲えさすべし 40 汝なんぢらは身みをめぐらし紅海こうかいの途󠄃みちより曠野あらのに進󠄃すゝみいるべしと

41 然しかるに汝なんぢら對こたへて我われにいへり我等われらはヱホバにむかひて罪つみを犯をかせり然さればわれらの神かみヱホバの凡すべて我われらに命めいじたまへるがごとく我われら上のぼりゆきて戰たゝかはんと汝なんぢらおのおの武器ぶきを身みに帶おびて輕々かる〴〵しく山やまに登のぼらんとせり 42 時ときにヱホバわれに言いひたまひけるは汝なんぢかれらに言いへ汝なんぢら上のぼりゆくなかれ又󠄂また戰たゝかふなかれ我われなんぢらの中間うちに居をらざればなり汝なんぢら恐おそらくはその敵てきに打敗うちやぶられんと
 323㌻ 
43 われかく汝なんぢらに吿つげたるに汝なんぢら聽きかずしてヱホバの命令めいれいに背そむき自檀󠄂ほしいまゝに山やまに登のぼりたりしが 44 その山やまに住󠄃すめるアモリ人びと汝等なんぢらにむかひて出いできたり蜂はちの驅おふがごとくに汝なんぢらを驅おひちらしなんぢらをセイルに打敗うちやぶりてホルマにおよべり 45 斯かゝりしかばなんぢら還󠄃かへりきたりてヱホバの前󠄃まへに哭なきたりしがヱホバなんぢらの聲こゑを聽きゝたまはず汝なんぢらに耳みゝを傾かたむけたまはざりき 46 是こゝをもてなんぢらは日ひ久ひさしくカデシに居をれりなんぢらが其處そこに居をりたる日ひ數󠄄かずのごとし

第2章

1 斯かくて我われらは身みを轉めぐらしヱホバの我われに命めいじたまへる如ごとく紅海こうかいの途󠄃みちより曠野あらのに進󠄃すゝみいりて日ひ久ひさしくセイル山やまを行あゆめぐりたりしが 2 ヱホバつひに我われに吿つげて言いひたまはく 3 汝等なんぢらはこの山やまを行ゆきめぐること旣󠄁すでに久ひさし今いまよりは北きたに轉めぐりて進󠄃すゝめ 4 汝なんぢまた民たみに命めいじて言いへ汝なんぢらはセイルに住󠄃すめるヱサウの子孫しそんなる汝なんぢらの兄弟きやうだいの境界さかひを通󠄃とほらんとす彼かれらはなんぢらを懼おそれん汝なんぢら深ふかく自みづから謹つゝしむべし 5 彼かれらを攻せむる勿なかれ彼かれらの地ちは足あしの跖うらに踐ふむほどをも汝なんぢらに與あたへじ其そは我われセイル山やまをエサウにあたへて產業さんげふとなさしめたればなり 6 汝なんぢら金かねをもて彼かれらより食󠄃物くひものを買かひて食󠄃くらひまた金かねをもて彼かれらより水みづをもとめて飮のめ 7 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが手てに作なすところの諸もろ〳〵の事ことにおいて汝なんぢをめぐみ汝なんぢがこの大おほいなる曠野あらのを通󠄃とほるを看みそなはしたまへり汝なんぢの神かみヱホバこの四十年ねんのあひだ汝なんぢとともに在いましたれば汝なんぢは乏とぼしき所󠄃ところあらざりしなり 8 我われらつひにセイル山やまに住󠄃すめるエサウの子孫しそんなる我われらの兄弟きやうだいを離はなれてアラバの路みちを通󠄃とほりエラテとエジオンゲベルを經へて   轉めぐりてモアブの曠野あらのの路みちに進󠄃すゝみいれり〘247㌻〙

9 時ときにヱホバわれに言いひたまひけるはモアブ人びとをなやますなかれまた之これを攻せめて戰たゝかふなかれ彼かれらの地ちをば我われなんぢらの產業さんげふに與あたへじ其そは我われロトの子孫しそんにアルをあたへて產業さんげふとなさしめたればなりと
 324㌻ 
10 (昔むかしエミ人びとこゝに住󠄃すめり是民このたみは大おほいにして數󠄄かず多おほくアナク人びとのごとくに身長たけ高たかかり 11 アナク人びととおなじくレパイムと呼よびなされたりしがモアブ人びとはこれをエミ人びととよべり 12 ホリ人びともまた昔むかしセイルに住󠄃すみをりしがエサウの子孫しそんこれを逐󠄃おひ滅ほろぼし之これにかはりて其處そこに住󠄃すめりイスラエルがヱホバに賜たまはりしその產業さんげふの地ちになせるが如ごとし) 13 茲こゝに汝等なんぢら今いまたちあがりゼレデ川がはを渉わたれとありければ我われらすなはちゼレデ川がはを渉わたれり 14 カデシバルネアを出いでてよりゼレデ川がはを渉わたるまでの間あひだの日ひは三十八年ねんにしてその代よの軍人いくさびとはみな亡うせ果はてて營えい中ちうにあらずなりぬヱホバのかれらに誓ちかひたまひし如ごとし 15 誠󠄃まことにヱホバ手てをもて之これを攻せめこれを營えい中ちうより滅ほろぼしたまひければ終󠄃つひにみな亡うせはてたり

16 かく軍人いくさびとみなその民たみの中うちより死亡しにうせたる時ときにあたりて 17 ヱホバ我われに吿つげて言いひたまひけらく 18 汝なんぢは今日けふモアブの境さかひなるアルを通󠄃とほらんとす 19 汝なんぢアンモンの子孫しそんに近󠄃ちかづく時ときに之これをなやます勿なかれ之これを攻せむるなかれアンモンの子孫しそんの地ちは我われこれを汝なんぢらの產業さんげふに與あたへじ其そは我われこれをロトの子孫しそんにあたへて產業さんげふとなさしめたればなり 20 (是これもまたレパイムの國くにとよびなされたり昔むかしレパイムこゝに住󠄃すみゐたればなりアンモン人びとはかれらをザムズミ人びととよべり 21 この民たみは大おほいにして數󠄄かず多おほくアナク人びとのごとくに身長たけたかかりしがヱホバ、アンモン人びとの前󠄃まへに之これを滅ほろぼしたまひたればアンモン人びとこれを逐󠄃おひはらひて之これにかはりて住󠄃すめり 22 その事ことはセイルに住󠄃すめるエサウの子孫しそんの前󠄃まへにホリ人びとを滅ほろぼしたまひしが如ごとし彼かれらはホリ人びとを逐󠄃おひはらひ之これにかはりて今日こんにちまで其處そこに住󠄃すみをるなり 23 カフトルより出いでたるカフトリ人びとはまたかの村々むら〳〵に住󠄃すまひてガザにまで到いたるところのアビ人びとを滅ほろぼし之これにかはりて其處そこに居をる) 24 汝なんぢら起󠄃たちあがり進󠄃すゝみてアルノン河がはを渉わたれ我われヘシボンの王わうアモリ人びとシホンとこれが國くにを汝なんぢらの手てに付わたす進󠄃すゝんで之これを獲えよ彼かれを攻せめて戰たゝかへ
 325㌻ 
25 今日けふ我われ一いつ天てん下かの國人くにびとに汝なんぢを畏おぢ汝なんぢを懼おそれしめん彼かれらは汝なんぢの名聲きこえを聞きゝて慄ふるひ汝なんぢの爲ために心こゝろを苦くるしめんと〘248㌻〙

26 茲こゝに我われケデモテの曠野あらのよりヘシボンの王わうシホンに使󠄃者つかひをおくり和好やはらぎの言ことばを述󠄃のべしめたり云いはく 27 我われに汝なんぢの國くにを通󠄃とほらしめよ我われは大路おほぢを通󠄃とほりて行ゆかん右みぎにも左ひだりにも轉まがらじ 28 汝なんぢ金かねをとりて食󠄃物くひものを我われに賣うりて食󠄃くらはせ金かねをとりて水みづを我われにあたへて飮のませよ我われはたゞ徒步かちにて通󠄃とほらんのみ 29 セイルに住󠄃すめるエサウの子孫しそんとアルに住󠄃すめるモアブ人びととが我われになしたる如ごとくせよ然しかせば我われはヨルダンを濟わたりて我われらの神かみヱホバの我われらに賜たまひし地ちにいたらんと 30 然しかるにヘシボンの王わうシホンは我われらの通󠄃とほることを容ゆるさゞりき是こは汝なんぢの神かみヱホバ彼かれを汝なんぢの手てに付わたさんとてその氣きを頑󠄂梗󠄃かたくしその心こゝろを剛愎かたくなにしたまひたればなり今日こんにち見みるが如ごとし 31 時ときにヱホバ我われに言いひたまひけるは視みよ我われいまシホンとこれが地ちを汝なんぢに與あたへんとす進󠄃すゝんでその地ちを獲えて汝なんぢの產業さんげふとせよと 32 茲こゝにシホンその民たみをことごとく率󠄃ひきゐて出いできたりヤハヅに於おいて戰たゝかひけるが 33 我われらの神かみヱホバ彼かれをわれらに付わたしたまひたれば我われらかれとその子等こどもとその一切すべての民たみを擊うち殺ころせり 34 その時ときに我われらは彼かれの邑々まち〳〵を盡こと〴〵く取とりその一切すべての邑まちの男をとこ女をんなおよび兒童こどもを滅ほろぼして一人ひとりをも遺󠄃のこさゞりき 35 只たゞその家畜かちくおよび邑々まち〳〵より取とりたる掠取ぶんどり物ものは我われらこれを獲えて自分󠄃おのれの物ものとなせり 36 アルノンの河邊󠄎かはべのアロエルおよび河かはの傍かたはらなる邑まちよりギレアデにいたるまで我われらの攻取せめとりがたき邑まちとては一ひとつもあらざりき我われらの神かみヱホバこれを盡こと〴〵くわれらに付わたしたまへり 37 第たゞアンモンの子孫しそんの地ちヤボク川がはの全󠄃ぜん岸がん山地やまちの邑々まち〳〵など凡すべてわれらの神かみヱホバが我われらの往󠄃ゆくを禁きんじたまへる處ところには汝なんぢいたらざりき
 326㌻ 

第3章

1 斯かくてわれら身みをめぐらしてバシヤンの路みちに上のぼり行ゆきけるにバシヤンの王わうオグその民たみをことごとく率󠄃ひきゐ出いでてエデレイに戰たゝかはんとせり 2 時ときにヱホバわれに言いひたまひけらく彼かれを懼おそるゝなかれ我われかれとその一切すべての民たみとその地ちとを汝なんぢの手てに付わたさん汝なんぢかのヘシボンに住󠄃すみたるアモリ人びとの王わうシホンになせし如ごとく彼かれに爲なすべしと 3 我われらの神かみヱホバすなはちバシヤンの王わうオグとその一切すべての民たみを我われらの手てに付わたしたまひしかば我われら之これを擊うちころして一人ひとりをも遺󠄃のこさゞりき 4 その時ときに我われらこれが邑々まち〳〵をことごとく取とれり取とらざる邑まちは一ひとつも有󠄃あらざりきその取とれる邑まちは六十是これすなはちアルゴブの地ちにしてバシヤンにおけるオグの國くになり 5 この邑々まち〳〵はみな高たかき石垣いしがきあり門もんあり關くわんありて堅固けんごなりき外ほかにまた石垣いしがきあらざる邑まち甚はなはだ多おほくありき 6 我われらはヘシボンの王わうシホンになせし如ごとく之これを滅ほろぼしその一切すべての邑まちの男をとこ女をんなおよび兒童こどもをことごとく滅ほろぼせり〘249㌻〙 7 惟たゞその一切すべての家畜かちくとその邑々まち〳〵よりの掠取物ぶんどりものとはこれを獲えてわれらの物ものとなせり 8 その時とき我われらヨルダンの此旁こなたの地ちをアルノン河がわよりヘルモン山やままでアモリ人びとの王わう二人ふたりの手てより取とれり 9 (ヘルモンはシドン人びとこれをシリオンと呼よびアモリ人びとこれをセニルと呼よぶ) 10 すなはち平󠄃野ひらのの一切すべての邑まちギレアデの全󠄃地ぜんちバシヤンの全󠄃地ぜんちサルカおよびエデレイなどバシヤンに於おけるオグの國くにをことごとく取とれり 11 彼かのレパイムの遺󠄃のこれる者ものはバシヤンの王わうオグ只たゞ一人ひとりなりき彼かれの寢ね臺だいは鐵てつの寢ね臺だいなりき是これは今いまなほアンモンの子孫しそんのラバにあるに非あらずや人ひとの肘ひじによれば是これはその長たけ九キユビトその寛はゞ四キユビトあり

12 その時ときに我われらこの地ちを獲えたりしがアルノン河がはの邊󠄎ほとりなるアロエルよりの地ちとギレアデの山地やまちの半󠄃なかばとその中うちの邑々まち〳〵とは我われこれをルベン人びととガド人びとに與あたへたり 13 またオグの國くになりしギレアデの殘餘のこりの地ちとバシヤンの全󠄃地ぜんちとは我われこれをマナセの半󠄃はん支󠄂派󠄄わかれに與あたへたりアルゴブの全󠄃地ぜんちすなはちバシヤンの全󠄃體ぜんたいはレパイムの國くにと稱󠄄となへらる 14 マナセの子こヤイルはアルゴブの全󠄃地ぜんちを取とりてゲシユルの境界さかひとマアカの境界さかひにまで至いたり自分󠄃おのれの名なにしたがひてバシヤンをハヲテヤイルと名なづけたりその名な今日こんにちにいたる
 327㌻ 
15 またマキルには我われギレアデを與あたへ 16 ルベン人びととガド人びとにはギレアデよりアルノン河がはまでを與あたへその河かはの眞󠄃中たゞなかをもて界さかひとなしまたアンモンの子孫しそんの地ちの界さかひなるヤボク河がはにまで至いたり 17 またアラバおよびヨルダンとその邊󠄎ほとりの地ちをキンネレテよりアラバの海うみすなはち鹽しほ海うみまで之これにあたへて東ひがしの方かたピスガの麓ふもとにいたる

18 その時とき我われなんぢらに命めいじて言いへり汝なんぢらの神かみヱホバこの地ちを汝なんぢらに與あたへて產業さんげふとなさしめたまへば汝なんぢら軍人いくさびとに身みをよろひて汝なんぢらの兄弟きやうだいなるイスラエルの子孫ひと〴〵に先さきだちて渉わたりゆくべし 19 但たゞし汝なんぢらの妻つまと子女こどもと家畜かちくは我わが汝なんぢらに與あたへし邑まちに止とゞまるべし我われなんぢらが衆多おほくの家畜かちくを有󠄃もつを知しるなり 20 ヱホバなんぢらに賜たまひしごとく汝なんぢらの兄弟きやうだいにも安息やすみを賜たまひて彼かれらもまたヨルダンの彼旁かなたにて汝なんぢらの神かみヱホバにたまはるところの地ちを獲えて產業さんげふとなすに至いたらば汝なんぢらおのおの我わがなんぢらに與あたへし產業さんげふに歸かへるべし 21 かの時ときに我われヨシユアに命めいじて言いへり汝なんぢはこの二人ふたりの王わうに汝なんぢらの神かみヱホバのおこなひたまふ所󠄃ところの事ことを目めに視みたりヱホバまた汝なんぢが往󠄃ゆくところの諸もろ〳〵の國くににも斯かくのごとく行おこなひたまはん 22 汝なんぢこれを懼おそるゝ勿なかれ汝なんぢらの神かみヱホバ汝なんぢらのために戰たゝかひたまはんと〘250㌻〙

23 當時そのときわれヱホバに求もとめて言いへり 24 主しゆヱホバよ汝なんぢは汝なんぢの大おほいなる事ことと汝なんぢの强つよき手てを僕しもべに見しめすことを始はじめたまへり天てんにても地ちにても何いづれの神かみか能よくなんぢの如ごとき事業わざを爲なし汝なんぢのごとき能力ちからを有󠄃もたんや 25 願ねがはくは我われをして渉わたりゆかしめヨルダンの彼旁かなたなる美よき地ち美よき山やまおよびレバノンを見みることを得えさせたまへと 26 然しかるにヱホバなんぢらの故ゆゑをもて我われを怒いかり我われに聽きくことを爲なしたまはずヱホバすなはち我われに言いひたまひけるは旣󠄁すでに足たれりこの事ことを重かさねて我われに言いふなかれ
 328㌻ 
27 汝なんぢピスガの嶺いたゞきにのぼり目めを擧あげて西にし 北きた 南みなみ 東ひがしを望󠄇のぞみ汝なんぢの目めをもて其その地ちを觀みよ汝なんぢはヨルダンを濟わたることを得えざるべければなり 28 汝なんぢヨシユアに命めいじ之これに力ちからをつけ之これを堅かたうせよ其そはこの民たみを率󠄃ひきゐて渉わたりゆき之これに汝なんぢが見みるところの地ちを獲えさする者ものは彼かれなればなりと 29 かくて我われらはベテペオルに對たいする谷たにに居をる

第4章

1 今いまイスラエルよ我わが汝なんぢらに敎をしふる法度のりと律法おきてを聽きゝてこれを行おこなへ然しかせば汝なんぢらは生いくることを得え汝なんぢらの先祖せんぞの神かみヱホバの汝なんぢらに賜たまふ地ちにいりて之これを產業さんげふとなすを得うべし 2 我わが汝なんぢらに命めいずる言ことばは汝なんぢらこれを增ましまたは減へらすべからず我わが汝なんぢらに命めいずる汝なんぢらの神かみヱホバの命令めいれいを守まもるべし 3 汝なんぢらはヱホバがバアルペオルの事ことによりて行おこなひたまひし所󠄃ところを目めに觀みたり即すなはちバアルペオルに從したがひたる人々ひと〴〵は汝なんぢの神かみヱホバことごとく之これを汝なんぢらの中間うちより滅ほろぼし去さりたまひしが 4 汝なんぢらの神かみヱホバに附つきて離はなれざりし汝等なんぢらはみな今日こんにちまでも生いきながらへ居をるなり 5 我われはわが神かみヱホバの我われに命めいじたまひし如ごとくに法度のりと律法おきてを汝なんぢらに敎をしへ汝なんぢらをしてその往󠄃ゆきて獲うるところの地ちにおいて之これを行おこなはしめんとせり 6 然されば汝なんぢら之これを守まもり行おこなふべし然しかする事ことは國々くに〴〵の民たみの目めの前󠄃まへにおいて汝なんぢらの智慧󠄄ちゑたり汝なんぢらの知識ちしきたるなり彼かれらこの諸もろ〳〵の法度のりを聞きゝて言いはんこの大おほいなる國人くにびとは必かならず智慧󠄄ちゑあり知識ちしきある民たみなりと 7 われらの神かみヱホバは我われらがこれに龥よびもとむるに常つねに我われらに近󠄃ちかく在いますなり何いづれの國人くにびとか斯かくのごとく大おほいにして神かみこれに近󠄃ちかく在いますぞ 8 また何いづれの國人くにびとか斯かくのごとく大おほいにして今日こんにち我わが汝なんぢらの前󠄃まへに立たつるこの一切すべての律法おきての如ごとき正たゞしき法度のりと律法おきてとを有󠄃もてるぞ

9 汝なんぢ深ふかく自みづから愼つゝしみ汝なんぢの心こゝろを善よく守まもれ恐おそらくは汝なんぢその目めに觀みたる事ことを忘󠄃わすれん恐おそらくは汝なんぢらの生存いきながらふる日ひの中うちに其それ等らの事こと汝なんぢの心こゝろを離はなれん汝なんぢそれらの事ことを汝なんぢの子こ汝なんぢの孫まごに敎をしへよ
 329㌻ 
10 汝なんぢがホレブにおいて汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに立たてる日ひにヱホバわれに言いひたまひけらく我わがために民たみを集あつめよ我われこれに吾わが言ことばを聽きかしめ之これをしてその世よに存ながらふる日ひの間あひだ我われを畏おそるゝことを學まなばせまたその子女こどもを敎をしふることを爲なさしめんとすと〘251㌻〙 11 是こゝにおいて汝なんぢらは前󠄃すゝみよりて山やまの麓ふもとに立たちけるが山やまは火ひにて燒やけてその燄ほのほは中なか天ぞらに沖いたり暗󠄃くらくして雲くもあり黑雲くろくも深ふかかりき 12 時ときにヱホバ火ひの中なかより汝なんぢらに言ものいひたまひしが汝なんぢらは言詞ことばの聲こゑを聞きける而已のみにて聲こゑの外ほかは何なにの像󠄃かたちをも見みざりし 13 ヱホバすなはち其その契󠄅約けいやくを汝なんぢらに述󠄃のべて汝なんぢらに之これを守まもれと命めいじたまへり是これすなはち十誡じつかいにしてヱホバこれを二ふた枚ひらの石いしの板いたに書しるしたまふ 14 かの時ときにヱホバ我われに命めいじて汝なんぢらに法度のりと律法おきてを敎をしへしめたまへり是これ汝なんぢらにその往󠄃ゆきて獲うるところの地ちにて之これを爲なさしめんとてなりき

15 ホレブにおいてヱホバ火ひの中なかより汝なんぢらに言ものいひたまひし日ひには汝なんぢら何なにの像󠄃かたちをも見みざりしなり然されば汝なんぢら深ふかく自みづから愼つゝしみ 16 道󠄃みちをあやまりて自己おのれのために偶像󠄃ぐうざうを刻󠄂きざむ勿なかれ物ものの像󠄃ざうは男をとこの形かたちにもあれ女をんなの形かたちにもあれ凡すべて造󠄃つくるなかれ 17 即すなはち地ちの上うへにをる諸もろ〳〵の獸けものの像󠄃ざう空󠄃そらに飛とぶ諸もろ〳〵の鳥とりの像󠄃ざう 18 地ちに匍はふもろもろの物ものの像󠄃ざう地ちの下したの水みづの中なかに居をる諸もろ〳〵の魚うをの像󠄃ざうなど凡すべて造󠄃つくる勿なかれ 19 汝なんぢ目めをあげて天てんを望󠄇のぞみ日ひ月󠄃つき星辰ほしなど凡すべて天てんの衆群しうぐんを觀み誘いざなはれてこれを拜をがみ之これに事つかふる勿なかれ是これは汝なんぢの神かみヱホバが一いつ天てん下かの萬國ばんこくの人々ひと〴〵に分󠄃わかちたまひし者ものなり 20 ヱホバ汝なんぢらを取とり汝なんぢらを鐵てつの爐かまの中うちすなはちエジプトより導󠄃みちびきいだして自己おのれの產業さんげふの民たみとなしたまへること今日こんにちのごとし 21 然しかるにヱホバなんぢらの故ゆゑによりて我われを怒いかり我われはヨルダンを濟わたりゆくことを得えずまた汝なんぢの神かみヱホバが汝なんぢの產業さんげふに賜たまひしその美よき地ちに入いることを得えずと誓ちかひたまへり 22 我われはこの地ちに死しなざるを得えず我われはヨルダンを濟わたりゆくことあたはずなんぢらは濟わたりゆきて之これを獲えて產業さんげふとなすことを得えん
 330㌻ 
23 汝なんぢら自みづから愼つゝしみ汝なんぢらの神かみヱホバが汝なんぢらに立たてたまひし契󠄅約けいやくを忘󠄃わすれて汝なんぢの神かみヱホバの禁きんじたまふ偶像󠄃ぐうざうなど凡すべて物ものの像󠄃ざうを刻󠄂きざむことを爲なすなかれ 24 汝なんぢの神かみヱホバは燬やき盡つくす火ひ嫉妬ねたむ神かみなり

25 汝なんぢら子こを擧まうけ孫まごを得えてその地ちに長ながく居をるにおよびて若もし道󠄃みちをあやまりて偶像󠄃ぐうざうなど凡すべて物ものの像󠄃ざうを刻󠄂きざみ汝なんぢの神かみヱホバの惡あしと觀みたまふ事ことをなしてその震怒いかりを惹ひきおこすことあらば 26 我われ今日けふ天てんと地ちを呼よびて證あかしとなす汝なんぢらはかならずそのヨルダンを濟わたりゆきて獲えたる地ちより速󠄃すみやかに滅亡ほろびうせん汝なんぢらはその上うへに汝なんぢらの日ひを永ながうする能あたはず必かならず滅ほろびうせん 27 ヱホバなんぢらを國々くに〴〵に散ちらしたまべしヱホバの汝なんぢらを逐󠄃おひやりたまふ國々くに〴〵の中うちに汝なんぢらの遺󠄃のこる者ものはその數󠄄かず寡すくなからん 28 其處そこにて汝なんぢらは人ひとの手ての作わざなる見みることも聞きくことも食󠄃くらふことも嗅かぐこともなき木きや石いしの神々かみ〴〵に事つかへん〘252㌻〙 29 但たゞしまた其處そこにて汝なんぢその神かみヱホバを求もとむるあらんに若もし心こゝろをつくし精神せいしんを盡つくしてこれを求もとめなば之これに遇󠄃あはん 30 後のちの日ひにいたりて汝なんぢ艱難なやみにあひて此このもろもろの事ことの汝なんぢに臨のぞまん時ときに汝なんぢもしその神かみヱホバにたち歸かへりてその言ことばにしたがはゞ 31 汝なんぢの神かみヱホバは慈悲あはれみある神かみなれば汝なんぢを棄すてず汝なんぢを滅ほろぼさずまた汝なんぢの先祖せんぞに誓ちかひたりし契󠄅約けいやくを忘󠄃わすれたまはざるべし

32 試こゝろみに問とへ汝なんぢの前󠄃まへに過󠄃すぎさりし日ひ神かみが地ちの上うへに人ひとを造󠄃つくりたまひし日ひより已來このかた天てんの此この極はてより彼かの極はてまでに曾かつて斯かくのごとき大おほいなる事ことありしや是かくのごとき事ことの聞きこえたる事ことありしや 33 曾かつて人ひと神かみが火ひの中なかより言ものいふ聲こゑを汝なんぢらが聞きけるごとくに聞きゝて尙なほ生いける者ものありしや 34 汝なんぢらの神かみヱホバがエジプトにおいて汝なんぢらの目めの前󠄃まへにて汝なんぢらの爲ために諸もろ〳〵の事ことを爲なしたまひし如ごとく曾かつて試探こゝろみと徴證しるしと奇蹟ふしぎと戰爭たゝかひと强つよき手てと伸のべたる腕うでと大おほいなる恐嚇おどしをもて來きたりこの民たみをかの民たみの中うちより領ひきいださんとせし神かみありしや
 331㌻ 
35 汝なんぢにこの事ことを示しめしゝはヱホバはすなはち神かみにしてその外ほかには有󠄃あることなしと汝なんぢに知しらしめんがためなりき 36 汝なんぢを敎をしへんためにヱホバ天てんより汝なんぢに聲こゑを聞きかしめ地ちに於おいてはまたその大おほいなる火ひを汝なんぢに示しめしたまへり即すなはち汝なんぢはその言ことばの火ひの中なかより出いづるを聞きけり 37 ヱホバ汝なんぢの先祖せんぞ等たちを愛あいしたまひしが故ゆゑにその後のちの子孫しそんを選󠄄えらび大おほいなる能力ちからをもて親みづから汝なんぢをエジプトより導󠄃みちびき出いだしたまひ 38 汝なんぢよりも大おほいにして强つよき國々くに〴〵の民たみを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひ汝なんぢをその地ちに導󠄃みちびきいりて之これを汝なんぢの產業さんげふに與あたへんとしたまふこと今日こんにちのごとくなり 39 然されば汝なんぢ今日こんにち知しりて心こゝろに思念おもふべし上うへは天てん下したは地ちにおいてヱホバは神かみにいましその外ほかには神かみ有󠄃あること無なし 40 今日けふわが汝なんぢに命めいずるヱホバの法度のりと命令めいれいを守まもるべし然しかせば汝なんぢと汝なんぢの後のちの子孫しそん祥さいはひを得え汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢにたまふ地ちにおいて汝なんぢその日ひを永ながうすることを得えて疆かぎりなからん

41 斯かくてモーセ、ヨルダンの此旁こなた日ひの出いづる方かたにおいて邑まち三みつを別わかてり 42 是これ素もとより怨うらみなきに誤󠄄あやまりて人ひとを殺ころせる者ものをして其處そこに逃󠄄のがれしむる爲ためなり其その邑まちの一ひとつに逃󠄄のがるゝ時ときはその人ひと生命いのちを全󠄃まつたうするを得うべし 43 即すなはち一ひとつは曠野あらのの內うちの平󠄃野ひらのにあるベゼル是これはルベン人びとのためなり一ひとつはギレアデのラモテ是これはガド人びとのためなり一ひとつはバシヤンのゴラン是これはマナセ人びとのためなり

44 モーセがイスラエルの子孫ひと〴〵の前󠄃まへに示しめしゝ律法おきては是これなり 45 イスラエルの子孫ひと〴〵のエジプトより出いでたる後のちモーセこの誡命いましめと法度のりと律法おきてを之これに述󠄃のべたり〘253㌻〙 46 即すなはちヨルダンの此旁こなたなるアモリ人びとの王わうシホンの地ちにありベテペオルに對たいする谷たにに於おいて之これを述󠄃のべたりシホンはヘシボンに住󠄃すみをりしがモーセとイスラエルの子孫ひと〴〵エジプトより出いできたりし後のちこれを擊うちほろぼして 47 之これが地ちを獲えまたバシヤンの王わうオグの地ちを獲えたり彼かれら二人ふたりはアモリ人びとの王わうにしてヨルダンの此旁こなた日ひの出いづる方かたに居をれり
 332㌻ 
48 その獲えたる地ちはアルノン河がはの邊󠄎ほとりなるアロエルよりヘルモンといふシオン山やまにいたり 49 ヨルダンの此旁こなたすなはちその東ひがしの方かたなるアラバの全󠄃部ぜんぶを括かねてアラバの鹽しほ海うみに達󠄃たつしピスガの麓ふもとにおよべり

第5章

1 茲こゝにモーセ、イスラエルをことごとく召めして之これに言いふイスラエルよ今日けふ我わがなんぢらの耳みゝに語かたるところの法度のりと律法おきてとを聽ききこれを學まなびこれを守まもりて行おこなへよ 2 我われらの神かみヱホバ、ホレブに於おいて我われらと契󠄅約けいやくを結むすびたまへり 3 この契󠄅約けいやくはヱホバわれらの先祖せんぞ等たちとは結むすばずして我われら今日こんにち此こゝに生存いきながらへをる者ものと結むすびたまへり 4 ヱホバ山やまにおいて火ひの中うちより汝なんぢらと面かほをあはせて言いひたまひしが 5 その時とき我われはヱホバと汝なんぢらの間あひだにたちてヱホバの言ことばを汝なんぢらに傳つたへたり汝なんぢら火ひに懼おそれて山やまにのぼり得えざりければなり

6 ヱホバすなはち言いひたまひけらく我われは汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢをエジプトの地ちその奴隸どれいたる家いへより導󠄃みちびき出いだせし者ものなり

7 汝なんぢわが面かほの前󠄃まへに我われの外ほか何なに物ものをも神かみとすべからず

8 汝なんぢ自己おのれのために何なにの偶像󠄃ぐうざうをも彫󠄃きざむべからず又󠄂また上かみは天てんにある者もの下しもは地ちにある者ものならびに地ちの下したの水みづの中なかにある者ものの何なにの形狀かたちをも作つくるべからず 9 之これを拜をがむべからず之これに事つかふべからず我われヱホバ汝なんぢの神かみは嫉ねたむ神かみなれば我われを惡にくむ者ものにむかひては父󠄃ちゝの罪つみを子こに報むくいて三さん四よ代だいにおよぼし 10 我われを愛あいしわが誡命いましめを守まもる者ものには恩惠めぐみを施ほどこして千せん代だいにいたるなり

11 汝なんぢの神かみヱホバの名なを妄みだりに口くちにあぐべからずヱホバは己おのれの名なを妄みだりに口くちにあぐる者ものを罰つみせではおかざるべし

12 安息日あんそくにちを守まもりて之これを聖󠄃潔󠄄きよくすること汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに命めいぜしごとくすべし 13 六日むいかのあひだ勞はたらきて汝なんぢの一切すべての業わざを爲なすべし
 333㌻ 
14 七日なぬかは汝なんぢの神かみヱホバの安息あんそくなれば何なにの業務わざをも爲なすべからず汝なんぢも汝なんぢの男子むすこ女子むすめも汝なんぢの僕しもべ婢しもめも汝なんぢの牛うし驢馬ろばも汝なんぢの諸もろ〳〵の家畜かちくも汝なんぢの門もんの中うちにをる他國よそぐにの人ひとも然しかり斯かくなんぢ僕しもべ婢しもめをして汝なんぢとおなじく息やすましむべし 15 汝なんぢ誌おぼゆべし汝なんぢかつてエジプトの地ちに奴隸どれいたりしに汝なんぢの神かみヱホバ强つよき手てと伸のべたる腕うでとをもて其處そこより汝なんぢを導󠄃みちびき出いだしたまへり是こゝをもて汝なんぢの神かみヱホバなんぢに安息日あんそくにちを守まもれと命めいじたまふなり〘254㌻〙

16 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに命めいじたまふごとく汝なんぢの父󠄃母ちゝはゝを敬うやまへ是これ汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ地ちにおいて汝なんぢの日ひの長ながからんため汝なんぢに祥さいはひのあらんためなり 17 汝なんぢ殺ころす勿なかれ 18 汝なんぢ姦淫かんいんする勿なかれ 19 汝なんぢ盜ぬすむなかれ 20 汝なんぢその隣となりに對たいして虛妄いつはりの證據あかしをたつる勿なかれ 21 汝なんぢその隣人となりの妻つまを貧󠄃むさぼるなかれまた隣人となりの家いへ 田野たはた 僕しもべ 婢しもめ牛うし 驢馬ろばならびに凡すべて汝なんぢの隣人となりの所󠄃有󠄃もちものを貧󠄃むさぼるなかれ

22 是等これらの言ことばをヱホバ山やまにおいて火ひの中うち雲くもの中うち黑雲くろくもの中うちより大おほいなる聲こゑをもて汝なんぢらの全󠄃ぜん會衆くわいしうに吿つげたまひしが此この外ほかには言いふことを爲せず之これを二ふた枚ひらの石いしの版いたに書しるして我われに授さづけたまへり 23 時ときにその山やまは火ひにて燒やけをりしが汝なんぢら黑暗󠄃くらやみの中うちよりその聲こゑの出いづるを聞きくにおよびて汝なんぢらの支󠄂派󠄄わかれの長かしらおよび長老等としよりども我われに進󠄃すゝみよりて 24 言いひけるは視みよ我われらの神かみヱホバその榮光さかえとその大おほいなる事ことを我われらに示しめしたまひて我われらその聲こゑの火ひの中うちより出いづるを聞きけり我われら今日けふヱホバ人ひとと言ものいひたまふてその人ひとの尙なほ生いけるを見みる 25 我われらなんぞ死しにいたるべけんや此この大おほいなる火ひわれらを燒やきほろぼさんとするなり我われらもし此この上うへになほ我われらの神かみヱホバの聲こゑを聞きかば死しぬべし 26 凡およそ肉󠄁身にくしんの者ものの中うち誰たれか能よく活いける神かみの火ひの中うちより言ものいひたまふ聲こゑを我われらのごとくに聞きゝてなほ生いける者ものあらんや 27 請󠄃こふ汝なんぢ進󠄃すゝみゆきて我われらの神かみヱホバの言いひたまふところを都すべて聽きき我われらの神かみヱホバの汝なんぢに吿つげ給たまふところを都すべて我われらに吿つげよ我われら聽きゝて行おこなはんと
 334㌻ 

28 ヱホバなんぢらが我われに語かたれる言ことばの聲こゑを聞きゝてヱホバ我われに言いひたまひけるは我われこの民たみが汝なんぢに語かたれる言ことばの聲こゑを聞きけり彼かれらの言いふところは皆みな善よし 29 只たゞ願ねがはしきは彼等かれらが斯かくのごとき心こゝろを懷いだいて恒つねに我われを畏おそれ吾わが誡命いましめを守まもりてその身みもその子孫しそんも永ながく福祉さいはひを得うるにいたらん事ことなり 30 汝なんぢゆきて彼かれらに言いへ汝なんぢらおのおのその天てん幕まくにかへるべしと 31 然されど汝なんぢは此こゝにて我わが傍かたはらに立たて我われなんぢに諸もろ〳〵の誡命いましめと法度のりと律法おきてとを吿つげしめさん汝なんぢこれを彼かれらに敎をしへ我わが彼かれらに與あたへて產業さんげふとなさしむる地ちにおいて彼かれらにこれを行おこなはしむべしと 32 然されば汝なんぢらの神かみヱホバの汝等なんぢらに命めいじたまふごとくに汝なんぢら謹つゝしみて行おこなふべし右みぎにも左ひだりにも曲まぐるべからず 33 汝なんぢらの神かみヱホバの汝なんぢらに命めいじたまふ一切すべての道󠄃みちに步あゆめ然しかせば汝なんぢらは生いくることを得えかつ福祉さいはひを得えて汝なんぢらの產業さんげふとする地ちに汝なんぢらの日ひを長ながうすることを得えん〘255㌻〙

第6章

1 是これすなはち汝なんぢらの神かみヱホバが汝なんぢらに敎をしへよと命めいじたまふところの誡命いましめと法度のりと律法おきてとにして汝なんぢらがその濟わたりゆきて獲うるところの地ちにて行おこなふべき者ものなり 2 是これは汝なんぢと汝なんぢの子こおよび汝なんぢの孫まごをしてその生命いのちながらふる日ひの間あひだつねに汝なんぢの神かみヱホバを畏おそれしめて我わが汝なんぢらに命めいずるその諸もろ〳〵の法度のりと誡命いましめとを守まもらしめんため又󠄂またなんぢの日ひを永ながからしめんための者ものなり 3 然さればイスラエルよ聽きゝて謹つゝしんでこれを行おこなへ然しかせば汝なんぢは福祉さいはひを獲え汝なんぢの先祖せんぞの神かみヱホバの汝なんぢに言いひたまひしごとく乳󠄃ちゝと蜜みつの流ながるゝ國くににて汝なんぢの數󠄄かずおほいに增まさん

4 イスラエルよ聽きけ我われらの神かみヱホバは惟たゞ一ひとりのヱホバなり 5 汝なんぢ心こゝろを盡つくし精神せいしんを盡つくし力ちからを盡つくして汝なんぢの神かみヱホバを愛あいすべし 6 今日けふわが汝なんぢに命めいずる是これらの言ことばは汝なんぢこれをその心こゝろにあらしめ 7 勤つとめて汝なんぢの子等こどもに敎をしへ家いへに坐ざする時ときも路みちを步あゆむ時ときも寢いぬる時ときも興おくる時ときもこれを語かたるべし
 335㌻ 
8 汝なんぢまたこれを汝なんぢの手てに結むすびて號しるしとなし汝なんぢの目めの間あひだにおきて誌おぼえとなし 9 また汝なんぢの家いへの柱󠄃はしらと汝なんぢの門もんに書記かきしるすべし

10 汝なんぢの神かみヱホバその汝なんぢの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブにむかひて汝なんぢに與あたへんと誓ちかひたりし地ちに汝なんぢを入いらしめん時ときは汝なんぢをして汝なんぢが建󠄄たてたる者ものにあらざる大おほいなる美うるはしき邑々まち〳〵を得えさせ 11 汝なんぢが盈みたせるに非あらざる諸もろ〳〵の佳物よきものを盈みたせる家いへを得えさせ汝なんぢが堀ほりたる者ものにあらざる堀ほり井ゐどを得えさせ汝なんぢが植うえしにあらざる葡萄園ぶどうぞのと橄欖かんらんの樹きとを得えさせたまふべし汝なんぢは食󠄃くらひて飽󠄄あかん 12 然しかる時ときは汝なんぢ愼つゝしめ汝なんぢをエジプトの地ち奴隸どれいたる家いへより導󠄃みちびき出いだしゝヱホバを忘󠄃わするゝ勿なかれ 13 汝なんぢの神かみヱホバを畏おそれてこれに事つかへその名なを指さして誓ちかふことをすべし 14 汝なんぢら他ほかの神々かみ〴〵すなはち汝なんぢの四周󠄃まはりなる民たみの神々かみ〴〵に從したがふべからず 15 汝なんぢらの中うちにいます汝なんぢの神かみヱホバは嫉妬ねたむ神かみなれば恐おそらくは汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢにむかひて怒いかりを發はつし汝なんぢを地ちの面おもてより滅ほろぼし去さりたまはん

16 汝なんぢマツサにおいて試こゝろみしごとく汝なんぢの神かみヱホバを試こゝろむるなかれ 17 汝なんぢらの神かみヱホバの汝なんぢらに命めいじたまへる誡命いましめと律法おきてと法度のりとを汝なんぢら謹つゝしみて守まもるべし 18 汝なんぢヱホバの義たゞしと視み善よしと視みたまふ事ことを行おこなふべし然しかせば汝なんぢ福祉さいはひを獲えかつヱホバの汝なんぢの先祖せんぞに誓ちかひたまひしかの美よき地ちに入いりてこれを產業さんげふとなすことを得えん 19 ヱホバまたその言いひたまひし如ごとく汝なんぢの敵てきをことごとく汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまはん

20 後のちの日ひに至いたりて汝なんぢの子こなんぢに問とふてこの汝なんぢらの神かみヱホバが汝なんぢらに命めいじたまひし誡命いましめと法度のりと律法おきてとは何なにのためなるやと言いはば〘256㌻〙 21 汝なんぢその子こに吿つげて言いふべし我われらは昔むかしエジプトにありてパロの奴隸どれいたりしがヱホバ强つよき手てをもて我われらをエジプトより導󠄃みちびき出いだしたまへり 22 卽すなはちヱホバわれらの目めの前󠄃まへにおいて大おほいなる畏おそるべき徴しるしと奇蹟ふしぎをエジプトとパロとその全󠄃家ぜんかとに示しめしたまひ
 336㌻ 
23 我われらを其處そこより導󠄃みちびき出いだして其その曾かつて我等われらの先祖せんぞに誓ちかひし地ちに我われらを入いらせて之これを我われらに與あたへたまへり 24 而しかしてヱホバ我われらにこの諸もろ〳〵の法度のりを守まもれと命めいじたまふ是これわれらをして我われらの神かみヱホバを畏おそれて常つねに幸さいはひならしめんため又󠄂またヱホバ今日こんにちのごとく我われらを守まもりて生命いのちを保たもたしめんとてなりき 25 我われらもしその命めいぜられたるごとく此この一切すべての誡命いましめを我われらの神かみヱホバの前󠄃まへに謹つゝしんで守まもらば是これわれらの義ぎとなるべしと

第7章

1 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが往󠄃ゆきて獲うべきところの地ちに汝なんぢを導󠄃みちびきいり多おほくの國々くに〴〵の民たみヘテ人びとギルガシ人びとアモリ人びとカナン人びとペリジ人びとヒビ人びとヱブス人びとなど汝なんぢよりも數󠄄かず多おほくして力ちからある七なゝつの民たみを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまはん時とき 2 すなはち汝なんぢの神かみヱホバかれらを汝なんぢに付わたして汝なんぢにこれを擊うたせたまはん時ときは汝なんぢかれらをことごとく滅ほろぼすべし彼かれらと何なにの契󠄅約けいやくをもなすべからず彼かれらを憫あはれむべからず 3 また彼かれらと婚姻こんいんをなすべからず汝なんぢの女子むすめを彼かれの男子むすこに與あたふべからず彼かれの女子むすめを汝なんぢの男子むすこに娶めとるべからず 4 其そは彼かれら汝なんぢの男子むすこを惑まどはして我われを離はなれしめ之これをして他ほかの神々かみ〴〵に事つかへしむるありてヱホバこれがために汝なんぢらにむかひて怒いかりを發はつし俄然にはかに汝なんぢを滅ほろぼしたまふにいたるべければなり 5 汝なんぢらは反かへつて斯かくかれらに行おこなふべし即すなはちかれらの壇だんを毀こぼちその偶像󠄃ぐうざうを打うち摧くだきそのアシラ像󠄃ざうを斫きりたふし火ひをもてその雕像󠄃てうざうを焚やくべし

6 其そは汝なんぢは汝なんぢの神かみヱホバの聖󠄃きよき民たみなればなり汝なんぢの神かみヱホバは地ちの面おもての諸もろ〳〵の民たみの中うちより汝なんぢを擇えらびて己おのれの寳たからの民たみとなしたまへり 7 ヱホバの汝なんぢらを愛あいし汝なんぢらを擇えらびたまひしは汝なんぢらが萬よろづの民たみよりも數󠄄かず多おほかりしに因よるにあらず汝なんぢらは萬よろづの民たみの中うちにて最もつとも小ちひさき者ものなればなり 8 但たゞヱホバ汝なんぢらを愛あいするに因よりまた汝なんぢらの先祖せんぞ等たちに誓ちかひし誓ちかひを保たもたんとするに因よりてヱホバ强つよき手てをもて汝なんぢらを導󠄃みちびきいだし汝なんぢらを其その奴隸どれいたりし家いへよりエジプトの王わうパロの手てより贖あがなひいだしたまへるなり
 337㌻ 
9 汝なんぢ知しるべし汝なんぢの神かみヱホバは神かみにましまし眞󠄃實しんじつの神かみにましまして之これを愛あいしその誡命いましめを守まもる者ものには契󠄅約けいやくを保たもち恩惠めぐみをほどこして千せん代だいにいたり 10 また之これを惡にくむ者ものには覿面てきめんにその報むくいをなしてこれを滅ほろぼしたまふヱホバは己おのれを惡にくむ者ものには緩󠄃ゆるやかならず覿面てきめんにこれに報むくいたまふなり〘257㌻〙 11 然されば汝なんぢわが今日けふ汝なんぢに命めいずるところの誡命いましめと法度のりと律法おきてとを守まもりてこれを行おこなふべし

12 汝なんぢらもし是これらの律法おきてを聽ききこれを守まもり行おこなはゞ汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの先祖せんぞ等たちに誓ちかひし契󠄅約けいやくを保たもちて汝なんぢに恩惠めぐみをほどこしたまはん 13 即すなはち汝なんぢを愛あいし汝なんぢを惠めぐみみ汝なんぢの數󠄄かずを增ましたまひその昔むかしなんぢに與あたへんと汝なんぢらの先祖せんぞ等たちに誓ちかひたりし地ちにおいて汝なんぢの兒女こどもをめぐみ汝なんぢの地ちの產物さんぶつ 穀物こくもつ 酒さけ 油あぶら等などを殖ふやし汝なんぢの牛うしの產さん汝なんぢの羊ひつじの產さんを增ましたまふべし 14 汝なんぢは惠めぐまるゝこと萬よろづの民たみに愈󠄃まさらん汝なんぢらの中うちおよび汝なんぢらの家畜かちくの中うちには男をとこも女をんなも子こなき者ものは無なかるべし 15 ヱホバまた諸もろ〳〵の疾病やまひを汝なんぢの身みより除のぞきたまひ汝なんぢらが知しる彼かのエジプトの惡あしき病やまひを汝なんぢの身みに臨のぞましめず但たゞ汝なんぢを惡にくむ者ものに之これを臨のぞませたまふべし 16 汝なんぢは汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに付わたしたまはんところの民たみをことごとく滅ほろぼしつくすべし彼かれらを憫あはれみ見みるべからずまた彼かれらの神かみに事つかふべからずその事こと汝なんぢの罟わなとなればなり

17 汝なんぢ是これらの民たみは我われよりも衆おほければ我われいかでか之これを逐󠄃おひはらふことを得えんと心こゝろに謂おもふか 18 汝なんぢかれらを懼おそるゝなかれ汝なんぢの神かみヱホバがパロとエジプトに爲なしたまひしところの事ことを善よく憶おぼえよ 19 即すなはち汝なんぢが眼めに見みたる大おほいなる試煉こゝろみと徴證しるしと奇蹟ふしぎと强つよき手てと伸のべたる腕うでとを憶おぼえよ汝なんぢの神かみヱホバこれをもて汝なんぢを導󠄃みちびき出いだしたまへり是かくのごとく汝なんぢの神かみヱホバまた汝なんぢが懼おそるゝ一切すべての民たみに爲なしたまふべし
 338㌻ 
20 即すなはち汝なんぢの神かみヱホバ黃蜂くまばちを彼かれらの中なかに遣󠄃おくりて終󠄃つひに彼かれらの遺󠄃のこれる者ものと汝なんぢの面かほを避󠄃さけて匿かくれたる者ものとを滅ほろぼしたまはん 21 汝なんぢかれらを懼おそるゝ勿なかれ其そは汝なんぢの神かみヱホバ能力ちからある畏おそるべき神かみ汝なんぢらの中うちにいませばなり 22 汝なんぢの神かみヱホバ是等これらの國人くにびとを漸々やう〳〵に汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまはん汝なんぢは急󠄃速󠄃すみやかに彼かれらを滅ほろぼしつくす可べからず恐おそらくは野のの獸けもの殖ふえて汝なんぢに逼󠄃せまらん 23 汝なんぢの神かみヱホバかれらを汝なんぢに付わたし大おほいにこれを惶おそれ慄をのゝかしめて終󠄃つひにこれを滅ほろぼし盡つくし 24 彼かれらの王等わうたちを汝なんぢの手てに付わたしたまはん汝なんぢかれらの名なを天あめが下したより削󠄃けづるべし汝なんぢには當あたることを得うる者ものなくして汝なんぢつひに之これを滅ほろぼし盡つくすに至いたらん 25 汝なんぢかれらの神かみの雕像󠄃てうざうを火ひにて焚やくべし之これに著きせたる銀ぎんあるひは金きんを貧󠄃むさぼるべからず之これを己おのれに取とるべからず恐おそらくは汝なんぢこれに因よりて罟わなにかゝらん是これは汝なんぢの神かみヱホバの憎にくみたまふ者ものなれば也なり 26 憎にくむべき物ものを汝なんぢの家いへに携たづさへいるべからず恐おそらくは汝なんぢも其そのごとくに詛のろはるゝ者ものとならん汝なんぢこれを大おほいに忌いみ痛いたく嫌󠄃きらふべし是これは詛のろふべき者ものなればなり〘258㌻〙

第8章

1 我わが今日けふなんぢに命めいずるところの諸もろ〳〵の誡命いましめを汝なんぢら謹つゝしんで行おこなふべし然しかせば汝なんぢら生いくることを得えかつ殖增ふえましヱホバの汝なんぢの先祖せんぞ等たちに誓ちかひたまひし地ちに入いりてこれを產業さんげふとなすことを得えん 2 汝なんぢ記念おぼゆべし汝なんぢの神かみヱホバこの四十年ねんの間あひだ汝なんぢをして曠野あらのの路みちに步あゆましめたまへり是これ汝なんぢを苦くるしめて汝なんぢを試驗こゝろみ汝なんぢの心こゝろの如何いかなるか汝なんぢがその誡命いましめを守まもるや否いなやを知しらんためなりき 3 即すなはち汝なんぢを苦くるしめ汝なんぢを饑󠄃うゑしめまた汝なんぢも知しらず汝なんぢの先祖せんぞ等たちも知しらざるところのマナを汝なんぢらに食󠄃くらはせたまへり是これ人ひとはパン而已のみにて生いくる者ものにあらず人ひとはヱホバの口くちより出いづる言ことばによりて生いくる者ものなりと汝なんぢに知しらしめんが爲ためなり 4 この四十年ねんのあひだ汝なんぢの衣服󠄃きものは古ふるびて朽くちず汝なんぢの足あしは腫はれざりし 5 汝なんぢまた心こゝろに念おもふべし人ひとのその子こを懲戒いましむるごとく汝なんぢの神かみヱホバも汝なんぢを懲戒いましめたまふなり
 339㌻ 
6 汝なんぢの神かみヱホバの誡命いましめを守まもりその道󠄃みちにあゆみてこれを畏おそるべし 7 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢをして美よき地ちに到いたらしめたまふ是これは谷たににも山やまにも水みづの流ながれあり泉いづみあり潴水たまりみづある地ち 8 小麥こむぎ 大おほ麥むぎ 葡萄ぶだう 無花果いちじくおよび石榴ざくろある地ち油あぶら 橄欖かんらんおよび蜜みつのある地ち 9 汝なんぢの食󠄃くらふ食󠄃物しよくもつに缺かくるところなく汝なんぢに何なにも乏とぼしきところあらざる地ちなりその地ちの石いしはすなはち鐵てつその山やまよりは銅あかゞねを掘ほりとるべし 10 汝なんぢは食󠄃くらひて飽󠄄あき汝なんぢの神かみヱホバにその美よき地ちを己おのれにたまひし事ことを謝󠄃しやすべし

11 汝なんぢわが今日けふなんぢに命めいずるヱホバの誡命いましめと律法おきてと法度のりとを守まもらずして汝なんぢの神かみヱホバを忘󠄃わするゝにいたらざるやう愼つゝしめよ 12 汝なんぢ食󠄃くらひて飽󠄄あき美うるはしき家いへを建󠄄たてて住󠄃すまふに至いたり 13 また汝なんぢの牛うし羊ひつじ殖增ふえまし汝なんぢの金銀きんぎん殖增ふえまし汝なんぢの所󠄃有󠄃もちものみな殖增ふえますにいたらん時ときに 14 恐おそらくは汝なんぢ心こゝろに驕おごりて汝なんぢの神かみヱホバを忘󠄃わすれんヱホバは汝なんぢをエジプトの地ち奴隸どれいたる家いへより導󠄃みちびき出いだし 15 汝なんぢをみちびきて彼かれの大おほいにして畏おそるべき曠野あらのすなはち蛇へび火ひの蛇へび蠍󠄂さそりなどありて水みづあらざる乾かわける地ちを通󠄃とほり汝なんぢらのために堅かたき磐いはの中うちより水みづを出いだし 16 汝なんぢの先祖せんぞ等たちの知しらざるマナを曠野あらのにて汝なんぢに食󠄃くはせたまへり是これみな汝なんぢを苦くるしめ汝なんぢを試こゝろみて終󠄃つひに福祉さいはひを汝なんぢにたまはんとてなりき 17 汝なんぢ我わが力ちからとわが手ての動作はたらきによりて我われこの資󠄄財たからを得えたりと心こゝろに謂いふなかれ 18 汝なんぢの神かみヱホバを憶おぼえよ其そはヱホバ汝なんぢに資󠄄財たからを得うるの力ちからをたまふなればなり斯かくしたまふは汝なんぢの先祖せんぞ等たちに誓ちかひし契󠄅約けいやくを今日こんにちの如ごとく行おこなはんとてなり 19 汝なんぢもし汝なんぢの神かみヱホバを忘󠄃わすれ果はて他ほかの神々かみ〴〵に從したがひ之これに事つかへこれを拜をがむことを爲なさば我われ今日けふ汝なんぢらに證あかしをなす汝なんぢらはかならず滅亡ほろびん 20 ヱホバの汝なんぢらの前󠄃まへに滅ほろぼしたまひし國々くに〴〵の民たみのごとく汝なんぢらも滅亡ほろぶべし是これなんぢらの神かみヱホバの聲こゑに汝なんぢらしたがはざればなり〘259㌻〙

第9章

1 イスラエルよ聽きけ汝なんぢは今日けふヨルダンを濟わたりゆき汝なんぢよりも大おほいにして强つよき國々くに〴〵に入いりてこれを取とらんとすその邑々まち〳〵は大おほいにして石垣いしがきは天てんに達󠄃いたり
 340㌻ 
2 その民たみは汝なんぢが知しるところのアナクの子孫しそんにして大おほきくかつ身長たけたかし汝なんぢまた人ひとの言いへるを聞きけり云いはく誰たれかアナクの子孫しそんの前󠄃まへに立たつことを得えんと 3 汝なんぢ今日けふ知しる汝なんぢの神かみヱホバは燬やきつくす火ひにまして汝なんぢの前󠄃まへに進󠄃すゝみたまふとヱホバかならず彼かれらを滅ほろぼし彼かれらを汝なんぢの前󠄃まへに攻伏せめふせたまはんヱホバの汝なんぢに言いひたまひし如ごとく汝なんぢかれらを逐󠄃おひはらひ速󠄃すみやかに彼かれらを滅ほろぼすべし 4 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの前󠄃まへより彼かれらを逐󠄃おひはらひたまはん後のちに汝なんぢ心こゝろに言いふなかれ云いはく我われの義たゞしきがためにヱホバ我われをこの地ちに導󠄃みちびきいりてこれを獲えさせたまへりとそはこの國々くに〴〵の民たみの惡あしきがためにヱホバ之これを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまふなり 5 汝なんぢの往󠄃ゆきてその地ちを獲うるは汝なんぢの義たゞしきによるにあらず又󠄂またなんぢの心こゝろの直なほきによるに非あらずこの國々くに〴〵の民たみ惡あしきが故ゆゑに汝なんぢの神かみヱホバこれを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまふなりヱホバの斯かくしたまふはまた汝なんぢの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかひたりし言ことばを行おこなはんとてなり

6 汝なんぢ知しる汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに此この美よき地ちを與あたへて獲えさせたまふは汝なんぢの義たゞしきによるに非あらず汝なんぢは項うなじの强こはき民たみなればなり 7 汝なんぢ曠野あらのに於おいて汝なんぢの神かみヱホバを怒いからせし事ことを憶おぼえて忘󠄃わするゝ勿なかれ汝なんぢらはエジプトの地ちを出いだし日ひより此處このところにいたる日ひまで常つねにヱホバに悖もとれり 8 ホレブにおいて汝なんぢらヱホバを怒いからせたればヱホバ汝なんぢらを怒いかりて汝なんぢらを滅ほろぼさんとしたまへり 9 かの時ときわれ石いしの板いたすなはちヱホバの汝なんぢらに立たてたまへる契󠄅約けいやくを載のする石いしの板いたを受うけんとて山やまに上のぼり四十日にち四十夜や山やまに居をりパンも食󠄃くはず水みづも飮のまざりき 10 ヱホバ我われに神かみの指ゆびをもて書かきしるしたる文󠄃字もじある石いしの板いた二枚まいを授さづけたまへりその上うへには集會しふくわいの日ひにヱホバが山やまにおいて火ひの中なかより汝なんぢらに吿つげたまひし言ことばをことごとく載のす 11 すなはち四十日にち四十夜や過󠄃すぎし時ときヱホバ我われにその契󠄅約けいやくを載のする板いたなる石いしの板いた二枚まいを授さづけ 12 而しかしてヱホバ我われに言いひたまひけるは汝なんぢ起󠄃たちあがりて速󠄃すみやかに此こゝより下くだれ汝なんぢがエジプトより導󠄃みちびき出いだしゝ民たみは惡あしき事ことを行おこなふなり彼かれらは早はやくもわが彼かれらに命めいぜし道󠄃みちを離はなれて自己おのれのために偶像󠄃ぐうざうを鑄い造󠄃つくれりと
 341㌻ 
13 ヱホバまた我われに言いひたまひけるは我われこの民たみを觀みたり視みよ是これは項うなじの强こはき民たみなり 14 我われを阻とゞむるなかれ我われかれらを滅ほろぼしその名なを天あめが下したより抹けしさり汝なんぢをして彼かれらよりも强つよくまた大おほいなる民たみとならしむべし〘260㌻〙 15 是こゝに於おいて我われ身みをめぐらして山やまを下くだりけるが山やまは火ひにて燒やけをる又󠄂またその契󠄅約けいやくの板いた二枚まいはわが兩ふたつの手てにあり 16 斯かくて我われ觀みしに汝なんぢらはその神かみヱホバにむかひて罪つみを犯をかし自己おのれのために犢こうしを鑄い造󠄃つくりて早はやくもヱホバの汝なんぢらに命めいじたまひし道󠄃みちを離はなれたりしかば 17 我われその二枚まいの板いたをとりてわが兩ふたつの手てよりこれを擲なげうち汝なんぢらの目めの前󠄃まへにこれを碎くだけり 18 而しかして我われは前󠄃まへのごとく四十日にち四十夜やヱホバの前󠄃まへに伏ふして居をりパンも食󠄃くはず水みづも飮のまざりき是こは汝なんぢらヱホバの目めの前󠄃まへに惡あしき事ことをおこなひ之これを怒いからせて大おほいに罪つみを獲えたればなり 19 ヱホバ忿怒いかりを發はつし憤恨いきどほりをおこし汝なんぢらを怒いかりて滅ほろぼさんとしたまひしかば我われ懼おそれたりしが此度このたびもまたヱホバ我われに聽きゝたまへり 20 ヱホバまた痛いたくアロンを怒いかりてこれを滅ほろぼさんとしたまひしかば我われその時ときまたアロンのために祈いのれり 21 斯かくて我われなんぢらが作つくりて罪つみを犯をかしし犢こうしを取とり火ひをもて之これを燒やきこれを搗つきこれを善よく打うち碎くだきて細こまかき塵ちりとなしその塵ちりを山やまより流ながれ下くだるところの溪流たにがはに投棄なげすてたり

22 汝なんぢらはタベラ、マッサおよびキブロテハツタワにおいてもまたヱホバを怒いからせたり 23 またヱホバ、カデシバルネアより汝なんぢらを遣󠄃つかはさんとせし時とき言いひたまひけるは汝なんぢら上のぼりゆきて我わがなんぢらに與あたふる地ちを獲えて產業さんげふとせよと然しかるに汝なんぢらはその神かみヱホバの命めいに悖もとり之これを信しんぜずまたその言ことばを聽きかざりき 24 我わが汝なんぢらを識しりし日ひより以來このかた汝なんぢらは常つねにヱホバに悖もとりしなり
 342㌻ 

25 かの時ときヱホバ汝なんぢらを滅ほろぼさんと言いひたまひしに因よりて我われ最初はじめに伏ふしたる如ごとく四十日にち四十夜やヱホバの前󠄃まへに伏ふし 26 ヱホバに祈いのりて言いひけるは主しゆヱホバよ汝なんぢその大おほいなる權能ちからをもて贖あがなひ强つよき手てをもてエジプトより導󠄃みちびき出いだしゝ汝なんぢの民たみ汝なんぢの產業さんげふを滅ほろぼしたまふ勿なかれ 27 汝なんぢの僕しもべアブラハム、イサク、ヤコブを念おもひたまへ此この民たみの剛愎かたくなと惡あしきと罪つみとを鑑かんがみたまふ勿なかれ 28 恐おそらくは汝なんぢが我われらを導󠄃みちびき出いだしたまひし國くにの人ひと言いはんヱホバその約やくせし地ちにかれらを導󠄃みちびきいること能あたはざるに因よりまた彼かれらを惡にくむに因よりて彼かれらを導󠄃みちびき出いだして曠野あらのに殺ころせりと 29 抑そも〳〵かれらは汝なんぢの民たみ汝なんぢの產業さんげふにして汝なんぢが强つよき能力ちからをもて腕うでを伸のべて導󠄃みちびき出いだしたまひし者ものなり

第10章

1 かの時ときヱホバ我われに言いひたまひけるは汝なんぢ石いしの板いた二枚まいを前󠄃まへのごとくに斫きりて作つくりまた木きの匱はこ一箇ひとつを作つくりて山やまに登のぼり來きたれ 2 汝なんぢが碎くだきしかの前󠄃まへの板いたに載のせたる言ことばを我われその板いたに書しるさん汝なんぢこれをその匱はこに藏をさむべし〘261㌻〙 3 我われすなはち合歡木ねむのきをもて匱はこ一箇ひとつを作つくりまた石いしの板いた二枚まいを前󠄃まへのごとくに斫きりて作つくりその板いた二枚まいを手てに執とりて山やまに登のぼりしかば 4 ヱホバかの集會しふくわいの日ひに山やまにおいて火ひの中なかより汝なんぢらに吿つげたるその十誡じつかいを前󠄃まへに書しるしたるごとくその板いたに書しるし而しかしてヱホバこれを我われに授さづけたまへり 5 是こゝに於おいて我われ身みを轉めぐらして山やまより下くだりその板いたを我わが造󠄃つくりしかの匱はこに藏をさめたり今いまなほその中なかにありヱホバの我われに命めいじたまへる如ごとし 6 斯かくてイスラエルの子孫ひと〴〵はヤカン人びとの井ゐより出いでたちてモセラにいたれりアロン其處そこに死しにて其處そこに葬はうむられその子こエレアザルこれに代かはりて祭司さいしとなれり 7 又󠄂また其處そこより出いでたちてグデゴダにいたりグデゴダより出いでたちてヨテバにいたれりこの地ちには水みづの流ながれ多おほかりき 8 かの時ときヱホバ、レビの支󠄂派󠄄わかれを區分󠄃わかちてヱホバの契󠄅約けいやくの匱はこを舁かゝしめヱホバの前󠄃まへに立たちてこれに事つかへしめ又󠄂またヱホバの名なをもて祝しゆくすることを爲なさせたまへり其その事こと今日こんにちにいたる
 343㌻ 
9 是こゝをもてレビはその兄弟きやうだい等たちの中うちに分󠄃ぶんなくまた產業さんげふなし惟たゞヱホバその產業さんげふたり汝なんぢの神かみヱホバの彼かれに言いひたまへる如ごとし 10 我われは前󠄃まへの日ひ數󠄄かずのごとく四十日にち四十夜や山やまに居をりしがヱホバその時ときにもまた我われに聽きゝたまへりヱホバ汝なんぢを滅ほろぼすことを好このみたまはざりき 11 斯かくてヱホバ我われに言いひたまひけるは汝なんぢ起󠄃たちあがり民たみに先さきだちて進󠄃すゝみ行ゆき彼かれらをして我わが之これに與あたへんとその先祖せんぞに誓ちかひたる地ちに入いりてこれを獲えせしめよ

12 イスラエルよ今いま汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに要󠄃もとめたまふ事ことは何なんぞや惟たゞ是これのみ即すなはち汝なんぢがその神かみヱホバを畏おそれその一切すべての道󠄃みちに步あゆみ之これを愛あいし心こゝろを盡つくし精神せいしんを盡つくして汝なんぢの神かみヱホバに事つかへ 13 又󠄂また我わが今日けふ汝なんぢらに命めいずるヱホバの誡命いましめと法度のりとを守まもりて身みに福祉さいはひを得うるの事ことのみ 14 夫それ天てんと諸しよ天てんの天てんおよび地ちとその中うちにある者ものは皆みな汝なんぢの神かみヱホバに屬ぞくす 15 然しかるにヱホバたゞ汝なんぢの先祖せんぞ等たちを悅よろこびて之これを愛あいしその後のちの子孫しそんたる汝なんぢらを萬よろづの民たみの中うちより選󠄄えらびたまへり今日こんにちのごとし 16 然されば汝なんぢら心こゝろに割󠄅禮かつれいを行おこなへ重かさねて項うなじを强こはくする勿なかれ 17 汝なんぢの神かみヱホバは神かみの神かみ主しゆの主しゆ大おほいにしてかつ權能ちからある畏おそるべき神かみにましまし人ひとを偏󠄃かたより視みずまた賄賂まひなひを受うけず 18 孤兒みなしごと寡婦󠄃やもめのために審判󠄄さばきを行おこなひまた旅󠄃客たびゞとを愛あいしてこれに食󠄃物くひものと衣服󠄃きものを與あたへたまふ 19 汝なんぢら旅󠄃客たびゞとを愛あいすべし其そは汝なんぢらもエジプトの國くにに旅󠄃客たびゞとたりし事ことあればなり 20 汝なんぢの神かみヱホバを畏おそれ之これに事つかへこれに附つき從したがひその名なを指さして誓ちかふことをすべし 21 彼かれは汝なんぢの讃ほむべき者ものまた汝なんぢの神かみにして汝なんぢが目めに見みたる此これ等らの大おほいなる畏おそるべき事業わざをなしたまへり 22 汝なんぢの先祖せんぞ等たちは僅わづかか七十人にんにてエジプトに下くだりたりしに今いま汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢをして天空󠄃そらの星ほしのごとくに多おほくならしめたまへり〘262㌻〙
 344㌻ 

第11章

1 然されば汝なんぢの神かみヱホバを愛あいし常つねにその職守つとめと法度のりと律法おきてと誡命いましめとを守まもるべし 2 汝なんぢらの子女こどもは知しらずまた見みざれば我われこれに言いはず惟たゞ汝なんぢらに言いふ汝なんぢらは今日こんにちすでに汝なんぢらの神かみヱホバの懲戒こらしめとその大おほいなる事こととその强つよき手てとその伸のべたる腕うでとを知しり 3 またそのエジプトの中うちにおいてエジプト王わうパロとその全󠄃國ぜんこくにむかひておこなひたまひし徴證しるしと行爲わざとを知しり 4 またヱホバがエジプトの軍勢ぐんぜいとその馬うまとその車くるまとに爲なしたまひし事ことすなはち彼かれらが汝なんぢらの後あとを追󠄃おひきたれる時ときに紅海こうかいの水みづを彼かれらの上うへに覆󠄄おほひかゝらしめ之これを滅ほろぼして今日こんにちまでその跡あと方かたなからしめし事ことを知しり 5 また此處このところにいたるまで曠野あらのに於おいて汝なんぢらに爲なしたまひし事等ことどもを知しり 6 またそのルベンの子孫しそんなるエリアブの子等こどもダタンとアビラムに爲なしたまひし事ことすなはちイスラエルの全󠄃家ぜんかの眞󠄃中たゞなかにおいて地ちその口くちを啓󠄃ひらきて彼かれらとその家族かぞくとその天てん幕まくとその足下あしもとに立たつ者ものとを呑のみつくしゝ事ことを知しるなり 7 即すなはち汝なんぢらはヱホバの行おこなひたまひし此この諸もろ〳〵の大おほいなる作爲わざを目めに覩みたり

8 然されば汝なんぢら我わが今日こんにち汝なんぢらに命めいずる誡命いましめを盡こと〴〵く守まもるべし然しかせば汝なんぢらは强つよくなり汝なんぢらが濟わたりゆきて獲えんとする地ちにいりて之これを獲うることを得え 9 またヱホバが汝なんぢらと汝なんぢらの後のちの子孫しそんにあたへんと汝なんぢらの先祖せんぞ等たちに誓ちかひたまひし地ち乳󠄃ちゝと蜜みつとの流ながるゝ國くににおいて汝なんぢらの日ひを長ながうすることを得えん 10 汝なんぢらが進󠄃すゝみいりて獲えんとする地ちは汝なんぢらが出いで來きたりしエジプトの地ちのごとくならず彼處かしこにては汝なんぢら種たねを播まき足あしをもて之これに灌みづ漑󠄅そゝげりその狀さま蔬菜󠄄あおもの園ばたけにおけるが如ごとし 11 然されど汝なんぢらが濟わたりゆきて獲うるところの地ちは山やまと谷たにの多おほき地ちにして天てんよりの雨あま水みづを吸すふなり 12 その地ちは汝なんぢの神かみヱホバの顧󠄃かへりみたまふ者ものにして年としの始はじめより年としの終󠄃をはりまで汝なんぢの神かみヱホバの目め常つねにその上うへに在あり

13 汝なんぢらもし我わが今日けふなんぢらに命めいずる吾わが命令めいれいを善よく守まもりて汝なんぢらの神かみヱホバを愛あいし心こゝろを盡つくし精神せいしんを盡つくして之これに事つかへなば
 345㌻ 
14 我われなんぢらの地ちの雨あめを秋あきの雨あめ春はるの雨あめともに時ときに隨したがひて降󠄄くだし汝なんぢらをしてその穀物こくもつを收とり入いれしめ且かつ酒さけと油あぶらを獲えせしめ 15 また汝なんぢの家畜かちくのために野のに草くさを生しやうぜしむべし汝なんぢは食󠄃くらひて飽󠄄あかん 16 汝なんぢら自みづから愼つゝしむべし心こゝろ迷󠄃まよひ飜ひるがへりて他ほかの神々かみ〴〵に事つかへこれを拜をがむ勿なかれ 17 恐おそらくはヱホバ汝なんぢらにむかひて怒いかりを發はつして天てんを閉とぢたまひ雨あめふらず地ち物ものを生しやうぜずなりて汝なんぢらそのヱホバに賜たまはれる美よき地ちより速󠄃すみやかに滅亡ほろびうせるに至いたらん〘263㌻〙

18 汝なんぢら是等これらの我わが言ことばを汝なんぢらの心こゝろと魂たましひとの中うちに藏をさめまた之これを汝なんぢらの手てに結むすびて徴しるしとなし汝なんぢらの目めの間あひだにおきて誌おぼえとなし 19 之これをなんぢらの子等こどもに敎をしへ家いへに坐ざする時ときも路みちを步あゆむ時ときも寢いぬる時ときも興おくる時ときもこれを語かたり 20 また汝なんぢの家いへの柱󠄃はしらとなんぢの門もんに之これを書記かきしるすべし 21 然しかせばヱホバが汝なんぢらの先祖せんぞ等たちに與あたへんと誓ちかひたまひし地ちに汝なんぢらのをる日ひおよび汝なんぢらの子等こどものをる日ひは數󠄄かず多おほくして天てんの地ちを覆󠄄おほふ日ひの久ひさしきが如ごとくならん 22 汝なんぢらもし我わが汝なんぢらに命めいずる此この一切すべての誡命いましめを善よく守まもりてこれを行おこなひ汝等なんぢらの神かみヱホバを愛あいしその一切すべての道󠄃みちに步あゆみ之これに附つき從したがはゞ 23 ヱホバこの國々くに〴〵の民たみをことごとく汝なんぢらの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまはん而しかして汝なんぢらは己おのれよりも大おほいにして能力ちからある國々くに〴〵を獲うるにいたるべし 24 凡およそ汝なんぢらが足あしの蹠うらにて踏ふむ處ところは皆みな汝なんぢらの有󠄃ものとならん即すなはち汝なんぢらの境界さかひは曠野あらのよりレバノンに亘わたりまたユフラテ河がはといふ河かはより西にしの海うみに亘わたるべし 25 汝なんぢらの前󠄃まへに立たつことを得うる人ひとあらじ汝なんぢらの神かみヱホバ汝なんぢらが踏ふみいるところの地ちの人々ひと〴〵をして汝なんぢらを怖おぢ汝なんぢらを畏おそれしめたまふこと其その甞かつて汝なんぢらに言いひたまひし如ごとくならん

26 視みよ我われ今日けふ汝なんぢらの前󠄃まへに祝福めぐみと呪詛のろひとを置おく 27 汝なんぢらもし我わが今日けふなんぢらに命めいずる汝なんぢらの神かみヱホバの誡命いましめに遵󠄅したがはゞ祝福めぐみを得えん 28 汝なんぢらもし汝なんぢらの神かみヱホバの誡命いましめに遵󠄅したがはず飜ひるがへりて我わが今日けふなんぢらに命めいずる道󠄃みちを離はなれ素もと知しらざりし他ほかの神々かみ〴〵に從したがひなば呪詛のろひを蒙かうむらん
 346㌻ 
29 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが往󠄃ゆきて獲えんとする地ちに汝なんぢを導󠄃みちびきいりたまふ時ときは汝なんぢゲリジム山やまに祝福めぐみを置おきエバル山やまに呪詛のろひをおくべし 30 この二ふた山やまはヨルダンの彼旁かなたアラバに住󠄃すめるカナン人びとの地ちにおいて日ひの出いづる方かたの道󠄃みちの後うしろにありギルガルに對むかひてモレの橡樹かしのきと相あひ去さること遠󠄄とほざらざるにあらずや 31 汝なんぢらはヨルダンを濟わたり汝なんぢらの神かみヱホバの汝なんぢらに賜たまふ地ちに進󠄃すゝみいりて之これを獲えんとす必かならずこれを獲えて其處そこに住󠄃すむことを得えん 32 然されば我わが今日けふなんぢらに授さづくるところの法度のりと律法おきてを汝なんぢらことごとく守まもりて行おこなふべし

第12章

1 是これは汝なんぢの先祖せんぞ等たちの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて獲えさせたまふところの地ちにおいて汝なんぢらが世よに生存ながらふる日ひの間あひだ常つねに守まもり行おこなふべき法度のりと律法おきてとなり 2 汝なんぢらが逐󠄃おひはらふ國々くに〴〵の民たみがその神々かみ〴〵に事つかへし處ところは山やまにある者ものも岡をかにある者ものも靑あを樹きの下もとにある者ものもみな之これを盡こと〴〵く毀こぼち 3 その壇だんを毀こぼちその柱󠄃はしらを碎くだきそのアシラ像󠄃ざうを火ひにて燒やきまたその神々かみ〴〵の雕像󠄃てうざうを砍きり倒たふして之これが名なをその處ところより絕たち去さるべし〘264㌻〙 4 但たゞし汝なんぢらの神かみヱホバには汝なんぢら是かくのごとく爲なすべからず 5 汝なんぢらの神かみヱホバがその名なを置おかんとて汝なんぢらの支󠄂派󠄄わかれの中うちより擇えらびたまふ處ところなるヱホバの住󠄃居すみかを汝なんぢら尋󠄃たづね求もとめて其處そこにいたり 6 汝なんぢらの燔祭はんさいと犧牲いけにへ汝なんぢらの什一じふいちと汝なんぢらの手ての擧きよ祭さい汝なんぢらの願還󠄃ぐわんはたしと自意こゝろよりの禮物そなへものおよび汝なんぢらの牛うし羊ひつじの首出うひご等などを汝なんぢら其處そこに携たづさへ詣いたり 7 其處そこにて汝なんぢらの神かみヱホバの前󠄃まへに食󠄃しよくをなし又󠄂また汝なんぢらと汝なんぢらの家族かぞく皆みなその手てを勞らうして獲えたる物ものをもて快樂たのしみを取とるべし是これなんぢの神かみヱホバの祝福めぐみによりて獲えたるものなればなり 8 汝なんぢら彼處かしこにては我われらが今日けふ此こゝに爲なすごとく各々おの〳〵その目めに善よしと見みるところを爲なすべからず 9 汝なんぢらは尙なほいまだ汝なんぢらの神かみヱホバの賜たまふ安息あんそくと產業さんげふにいたらざるなり 10 然されど汝なんぢらヨルダンを渡わたり汝なんぢらの神かみヱホバの汝なんぢらに與あたへて獲えさせたまふ地ちに住󠄃すむにいたらん時ときまたヱホバ汝なんぢらの周󠄃圍󠄃まはりの敵てきを除のぞき汝なんぢらに安息あんそくを賜たまひて汝等なんぢら安泰やすらかに住󠄃すまふにいたらん時ときは
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11 汝なんぢらの神かみヱホバその名なを置おかんために一ひとつの處ところを擇えらびたまはん汝なんぢら其處そこに我わが命めいずる物ものを都すべて携たづさへゆくべし即すなはち汝なんぢらの燔祭はんさいと犧牲いけにへと汝なんぢらの什一じふいちと汝なんぢらの手ての擧きよ祭さいおよび汝なんぢらがヱホバに誓願せいぐわんをたてゝ献さゝげんと誓ちかひし一切すべての佳物よきものとを携たづさへいたるべし 12 汝なんぢらは汝なんぢらの男子むすこ 女子むすめ 僕しもべ 婢しもめとともに汝なんぢらの神かみヱホバの前󠄃まへに樂たのしむべしまた汝なんぢらの門もんの內うちにをるレビ人びととも然しかすべし其そは是これは汝なんぢらの中間うちに分󠄃ぶんなく產業さんげふなき者ものなればなり 13 汝なんぢ愼つゝしめ凡すべて汝なんぢが自みづから擇えらぶ處ところにて燔祭はんさいを獻さゝげることをする勿なかれ 14 唯たゞ汝なんぢらの支󠄂派󠄄わかれの一ひとつの中うちにヱホバの選󠄄えらびたまはんその處ところに於おいて汝なんぢ燔祭はんさいを獻さゝげまた我わが汝なんぢに命めいずる一切すべての事ことを爲なすべし

15 彼處かしこにては汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢにたまふ祝福めぐみに循したがひて汝なんぢその心こゝろに好このむ獸畜けものを汝なんぢの門もんの內うちに殺ころしてその肉󠄁にくを食󠄃くらふことを得う即すなはち汚けがれたる人ひとも潔󠄄きよき人ひともこれを食󠄃くらふを得うること羚羊かもしかと牡を鹿じかに於おけるが如ごとし 16 但たゞしその血ちは食󠄃くらふべからず水みづの如ごとくにこれを地ちに灌そゝぐべし 17 汝なんぢの穀物こくもつと酒さけと油あぶらの什一じふいつおよび汝なんぢの牛うし羊ひつじの首出うひごならびに汝なんぢが立たてし誓願せいぐわんを還󠄃はたすための禮物そなへものと汝なんぢの自意こゝろよりの禮物そなへものおよび汝なんぢの手ての擧きよ祭さいの品しなは汝なんぢこれを汝なんぢの門もんの內うちに食󠄃くらふべからず 18 汝なんぢの神かみヱホバの選󠄄えらびたまふ處ところにおいて汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに汝なんぢこれを食󠄃くらふべし即すなはち汝なんぢの男子むすこ 女子むすめ 僕しもべ 婢しもめおよび汝なんぢの門もんの內うちにをるレビ人びととともに之これを食󠄃くらひ汝なんぢの手てを勞らうして獲えたる一切すべての物ものをもて汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに快樂たのしみを取とるべし 19 汝なんぢ愼つゝしめ汝なんぢが世よに生存ながらふる日ひの間あひだレビ人びとを棄すつる勿なかれ〘265㌻〙

20 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢに言いひしごとくに汝なんぢの境界さかひを廣ひろくしたまふに及および汝なんぢ心こゝろに肉󠄁にくを食󠄃くらふことを欲ほつして言いはん我われ肉󠄁にくを食󠄃くらはんと然しかる時ときは汝なんぢすべてその心こゝろに好このむ肉󠄁にくを食󠄃くらふことを得うべし 21 もし汝なんぢの神かみヱホバのその名なを置おかんとて擇えらびたまへる處ところ汝なんぢと離はなるゝこと遠󠄄とほからば我わが汝なんぢに命めいぜし如ごとく汝なんぢそのヱホバに賜たまはれる牛うし羊ひつじを宰ほふり汝なんぢの門もんの內うちにて凡すべてその心こゝろに好このむ者ものを食󠄃くらふべし
 348㌻ 
22 牡を鹿じかと羚羊かもしかを食󠄃くらふがごとく汝なんぢこれを食󠄃くらふことを得う汚けがれたる者ものも潔󠄄きよき者ものも均ひとしくこれを食󠄃くらふことを得うるなり 23 唯たゞ堅かたく愼つゝしみてその血ちを食󠄃くらはざれ血ちはこれが生命いのちなればなり汝なんぢその生命いのちを肉󠄁にくとともに食󠄃くらふべからず 24 汝なんぢこれを食󠄃くらふ勿なかれ水みづのごとくにこれを地ちに灌そゝぐべし 25 汝なんぢ血ちを食󠄃くらはざれ汝なんぢもし斯かくヱホバの善よしと觀みたをふ事ことを爲なさば汝なんぢの身みと汝なんぢの後のちの子孫しそんとに福祉さいはひあらん 26 唯たゞ汝なんぢの献さゝげたる聖󠄃物きよきものと誓願せいぐわんの物ものとはこれをヱホバの擇えらびたまふ處ところに携たづさへゆくべし 27 汝なんぢ燔祭はんさいを獻さゝぐる時ときはその肉󠄁にくと血ちを汝なんぢの神かみヱホバの壇だんに供そなふべくまた犧牲いけにへを獻さゝぐる時ときはその血ちを汝なんぢの神かみヱホバの壇だんの上うへに灌そゝぎその肉󠄁にくを食󠄃くらふべし 28 わが汝なんぢに命めいずる是等これらの言ことばを汝なんぢ聽きゝて守まもれ汝なんぢかく汝なんぢの神かみヱホバの善よしと觀み正たゞしと觀みたまふ事ことを爲なさば汝なんぢと汝なんぢの後のちの子孫しそんに永ながく福祉さいはひあらん

29 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが往󠄃ゆきて逐󠄃おひはらはんとする國々くに〴〵の民たみを汝なんぢの前󠄃まへより絕たち去さりたまひて汝なんぢつひにその國々くに〴〵を獲えてその地ちに住󠄃すむにいたらん時ときは 30 汝なんぢみづから愼つゝしめ彼かれらが汝なんぢの前󠄃まへに亡ほろびたる後のち汝なんぢかれらに傚ならひて罟わなにかゝる勿なかれまた彼かれらの神かみを尋󠄃たづね求もとめこの國々くに〴〵の民たみは如何いかなる樣さまにてその神々かみ〴〵に事つかへたるか我われもその如ごとくにせんと言いふことなかれ 31 汝なんぢの神かみヱホバに向むかひては汝なんぢ然しかす可べからず彼かれらはヱホバの忌いみかつ憎にくみたまふ諸もろ〳〵の事ことをその神かみにむかひて爲なしその男子むすこ女子むすめをさへ火ひにて焚やきてその神々かみ〴〵に獻さゝげたり

32 我わが汝なんぢらに命めいずるこの一切すべての言ことばをなんぢら守まもりて行おこなふべし汝なんぢこれを增ますなかれまた之これを減へらすなかれ

第13章

1 汝なんぢらの中うちに預言者よげんしやあるひは夢ゆめみる者もの興おこりて徴證しるしと奇蹟ふしぎを汝なんぢに見しめし 2 汝なんぢに吿つげて我われらは今いまより汝なんぢと我われとが是これまで識しらざりし他ほかの神々かみ〴〵に從したがひて之これに事つかへんと言いふことあらんにその徴證しるしまたは奇蹟ふしぎこれが言いふごとく成󠄃なるとも
 349㌻ 
3 汝なんぢその預言者よげんしやまたは夢ゆめみる者ものの言ことばに聽きゝしたがふ勿なかれ其そは汝等なんぢらの神かみヱホバ汝なんぢらが心こゝろを盡つくし精神せいしんを盡つくして汝なんぢらの神かみヱホバを愛あいするや否いなやを知しらんとて斯かくなんぢらを試こゝろみたまふなればなり〘266㌻〙 4 汝なんぢらは汝なんぢらの神かみヱホバに從したがひて步あゆみ之これを畏おそれその誡命いましめを守まもりその言ことばに遵󠄅したがひ之これに事つかへこれに附つき從したがふべし 5 その預言者よげんしやまたは夢ゆめみる者ものをば殺ころすべし是こは彼かれ汝なんぢらをして汝なんぢらをエジプトの國くにより導󠄃みちびき出いだし奴隸どれいの家いへより贖あがなひ取とりたる汝なんぢらの神かみヱホバに背そむかせんとし汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに步あゆめと命めいぜし道󠄃みちより汝なんぢを誘いざなひ出いださんとして語かたるに因よりてなり汝なんぢ斯かくして汝なんぢの中うちより惡あくを除のぞき去さるべし

6 汝なんぢの母はゝの生うめる汝なんぢの兄弟きやうだいまたは汝なんぢの男子むすこ女子むすめまたは汝なんぢの懷ふところの妻つままたは汝なんぢと身しん命めいを共ともにする汝なんぢの友とも潜ひそかに汝なんぢを誘いざなひて言いふあらん汝なんぢも汝なんぢの先祖せんぞ等たちも識しらざりし他ほかの神々かみ〴〵に我われら往󠄃ゆきて事つかへん 7 即すなはち汝なんぢの周󠄃圍󠄃まはりにある國々くに〴〵の神かみの或あるひは汝なんぢに近󠄃ちかく或あるひは汝なんぢに遠󠄄とほくして地ちの此この極はてより地ちの彼かの極はてまでに鎭しづまり坐をる者ものに我われら事つかへんと斯かく言いふことあるとも 8 汝なんぢこれに從したがふ勿なかれ之これに聽きくなかれ之これを惜をしみ視みる勿なかれ之これを憐あはれむなかれ之これを庇おほひ匿かくす勿なかれ 9 汝なんぢかならず之これを殺ころすべし之これを殺ころすには汝なんぢまづ之これに手てを下くだし然しかる後のちに民たみみな手てを下くだすべし 10 彼かれはエジプトの國くに奴隸どれいの家いへより汝なんぢを導󠄃みちびき出いだしたまひし汝なんぢの神かみヱホバより汝なんぢを誘いざなひ離はなさんと求もとめたれば汝なんぢ石いしをもて之これを擊うち殺ころすべし 11 然しかせばイスラエルみな聞きゝて懼おそれ重かさねて斯かゝる惡あしき事ことを汝なんぢらの中うちに行おこなはざらん

12 汝なんぢ聞きくに汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて住󠄃すましめたまへる汝なんぢの邑まちの一ひとつに 13 邪󠄅僻よこしまなる人々ひと〴〵興おこり我われらは今いままで識しらざりし他ほかの神々かみ〴〵に往󠄃ゆきて事つかへんと言いひてその邑まちに住󠄃すむ人ひとを誘いざなひ惑まどはしたりと言いふあらば 14 汝なんぢこれを尋󠄃たづね探さぐり善よく問とふべし若もしその事こと眞󠄃まことにその言ことば確たしかにして斯かゝる憎にくむべき事こと汝なんぢらの中うちに行おこなはれたらば
 350㌻ 
15 汝なんぢかならずその邑まちに住󠄃すむ者ものを刃󠄃やいばにかけて擊うちころしその邑まちとその中うちに居をる一切すべての者ものおよびその家畜かちくを刃󠄃やいばにかけて盡こと〴〵く擊うちころすべし 16 またその中うちより獲えたる掠取物ぶんどりものは凡すべてこれをその衢ちまたに集あつめ火ひをもてその邑まちとその一切すべての掠取物ぶんどりものをことごとく焚やきて汝なんぢの神かみヱホバに供そなふべし是これは永ながく荒邱あれあととなりて再ふたゝび建󠄄たてなほさるゝこと無なかるべきなり 17 斯かく汝なんぢこの詛のろはれし物ものを少許すこしも汝なんぢの手てに附つけおく勿なかれ然しかせばヱホバその烈はげしき怒いかりを靜しづめ汝なんぢに慈悲じひを加くはへて汝なんぢを憐あはれみ汝なんぢの先祖せんぞ等たちに誓ちかひしごとく汝なんぢの數󠄄かずを衆おほくしたまはん 18 汝なんぢもし汝なんぢの神かみヱホバの言ことばを聽きき我わが今日けふなんぢに命めいずるその一切すべての誡命いましめを守まもり汝なんぢの神かみヱホバの善よしと觀みたまふ事ことを行おこなはゞ是かくのごとくなるべし

第14章

1 汝なんぢらは汝等なんぢらの神かみヱホバの子等こどもなり汝なんぢら死しぬる者もののために己おのが身みに傷きずつくべからずまた己おのが目めの間あひだにあたる頂いたゞきの髮かみを剃そるべからず〘267㌻〙 2 其そは汝なんぢは汝なんぢの神かみヱホバの聖󠄃きよき民たみなればなりヱホバは地ちの面おもての諸もろ〳〵の民たみの中うちより汝なんぢを擇えらびて己おのれの寳たからの民たみとなし給たまへり

3 汝なんぢ穢けがらはしき物ものは何なにをも食󠄃くらふ勿なかれ 4 汝なんぢらが食󠄃くらふべき獸畜けものは是これなり即すなはち牛うし 羊ひつじ 山羊やぎ 5 牡を鹿じか 羚羊かもしか 小鹿こじか 麣やまひつじ 麞くじか 麈おほじか 麖おほくじかなど 6 凡すべて獸畜けものの中うち蹄ひづめの分󠄃わかれ割󠄅われて二ふたつの蹄ひづめを成󠄃なせる反蒭にれはむ獸けものは汝なんぢら之これを食󠄃くらふべし 7 但たゞし反蒭にれはむ者ものと蹄ひづめの分󠄃わかれたる者ものの中うち汝なんぢらの食󠄃くらふべからざる者ものは是これなり即すなはち駱駝らくだ 兎うさぎおよび山やま鼠ねづみ是これらは反蒭にれはめども蹄ひづめわかれざれば汝なんぢらには汚けがれたる者ものなり 8 また豚ぶた是これは蹄ひづめわかるれども反蒭にれはむことをせざれば汝なんぢらには汚けがれたる者ものなり汝なんぢら是等これらの物ものの肉󠄁にくを食󠄃くらふべからずまたその死體しかばねに捫さはるべからず

9 水みづにをる諸もろ〳〵の物ものの中うち是かくのごとき者ものを汝なんぢら食󠄃くらふべし即すなはち凡すべて翅ひれと鱗うろこのある者ものは皆みな汝なんぢら之これを食󠄃くらふべし 10 凡すべて翅ひれと鱗うろこのあらざる者ものは汝なんぢらこれを食󠄃くらふべからず是これは汝なんぢらには汚けがれたる者ものなり
 351㌻ 

11 また凡すべて潔󠄄きよき鳥とりは皆みな汝なんぢらこれを食󠄃くらふべし 12 但たゞし是等これらは食󠄃くらふべからず即すなはち鵰わし 黃鷹くまたか 鳶とび 13 鸇はやぶさ 鷹たか 黑くろ鷹たか の類たぐひ 14 各種もろもろの鴉󠄄からすの類たぐひ 15 駝鳥だてう 梟ふくろ 鷗かもめ 雀すゞめ鷹たかの類たぐひ 16 鸛󠄂かう 鷺さぎ 白はく鳥てう 17 鸅鸕をすめどり 大おほ鷹たか 鷀󠄅う 18 鶴つる 鸚鵡おうむの類たぐひ 鷸しぎおよび蝙󠄃蝠かうもり 19 また凡すべて羽翼󠄅つばさありて匍はふところの者ものは汝なんぢらには汚けがれたる者ものなり汝なんぢらこれを食󠄃くらふべからず 20 凡すべて羽翼󠄅つばさをもて飛とぶところの潔󠄄きよき物ものは汝なんぢらこれを食󠄃くらふべし

21 凡およそ自みづから死しにたる者ものは汝なんぢら食󠄃くらふべからず汝なんぢの門もんの內うちにをる他よそ國ぐにの人ひとに之これを與あたへて食󠄃くはしむべし又󠄂またこれを異邦󠄆人ことくにびとに賣うるも可よし汝なんぢは汝なんぢの神かみヱホバの聖󠄃きよき民たみなればなり汝なんぢ山羊羔こやぎをその母はゝの乳󠄃ちゝにて煮にるべからず

22 汝なんぢかならず年々とし〴〵に田畝はたけに種たね蒔まきて獲うるところの產物さんぶつの什一じふいつを取とるべし 23 而しかして汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへすなはちヱホバのその名なを置おかんとて擇えらびたまはん處ところにおいて汝なんぢの穀物こくもつと酒さけと油あぶらの什一じふいつを食󠄃くらひまた汝なんぢの牛うし羊ひつじの首出うひごを食󠄃くらひ斯かくして汝なんぢの神かみヱホバを常つねに畏おそるゝことを學まなぶべし 24 但たゞしその路みち行ゆくに勝󠄃たへがたくして之これを携たづさへいたること能あたはざる時ときまたは汝なんぢの神かみヱホバのその名なを置おかんとて擇えらびたまへる處ところ汝なんぢを離はなるゝこと餘あまりに遠󠄄とほき時ときは汝なんぢもし汝なんぢの神かみヱホバの恩惠めぐみに潤うるほふ身みならば 25 その物ものを金かねに易かへその金かねを包󠄃つゝみて手てに執とり汝なんぢの神かみヱホバの擇えらびたまへる處ところに往󠄃ゆき 26 凡すべて汝なんぢの心こゝろの好このむ物ものをその金かねに易かふべし即すなはち牛うし 羊ひつじ 葡萄ぶだう酒しゆ 濃酒こきさけなど凡すべて汝なんぢが心こゝろに欲ほつする物ものをもとめ其處そこにて汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへにこれを食󠄃くらひ汝なんぢと汝なんぢの家族かぞくともに樂たのしむべし〘268㌻〙 27 汝なんぢの門もんの內うちにをるレビ人びとを棄すつる勿なかれ是これは汝なんぢの中間うちに分󠄃ぶんなく產業さんげふなき者ものなればなり

28 三年ねんの末すゑに到いたる每ごとにその年としの產物さんぶつの十分󠄃ぶんの一を盡こと〴〵く持もち出いだしてこれを汝なんぢの門もんの內うちに儲蓄たくはふべし 29 然しかる時ときは汝なんぢの中間うちに分󠄃ぶんなく產業さんげふなきレビ人びとおよび汝なんぢの門もんの內うちにをる他よそ國ぐにの人ひとと孤子みなしごと寡婦󠄃やもめなど來きたりてこれを食󠄃くらひて飽󠄄あかん斯かくせば汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが手てをもて爲なすところの諸もろ〳〵の事ことにおいて汝なんぢに福祉さいはひを賜たまふべし
 352㌻ 

第15章

1 七年ねんの終󠄃おはりに至いたるごとに汝なんぢ放釋ゆるしを行おこなふべし 2 その放釋ゆるしの例れいは是かくのごとし凡すべてその鄰󠄄となりに貸かすことを爲なししその債かし主ぬしは之これを放釋ゆるすべしその鄰󠄄となりまたはその兄弟きやうだいにこれを督促はたるべからず是これはヱホバの放釋ゆるしと稱󠄄となへらるればなり 3 異こと國くにの人ひとには汝なんぢこれを督促はたることを得えされど汝なんぢの兄弟きやうだいに貸かしたる物ものは汝なんぢの手てよりこれを放釋ゆるすべし 4 斯かくせば汝なんぢらの中間うちに貧󠄃者まづしきものなからん其そは汝なんぢの神かみヱホバその汝なんぢに與あたへて產業さんげふとなさしめたまふ地ちにおいて大おほいに汝なんぢを祝福めぐみたまふべければなり 5 只たゞ汝なんぢもし謹つゝしみて汝なんぢの神かみヱホバの言ことばに聽きゝしたがひ我わが今日けふなんぢに命めいずるこの誡命いましめを盡こと〴〵く守まもり行おこなふに於おいては是かくのごとくなるべし 6 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢに言いひしごとく汝なんぢを祝福めぐみたまふべければ汝なんぢは衆多おほくの國人くにびとに貸かすことを得うべし然されど借かること有󠄃あらじまた汝なんぢは衆多おほくの國人くにびとを治をさめん然されど彼かれらは汝なんぢを治をさむることあらじ

7 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ地ちにおいて若もし汝なんぢの兄弟きやうだいの貧󠄃まづしき人ひと汝なんぢの門もんの中うちにをらばその貧󠄃まづしき兄弟きやうだいにむかひて汝なんぢの心こゝろを剛愎かたくなにする勿なかれまた汝なんぢの手てを閉とづる勿なかれ 8 かならず汝なんぢの手てをこれに開ひらき必かならずその要󠄃もとむる物ものをこれに貸かしあたへてこれが乏とぼしきを補おぎなふべし 9 汝なんぢ愼つゝしめ心こゝろに惡あしき念おもひを起󠄃おこし第だい七年ねん放釋ゆるしの年とし近󠄃ちかづけりと言いひて汝なんぢの貧󠄃まづしき兄弟きやうだいに目めをかけざる勿なかれ汝なんぢもし斯かく之これに何なにをも與あたへずしてその人ひとこれがために汝なんぢをヱホバに訴うつたへなば汝なんぢ罪つみを獲えん 10 汝なんぢかならず之これに與あたふることを爲なすべしまた之これに與あたふる時ときは心こゝろに惜をしむこと勿なかれ其そは此事このことのために汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの諸もろ〳〵の事業わざと汝なんぢの手ての諸もろ〳〵の働作はたらきとに於おいて汝なんぢを祝福めぐみたまふべければなり 11 貧󠄃まづしき者ものは何時いつまでも國くににたゆること無なかるべければ我われ汝なんぢに命めいじて言いふ汝なんぢかならず汝なんぢの國くにの中うちなる汝なんぢの兄弟きやうだいの困難者なやめるものと貧󠄃乏まづしき者ものとに汝なんぢの手てを開ひらくべし
 353㌻ 

12 汝なんぢの兄弟きやうだいたるヘブルの男をとこまたはヘブルの女をんな汝なんぢの許もとに賣うられたらんに若もし六年ねんなんぢに事つかへたらば第だい七年ねんに汝なんぢこれを放はなちて去さらしむべし〘269㌻〙 13 汝なんぢこれを放はなちて去さらしむる時ときは空󠄃手むなしでにて去さらしむべからず 14 汝なんぢの群むれと禾場うちばと搾しぼり場ばの中うちより贈物おくりものを取とりて之これが肩󠄃かたに負󠄅おはすべし即すなはち汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢを祝福めぐみて賜たまふところの物ものをこれに與あたふべし 15 汝なんぢ記憶おぼゆべし汝なんぢはエジプトの國くにに奴隸どれいたりしが汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢを贖あがなひ出いだしたまへり是故このゆえに我われ今日けふこの事ことを汝なんぢに命めいず 16 その人ひともし汝なんぢと汝なんぢの家いへを愛あいし汝なんぢと偕ともにをるを善よしとして汝なんぢにむかひ我われ汝なんぢを離はなれて去さるを好このまずと言いはば 17 汝なんぢ錐きりを取とりて彼かれの耳みゝを戶とに刺さしとほすべし然しかせば彼かれは永ながく汝なんぢの僕しもべたるべし汝なんぢの婢しもめにもまた是かくのごとくすべし 18 汝なんぢこれを放はなちて去さらしむるを難かたき事ことと見みるべからず其そは彼かれが六年ねん汝なんぢに事つかへて働はたらきしは工價あたひを取とる傭人やとひびとの二倍ばいに當あたればなり汝なんぢ斯かくなさば汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが凡すべて爲なすところの事ことに於おいて汝なんぢをめぐみたまふべし

19 汝なんぢの牛うし羊ひつじの產うめる初子うひごは皆みなこれを聖󠄃別きよめて汝なんぢの神かみヱホバに歸きせしむべし汝なんぢの牛うしの初子うひごをもちゐて何なにの工作わざをも爲なすべからず又󠄂また汝なんぢの羊ひつじの初子うひごの毛けを剪きるべからず 20 汝なんぢの神かみヱホバの選󠄄えらびたまへる處ところにてヱホバの前󠄃まへに汝なんぢと汝なんぢの家族かぞく年々とし〴〵にこれを食󠄃くらふべし 21 然されどその畜けものもし疵きずある者ものすなはち跛足あしなへ盲目めくらなるなど凡すべて惡あしき疵きずある者ものなる時ときは汝なんぢの神かみヱホバにこれを宰ほふりて獻さゝぐべからず 22 汝なんぢの門もんの內うちにこれを食󠄃くらふべし汚けがれたる者ものも潔󠄄きよき者ものも均ひとしくこれを食󠄃くらふを得うること牡を鹿じかと羚羊かもしかのごとし 23 但たゞしその血ちはこれを食󠄃くらふべからず水みづのごとくにこれを地ちに灌そゝぐべし

第16章

1 汝なんぢアビブの月󠄃つきを守まもり汝なんぢの神かみヱホバに對むかひて逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなへ其そはアビブの月󠄃つきに於おいて汝なんぢの神かみヱホバ夜よの間まに汝なんぢをエジプトより導󠄃みちびき出いだしたまひたればなり 2 汝なんぢすなはちヱホバのその名なを置おかんとて擇えらびたまふ處ところにて羊ひつじおよび牛うしを宰ほふり汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに逾越節󠄄すぎこしのいはひをなすべし
 354㌻ 
3 酵たねいれたるパンを之これとともに食󠄃くらふべからず七日なぬかの間あひだ酵たねいれぬパン即すなはち憂患うれへのパンを之これとともに食󠄃くらふべし其そは汝なんぢエジプトの國くにより出いづる時ときは急󠄃いそぎて出いでたればなり斯かくおこなひて汝なんぢその世よに生存ながらふる日ひの間あひだ恒つねに汝なんぢがエジプトの國くにより出いで來きし日ひを誌おぼゆべし 4 その七日なぬかの間あひだは汝なんぢの四方よもの境さかひの內うちにパン酵だねの見みゆること有󠄃あらしむべからず又󠄂またなんぢが初はじめの日ひの薄󠄄暮ゆふぐれに宰ほふりたる者ものの肉󠄁にくを翌󠄃朝󠄃あくるあさまで存のこしおくべからず 5 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ汝なんぢの門もんの內うちにて逾越すぎこしの牲畜けものを宰ほふることを爲なすべからず 6 惟たゞ汝なんぢの神かみヱホバのその名なを置おかんとて選󠄄えらびたまふ處ところにて汝なんぢ薄󠄄暮ゆふぐれの日ひの入いる頃ころ汝なんぢがエジプトより出いでたる時刻󠄂じこくに逾越すぎこしの牲畜けものを宰ほふるべし〘270㌻〙 7 而しかして汝なんぢの神かみヱホバの選󠄄えらびたまふ處ところにて汝なんぢこれを燔やきて食󠄃くらひ朝󠄃あしたにおよびて汝なんぢの天てん幕まくに歸かへり往󠄃ゆくべし 8 汝なんぢ六日むいかの間あひだ酵たねいれぬパンを食󠄃くらひ第七日なぬかめに汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに會くわいを開ひらくべし何なにの職しよく業げふをも爲なすべからず

9 汝なんぢまた七なゝ七日なぬかを計かぞふべし即すなはち穀物こくもつに鎌󠄃かまをいれ初そむる時ときよりしてその七なゝ七日なぬかを計かぞへ始はじむべきなり 10 而しかして汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに七なな週󠄃まはりの節󠄄筵いはひを行おこなひ汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢを祝福めぐみたまふ所󠄃ところにしたがひ汝なんぢの力ちからに應おうじてその心こゝろに願ねがふ禮物そなへものを献さゝぐべし 11 斯かくして汝なんぢと汝なんぢの男子むすこ女子むすめ僕しもべ婢しもめおよび汝なんぢの門もんの內うちに居をるレビ人びとならびに汝なんぢらの中間うちにをる賓旅󠄃たびゞとと孤子みなしごと寡婦󠄃やもめみなともに汝なんぢの神かみヱホバのその名なを置おかんとて選󠄄えらびたまふ處ところにて汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに樂たのしむべし 12 汝なんぢその昔むかしエジプトに奴隸どれいたりしことを誌おぼえ是等これらの法度のりを守まもり行おこなふべし

13 汝なんぢ禾場うちばと搾しぼり場ばの物ものを收藏をさめたる時とき七日なぬかの間あひだ結茅節󠄄かりほずまひのいはひをおこなふべし 14 節󠄄筵いはひをなす時ときには汝なんぢと汝なんぢの男子むすこ女子むすめ僕しもべ婢しもめおよび汝なんぢの門もんの內うちなるレビ人びと賓旅󠄃たびゞと孤子みなしご寡婦󠄃やもめなど皆みなともに樂たのしむべし 15 ヱホバの選󠄄えらびたまふ處ところにて汝なんぢ七日なぬかの間あひだなんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに節󠄄筵いはひをなすべし汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの諸もろ〳〵の產物さんぶつと汝なんぢが手ての諸もろ〳〵の工事わざとについて汝なんぢを祝福めぐみたまふべければ汝なんぢかならず樂たのしむことを爲なすべし
 355㌻ 
16 汝なんぢの中間うちの男をとこは皆みななんぢの神ヱホバの擇えらびたまふ處ところにて一年ひととせに三次󠄄みたび即すなはち酵たねいれぬパンの節󠄄いはひと七なな週󠄃まはりの節󠄄いはひと結茅かりほずまひの節󠄄いはひとに於おいてヱホバの前󠄃まへに出いづべし但たゞし空󠄃手むなしでにてヱホバの前󠄃まへに出いづべからず 17 各人おのおの汝なんぢの神かみヱホバに賜たまはる恩惠めぐみにしたがひて其その力ちからにおよぶ程󠄃ほどの物ものを献さゝぐべし

18 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ一切すべての邑々まちまちに汝なんぢの支󠄂派󠄄わかれに循したがひて士師さばきびとと官つかさ人びとを立たつべし彼かれらはまだ義ただしき審判󠄄さばきをもて民たみを審判󠄄さばくべし 19 汝なんぢ裁判󠄄さばきを枉まぐべからず人ひとを偏󠄃視かたよりみるべからずまた賄賂まひなひを取とるべからず賄賂まひなひは智者かしこきものの目めを暗󠄃くらまし義者ただしきものの言ことばを枉まぐればなり 20 汝なんぢただ公󠄃義ただしきを而已のみ求もとむべし然させば汝なんぢ生存いきながらへて汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ地ちを獲うるにいたらん

21 汝なんぢの神かみヱホバのために築きづくところの壇だんの傍かたはらにアシラの木もく像󠄃ざうを立たつべからず 22 また汝なんぢの神かみヱホバの惡にくみたまふ偶像󠄃ぐうざうを己おのれのために造󠄃つくるべからず

第17章

1 凡すべて疵きずあり惡あしき處ところある牛うし羊ひつじは汝なんぢこれを汝なんぢの神かみヱホバに献さゝぐべからず斯かゝる者ものは汝なんぢの神かみヱホバの忌嫌󠄃いみきらひたまふ者ものなればなり〘271㌻〙

2 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ邑々まちまちの中うちにて汝なんぢらの中間うちに若もし或ある男をとこまたは女をんな汝なんぢの神かみヱホバの目めの前󠄃まへに惡事あくじを行おこなひてその契󠄅約けいやくに悖もとり 3 往󠄃ゆきて他ほかの神々かみ〴〵に事つかへてこれを拜をがみ我わが命めいぜざる日ひや月󠄃つきや天てんの衆群しうぐんなどを拜をがむあらんに 4 その事ことを汝なんぢに吿つぐる者ものありて汝なんぢこれを聞きき細こまかにこれを査しらべ見みるにその事こと眞󠄃まことにその言ことば確たしかにしてイスラエルの中うちに斯かゝる憎にくむべき事こと行おこなはれ居ゐたらば
 356㌻ 
5 汝なんぢその惡あしき事ことを行おこなへる男をとこまたは女をんなを汝なんぢの門もんに曳ひきいだし石いしをもてその男をとこまたは女をんなを擊うち殺ころすべし 6 殺ころすべき者ものは二に人にんの證人あかしびとまたは三さん人にんの證人あかしびとの口くちに依よりてこれを殺ころすべし惟たゞ一いち人にんの證人あかしびとの口くちのみをもて之これを殺ころすことは爲なすべからず 7 斯かゝる者ものを殺ころすには證人あかしびとまづその手てを之これに加くはへ然しかる後のちに民たみみなその手てを加くはふべし汝なんぢかく惡事あくじを汝なんぢらの中うちより除のぞくべし

8 汝なんぢの門もんの內うちに訟󠄃うつたへ爭あらそふ事ことおこるに當あたりその事件ことがらもし血ちを相あひ流ながす事ことまたは權理けんりを相あひ爭あらそふ事ことまたは互たがひに相あひ擊うちたる事ことなどにして汝なんぢに裁判󠄄さばきかぬる者ものならば汝なんぢ起󠄃たちあがりて汝なんぢの神かみヱホバの選󠄄えらびたまふ處ところに上のぼり往󠄃ゆき 9 祭司さいしなるレビ人びとと當時そのときの士師さばきびととに詣いたりて問とふべし彼かれら裁判󠄄さばきの言詞ことばを汝なんぢに示しめさん 10 ヱホバの選󠄄えらびたまふ處ところにて彼かれらが汝なんぢに示しめす命令めいれいの言ことばのごとくに汝なんぢ行おこなひ凡すべて彼かれらが汝なんぢに敎をしふるごとくに愼つゝしみて爲なすべし 11 即すなはち故ゆゑらが汝なんぢに敎をしふる律法おきての命令めいれいに循したがひ彼かれらが汝なんぢに吿つぐる裁判󠄄さばきに依よりて行おこなふべし彼かれらが汝なんぢに示しめす言ことばに違󠄇たがふて右みぎにも左ひだりにも偏󠄃かたよるべからず 12 人ひともし自みづから壇斷ほしいままにしその汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに立たちて事つかふる祭司さいしまたはその士師さばきびとに聽きゝしたがはざる有󠄃あらばその人ひとを殺ころしイスラエルの中うちより惡あくを除のぞくべし 13 然しかせば民たみみな聞きゝて畏おそれ重かさねて壇斷ほしいままに事ことをなさざらん

14 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ地ちに汝なんぢいたり之これを獲えて其處そこに住󠄃すむにおよべる時とき汝なんぢもし我わが周󠄃圍󠄃まはりの一切すべての國人くにびとのごとくに我われも王わうをわが上うへに立たてんと言いふあらば 15 只たゞなんぢの神かみヱホバの選󠄄えらびたまふ人ひとを汝なんぢの上うへにたてて王わうとなすべしまた汝なんぢの上うへに王わうを立たつるには汝なんぢの兄弟きやうだいの中うちの人ひとをもてすべし汝なんぢの兄弟きやうだいならざる他よそ國ぐにの人ひとを汝なんぢの上うへに立たつべからず 16 但たゞし王わうとなれる者ものは馬むまを多おほく得えんとすべからず又󠄂また馬うまを多おほく得えんために民たみを率󠄃ひきゐてエジプトに還󠄃かへるべからず其そはヱホバなんぢらに向むかひて汝なんぢらはこの後のちかさねて此この路みちに歸かへるべからずと宣のたまひたればなり
 357㌻ 
17 また妻つまを多おほくその身みに有󠄃もちて心こゝろを迷󠄃まよはすべからずまた金銀きんぎんを己おのれのために多おほく蓄積たくはふべからず

18 彼かれその國くにの位くらゐに坐ざするにいたらば祭司さいしなるレビ人びとの前󠄃まへにある書ふみよりしてこの律法おきてを一ひとつの書ふみに書かき寫うつさしめ〘272㌻〙 19 世よに生存ながらふる日ひの間あひだつねにこれを己おのれの許もとに置おきて誦よみ斯かくしてその神かみヱホバを畏おそるることを學まなびこの律法おきての一切すべての言ことばと是等これらの法度のりを守まもりて行おこなふべし 20 然しかせば彼かれの心こゝろその兄弟きやうだいの上うへに高たかぶること無なくまたその誡命いましめを離はなれて右みぎにも左ひだりにもまがること無なくしてその子女こどもとともにその國くににおいてイスラエルの中なかにその日ひを永ながうすることを得えん

第18章

1 祭司さいしたるレビ人びとおよびレビの支󠄂派󠄄わかれは都すべてイスラエルの中うちに分󠄃ぶんなく產業さんげふなし彼かれらはヱホバの火くわ祭さいの品しなとその產業さんげふの物ものを食󠄃くらふべし 2 彼かれらはその兄弟きやうだいの中間うちに產業さんげふを有󠄃もたじヱホバこれが產業さんげふたるたり即すなはちその曾かつて之これに言いひたまひしが如ごとし 3 祭司さいしが民たみより受うくべき分󠄃ぶんは是これなり即すなはち凡すべて犧牲いけにへを献さゝぐる者ものは牛うしにもあれ羊ひつじにもあれその肩󠄃かたと兩ふた方かたの頬ほほと胃ゐとを祭司さいしに與あたふべし 4 また汝なんぢの穀物こくもつと酒さけと油あぶらの初はつおよび羊ひつじの毛けの初はつをも之これにあたふべし 5 其そは汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの諸もろ〳〵の支󠄂派󠄄わかれの中うちより彼かれを選󠄄えらび出いだし彼かれとその子孫しそんをして永ながくヱホバの名なをもて立たちて奉事つとめをなさしめたまへばなり

6 レビ人びとはイスラエルの全󠄃地ぜんちの中うち何いづれの處ところに居をる者ものにもあれその寄寓やどりたる汝なんぢの邑まちを出いでてヱホバの選󠄄えらびたま處ところに到いたるあらば 7 その人ひとはヱホバの前󠄃まへに侍はべるその諸しよ兄弟きやうだいのレビ人びととおなじくその神かみヱホバの名なをもて奉事つとめをなすことを得うべし 8 その人ひとの得えて食󠄃くらふ分󠄃ぶんは彼かれらと同おなじ但たゞしその父󠄃ちちの遺󠄃ゐ業げふを賣うりて獲えたる物ものはこの外ほかに彼かれに屬ぞくす
 358㌻ 

9 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ池いけにいたるに及およびて汝なんぢその國々くに〴〵の民たみの憎にくむべき行爲わざを傚ならひ行おこなふなかれ 10 汝なんぢらの中間うちにその男子むすこ女子むすめをして火ひの中なかを通󠄃とほらしむる者ものあるべからずまた卜筮うらなひする者もの邪󠄅じや法はふを行おこなふ者もの禁厭まじなひする者もの魔󠄃術󠄃まじゆつを使󠄃つかふ者もの 11 法はふ印いんを結むすぶ者もの憑鬼くちよせする者もの巫覡かんなぎの業わざをなす者もの死し人にんに詢とふことをする者ものあるべからず 12 凡すべて是等これらの事ことを爲なす者ものはヱホバこれを憎にくみたまふ汝なんぢの神かみヱホバが彼かれらを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまひしも是等これらの憎にくむべき事ことのありしに因よりてなり 13 汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに汝なんぢ完まつたき者ものたれ 14 汝なんぢが逐󠄃おひはらふ故ゆゑの國々くに〴〵の民たみは邪󠄅じや法はふ師し卜筮師うらなひしなどに聽きくことをなせり然されど汝なんぢには汝なんぢの神かみヱホバ然しかする事ことを許ゆるしたまはず

15 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの中うち汝なんぢの兄弟きやうだいの中うちより我われのごとき一箇ひとつの預言者よげんしやを汝なんぢのために興おこしたまはん汝なんぢら之これに聽きくことをすべし 16 是これまったく汝なんぢが集會しふくわいの日ひにホレブにおいて汝なんぢの神かみヱホバに求もとめたる所󠄃ところなり即すなはち汝なんぢ言いひけらく我われをして重かさねてこの我わが神かみヱホバの聲こゑを聞きかしむる勿なかれまた重かさねてこの大おほいなる火ひを見みさする勿なかれ恐おそらくは我われ死しなんと〘273㌻〙 17 是こゝにおいてヱホバ我われに言いひたまひけるは彼かれらの言いへる所󠄃ところは善よし 18 我われかれら兄弟きやうだいの中うちより汝なんぢのごとき一箇ひとりの預言者よげんしやを彼かれらのために興おこし我わが言ことばをその口くちに授さづけん我わが彼かれに命めいずる言ことばを彼かれことごとく彼かれらに吿つぐべし 19 凡すべて彼かれが吾わが名なをもて語かたるところの吾わが言ことばに聽きゝしたがはざる者ものは我われこれを罰ばつせん

20 但たゞし預言者よげんしやもし我わが語かたれと命めいぜざる言ことばを吾わが名なをもて縱肆ほしいままに語かたりまたは他ほかの神々かみ〴〵の名なをもて語かたることを爲なすならばその預言者よげんしやは殺ころさるべし 21 汝なんぢあるひは心こゝろに謂いはん我われら如何いかにしてその言ことばのヱホバの言いひたまふ者ものにあらざるを知しらんと 22 然されば若もし預言者よげんしやありてヱホバの名なをもて語かたることをなすにその言ことば就とげずまた效しるしあらざる時ときは是これヱホバの語かたりたまふ言ことばにあらずしてその預言者よげんしやが縱肆ほしいままに語かたるところなり汝なんぢその預言者よげんしやを畏おそるるに及およばす
 359㌻ 

第19章

1 汝なんぢの神かみヱホバこの國々くに〴〵の民たみを滅ほろぼし絕たち汝なんぢの神かみヱホバこれが地ちを汝なんぢに賜たまふて汝なんぢつひにこれを獲えその邑々まちまちとその家々いへいへに住󠄃すむにいたる時ときは 2 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて產業さんげふとなさしめたまふ地ちの中うちに三みつの邑まちを汝なんぢのために區別わかつべし 3 而しかして汝なんぢこれに道󠄃路みちを開ひらきまた汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて產業さんげふとなさしめたまふ地ちの全󠄃體ぜんたいを三みつの區くに分󠄃わかち凡すべて人ひとを殺ころせる者ものをして其處そこに逃󠄄のがれしむべし

4 人ひとを殺ころせる者ものの彼處かしこに逃󠄄のがれて生命いのちを全󠄃まつたうすべきその事ことは是かくのごとし即すなはち凡すべて素もとより惡にくむことも無なく知しらずしてその鄰󠄄となり人びとを殺ころせる者もの 5 例たとへば人ひと木きを伐きらんとてその鄰󠄄となり人びととともに林はやしに入いり手てに斧をのを執とりて木きを斫きらんと擊うちおろす時ときにその頭かしらの鐵てつ柯えより脫ぬげてその鄰󠄄となり人びとにあたりて之これを死しなしめたるが如ごとき是これなり斯かゝる人ひとは是等これらの邑まちの一ひとつに逃󠄄のがれて生命いのちを全󠄃まつたうすべし 6 恐おそらくは復仇あだうちする者もの心こゝろ熱ねつしてその殺人者ひとごろしを追󠄃おひかけ道󠄃路みち長ながきにおいては遂󠄅つひに追󠄃おひしきて之これを殺ころさん然しかるにその人ひとは素もとより之これを惡にくみたる者ものにあらざれば殺ころさるべき理りあらざるなり 7 是こゝをもて我われなんぢに命めいじて三みつの邑まちを汝なんぢのために區別わかつべしと言いへり 8 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの先祖せんぞ等たちに誓ちかひしごとく汝なんぢの境界さかひを廣ひろめ汝なんぢの先祖せんぞ等たちに與あたへんと言いひし地ちを盡こと〴〵く汝なんぢに賜たまふにいたらん時とき 9 即すなはち汝なんぢ我わが今日けふなんぢに命めいずるこの一切すべての誡命いましめを守まもりてこれを行おこなひ汝なんぢの神かみヱホバを愛あいし恒つねにその道󠄃みちに步あゆまん時ときはこの三みつの外ほかにまた三みつの邑まちを增まし加くはふべし〘274㌻〙 10 是これ汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて產業さんげふとなさしめたまふ地ちに辜つみなき者ものの血ちを流ながすこと無なからんためなり斯かくせずばその血ち汝なんぢに歸きせん

11 然されどもし人ひとその隣人となりびとを惡にくみて之これを附つけ覘ねらひ起󠄃たちかかり擊うちてその生命いのちを傷そこなひて之これを死しなしめ而しかしてこの邑まちの一ひとつに逃󠄄のがれたる事ことあらば 12 その邑まちの長老等としよりたち人ひとを遣󠄃やりて之これを其處そこより曳ひききたらしめ復仇あだうつ者ものの手てにこれを付わたして殺ころさしむべし 13 汝なんぢかれを憫あはみ視みるべからず辜つみなき者ものの血ちを流ながせる咎とがをイスラエルより除のぞくべし然しかせば汝なんぢに福祉さいはひあらん
 360㌻ 

14 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて獲えさせたまふ地ちの中うちにおいて汝なんぢが嗣つぐところの產業さんげふに汝なんぢの先せん人じんの定さだめたる汝なんぢの鄰󠄄となりの地界ちざかひを侵󠄃をかすべからず

15 何なにの惡あくにもあれ凡すべてその犯をかすところの罪つみは只たゞ一人ひとりの證人あかしびとによりて定さだむべからず二人ふたりの證人あかしびとの口くちによりまたは三人にんの證人あかしびとの口くちによりてその事ことを定さだむべし 16 もし僞妄いつはりの證人あかしびと起󠄃おこりて某それの人ひとは惡事あくじをなせりと言いひたつること有󠄃あらば 17 その相あひ爭あらそふ二人ふたりの者ものヱホバの前󠄃まへに至いたり當時そのときの祭司さいしと士師さばきびとの前󠄃まへに立たつべし 18 然しかる時とき士師さばきびと詳細つまびらかにこれを査しらべ視みるにその證人あかしびともし僞妄いつはりの證人あかしびとにしてその兄弟きやうだいにむかひて虛妄いつはりの證あかしをなしたる者ものなる時ときは 19 汝なんぢ兄弟きやうだいに彼かれが蒙かうむらさんと謀はかれる所󠄃ところを彼かれに蒙かうむらし斯かくして汝なんぢらの中うちより惡事あくじを除のぞくべし 20 然しかせばその遺󠄃のこれる者等ものども聞きゝて畏おそれその後のちかさねて斯かゝる惡あしき事ことを汝なんぢらの中うちにおこなはじ 21 汝なんぢ憫あはれみ視みることをすべからず生命いのちは生命いのち眼めは眼め齒はは齒は手ては手て足あしは足あしをもて償つくのはしむべし

第20章

1 汝なんぢその敵てきと戰たゝかはんとて出いづるに當あたり馬むまと車くるまを見みまた汝なんぢよりも數󠄄かず多おほき民たみを見みるもこれに懼おそるる勿なかれ其そは汝なんぢをエジプトの國くにより導󠄃みちびき上のぼりし汝なんぢの神かみヱホバなんぢとともに在いませばなり 2 汝なんぢら戰鬪たたかひに臨のぞむ時ときは祭司さいし進󠄃すゝみいで民たみに吿つげて 3 之これに言いふべしイスラエルよ聽きけ汝なんぢらは今日けふなんぢらの敵てきと戰たゝかはんとて進󠄃すゝみ來きたれり心こゝろに臆おくする勿なかれ懼おそるるなかれ倉皇あはつるなかれ彼かれらに怖おづるなかれ 4 其そは汝なんぢらの神かみヱホバ汝なんぢらとともに行ゆき汝なんぢらのために汝なんぢらの敵てきと戰たゝかひて汝なんぢらを救すくひたまふべければなりと 5 斯かくてまた有󠄃司つかさ等たち民たみに吿つげて言いふべし誰たれか新あたらしき家いへを建󠄄たてて之これに移うつらざる者ものあるかその人ひとは家いへに歸かへりゆくべし恐おそらくは自己おのれ戰鬪たたかひに死しにて他ほかの人ひとこれに移うつらん 6 誰たれか菓物くだもの園ばたけを作つくりてその果みを食󠄃くらはざる者ものあるかその人ひとは家いへに歸かへりゆくべし恐おそらくは自己おのれ戰鬪たたかひに死しにて他ほかの人ひとこれを食󠄃くらはん
 361㌻ 
7 誰たれか女をんなと契󠄅ちぎりて之これを娶めとらざる者ものあるかその人ひとは家いへに歸かへりゆくべし恐おそらくは自己おのれ戰鬪たたかひに死しにて他ほかの人ひとこれを娶めとらんと〘275㌻〙 8 有󠄃司つかさ等たちなほまた民たみに吿つげて言いふべし誰たれか懼おそれて心こゝろに臆おくする者ものあるかその人ひとは家いへに歸かへりゆくべし恐おそらくはその兄弟きやうだいたちの心こゝろこれが心こゝろのごとく挫くじけんと 9 有󠄃司つかさ等たちかく民たみに吿つぐることを終󠄃をへたらば軍勢ぐんぜいの長かしら等たちを立たてて民たみを率󠄃ひきゐしむべし

10 汝なんぢある邑まちに進󠄃すゝみゆきて之これを攻せめんとする時ときは先まづこれに平󠄃穩おだやかに降󠄄くだることを勸󠄂すゝむべし 11 その邑まちもし平󠄃穩おだやかに降󠄄くだらんと答こたへてその門もんを汝なんぢに開ひらかば其處そこなる民たみをして都すべて汝なんぢに貢みつぎを納󠄃いれしめ汝なんぢに事つかへしむべし 12 其それもし平󠄃穩おだやかに汝なんぢに降󠄄くだることを肯がへんぜずして汝なんぢと戰たたかはんとせば汝なんぢこれを攻せむべし 13 而しかして汝なんぢの神かみヱホバこれを汝なんぢの手てに付わたしたまふに至いたらば刃󠄃やいばをもてその中うちの男をとこを盡こと〴〵く擊うち殺ころすべし 14 惟たゞその婦󠄃女をんな嬰孩こども家畜かちくおよび凡すべてその邑まちの中うちにて汝なんぢが奪うばひ獲えたる物ものは盡こと〴〵く己おのれに取とるべし抑そもそも汝なんぢがその敵てきより奪うばひ獲えたる物ものは汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ者ものなれば汝なんぢこれをもて樂たのしむべし 15 汝なんぢを離はなるることの遠󠄄とほき邑々まちまちすなはち是等これらの國々くに〴〵に屬ぞくせざるところの邑々まちまちには凡すべてかくのごとく行おこなふべし 16 但たゞし汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて產業さんげふとなさしめたまふこの國々くに〴〵の邑々まちまちにおいては呼吸いきする者ものを一人ひとりも生いかし存おくべからず 17 即すなはちヘテ人びと アモリ人びと カナン人びと ペリジ人びと ヒビ人びと ヱブス人びとなどは汝なんぢかならずこれを滅ほろぼし盡つくして汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに命めいじたまへる如ごとくすべし 18 斯かくするは彼かれらがその神々かみ〴〵にむかひて行おこなふところの憎にくむべき事ことを汝なんぢらに敎をしへて之これを傚ならひおこなはしめ汝なんぢらをして汝なんぢらの神かみヱホバに罪つみを獲えせしむる事ことのなからんためなり

19 汝なんぢ久ひさしく邑まちを圍󠄃かこみて之これを攻取せめとらんとする時ときにおいても斧をのを振ふるふて其處そこの樹きを砍きり枯からすべからず是これは汝なんぢの食󠄃しよくとなるべき者ものなり且かつその城󠄃しろ攻ぜめにおいて田野でんやの樹きあに人ひとのごとく汝なんぢの前󠄃まへに立たちふさがらんや 20 但たゞし果みを結むすばざる樹きと知しれる樹きはこれを砍きり枯からし汝なんぢと戰たゝかふ邑まちにむかひて之これをもて雲梯うんていを築きづきその降󠄄くだるまで之これを攻せむるも宜よし
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第21章

1 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて獲えさせたまふ地ちにおいて若もし人ひと殺ころされて野のに仆たふれをるあらんに之これを殺ころせる者ものの誰たれなるかを知しらざる時ときは 2 汝なんぢの長老等としよりたちと士師さばきびと等たち出いできたりその人ひとの殺ころされをる處ところよりその四周󠄃まはりの邑々まちまちまでを度はかるべし 3 而しかしてその人ひとの殺ころされをる處ところに最もつとも近󠄃ちかき邑まちすなはちその邑まちの長老等としよりたちは未いまだ使󠄃つかはず未いまだ軛くびきを負󠄅おはせて牽󠄁ひかざるところの少わかき牝め牛うしを取とり〘276㌻〙 4 邑まちの長老等としよりたちその牝め牛うしを耕󠄃たがすことも種たね蒔まくこともせざる流ながれつきせぬ谷たにに牽󠄁ひきゆきその谷たににおいて牝め牛うしの頸くびを折をるべし 5 その時ときは祭司さいしたるレビの子孫しそん等ら其處そこに進󠄃すゝみ來きたるべし彼かれらは汝なんぢの神かみヱホバが選󠄄えらびて己おのれに事つかへしめまたヱホバの名なをもて祝しゆくすることを爲なさしめたまふ者ものにて一切すべての訴訟󠄃うつたへと一切すべての爭競あらそひは彼かれらの口くちによりて決定さだまるべきが故ゆゑなり 6 而しかしてその人ひとの殺ころされをりし處ところに最もつとも近󠄃ちかき邑まちの長老等としよりたちその谷たににて頸くびを折をりたる牝め牛うしの上うへにおいて手てを洗あらひ 7 答こたへて言いふべし我われらの手てはこの血ちを流ながさず我われらの目めはこれを見みざりしなり 8 ヱホバよ汝なんぢが贖あがなひし汝なんぢの民たみイスラエルを赦ゆるしたまへこの辜つみなき者ものの血ちを流ながせる罰ばつを汝なんぢの民たみイスラエルの中うちに降󠄄くだしたまふ勿なかれと斯かくせば彼かれらその血ちの罪つみを赦ゆるされん 9 汝なんぢかくヱホバの善よしと觀みたまふ事ことをおこなひその辜つみなき者ものの血ちを流ながせる咎とがを汝なんぢらの中うちより除のぞくべし

10 汝なんぢ出いでて汝なんぢの敵てきと戰たゝかふにあたり汝なんぢの神かみヱホバこれを汝なんぢの手てに付わたしたまひて汝なんぢこれを俘虜とりことなしたる時とき 11 汝なんぢもしその俘虜とりこの中うちに貌かたち美うるはしき女をんなあるを見みてこれを悅よろこび取とりて妻つまとなさんとせば 12 汝なんぢの家いへの中うちにこれを携たづさへゆくべし而しかして彼かれはその髮かみを剃そり爪つめを截きり 13 まだ俘虜とりこの衣服󠄃きものを脫ぬぎすてて汝なんぢの家いへに居をりその父󠄃母ちちははのために一月󠄃ひとつきのあひだ哀哭なげくべし然しかる後のちなんぢ故ゆゑの處ところに入いりてこれが夫をつととなりこれを汝なんぢの妻つまとすべし 14 その後のち汝なんぢもし彼かれを好このまずなりなば彼かれの心こゝろのままに去さりゆかしむべし決けつして金かねのためにこれを賣うるべからず汝なんぢすでにこれを犯をかしたれば之これを嚴きびしく待遇󠄃あしらふべからざるなり
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15 人ひと二人ふたりの妻つまありてその一人ひとりは愛あいする者もの一人ひとりは惡にくむ者ものならんにその愛あいする者ものと惡にくむ者ものの二人ふたりともに男をとこの子こを生うむありてその長子ちやうしもし惡にくむ婦󠄃をんなの產うめる者ものなる時ときは 16 その子等こどもに己おのれの所󠄃有󠄃もちものを嗣つがしむる日ひにその惡にくむ婦󠄃をんなの產うめる長子ちやうしを措おきてその愛あいする婦󠄃をんなの產うめる子こを長子ちやうしとなすべからず 17 必かならずその惡にくむ者ものの產うめる子こを長子ちやうしとなし己おのれの所󠄃有󠄃もちものを分󠄃わかつ時ときにこれには二倍ばいを與あたふべし是これは己おのれの力ちからの始はじめにして長子ちやうしの權けんこれに屬ぞくすればなり

18 人ひとにもし放肆わがままにして背そむき悖もとる子こありその父󠄃ちちの言ことばにも母はゝの言ことばにも順したがはず父󠄃母ちちははこれを責せむるも聽きくことをせざる時ときは 19 その父󠄃母ちちははこれを執とらへてその處ところの門もんにいたり邑まちの長老等としよりたちに就つき 20 邑まちの長老としよりたちに言いふべし我われらの此この子こは放肆わがままにして背そむき悖もとる者もの我われらの言ことばにしたがはざる者もの放蕩はうたうにして酒さけに耽ふける者ものなりと 21 然しかる時ときは邑まちの人ひとみな石いしをもて之これを擊うち殺ころすべし汝なんぢかく汝なんぢらの中うちより惡事あくじを除のぞき去さるべし然しかせばイスラエルみな聞きゝて懼おそれん〘277㌻〙

22 人ひともし死しにあたる罪つみを犯をかして死刑しおきに遇󠄃あふことありて汝なんぢこれを木きに懸かけて曝さらす時ときは 23 翌󠄃朝󠄃あくるあさまでその體からだを木きの上うへに留とめおくべからず必かならずこれをその日ひの中うちに埋うづむべし其そは木きに懸かけらるる者ものはヱホバに詛のろはるる者ものなればなり斯かくするは汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふて產業さんげふとなさしめたまふ地ちの汚けがれざらんためなり

第22章

1 汝なんぢの兄弟きやうだいの牛うしまたは羊ひつじの迷󠄃まよひをるを見みてこれを見みすて置おくべからず必かならずこれを汝なんぢの兄弟きやうだいに牽󠄁ひきゆきて歸かへすべし 2 汝なんぢの兄弟きやうだいもし汝なんぢに近󠄃ちかからざるか又󠄂または汝なんぢかれを知しらざる時ときはこれを汝なんぢの家いへに牽󠄁ひきゆきて汝なんぢの許もとにおき汝なんぢの兄弟きやうだいの尋󠄃たづねきたるに及およびて之これを彼かれに還󠄃かへすべし 3 汝なんぢの兄弟きやうだいの驢馬ろばにおけるも是かくのごとく爲なしまたその衣服󠄃きものにおけるも斯かくなすべし凡すべて汝なんぢの兄弟きやうだいの失うしなひたる遺󠄃失うせ物ものを得えたる時ときも汝なんぢかく爲なすべし之これを見みすておくべからず
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4 また汝なんぢの兄弟きやうだいの驢馬ろばまたは牛うしの途󠄃みちに踣たふれをるを見みて見みすておくべからず必かならずこれを助たすけ起󠄃おこすべし

5 女をんなは男をとこの衣服󠄃ころもを纒󠄂まとふべからずまた男をとこは女をんなの衣裳きものを著きるべからず凡すべて斯かくする者ものは汝なんぢの神かみヱホバこれを憎にくみたまふなり

6 汝なんぢ鳥とりの巢すの路みちの頭ほとりまたは樹きの上うへまたは土つちの上うへにあるを見みんに雛ひなまたは卵たまごその中うちにありて母はゝ鳥どりその雛ひなまたは卵たまごの上うへに伏ふしをらばその母はゝ鳥どりを雛ひなとともに取とるべからず 7 かならずその母はゝ鳥とりを去さらしめ唯たゞその雛ひなのみをとるべし然させば汝なんぢ福祉さいはひを獲えかつ汝なんぢの日ひを永ながうすることを得えん

8 汝なんぢ新あたらしき家いへを建󠄄たつる時ときはその屋蓋やねの周󠄃圍󠄃まはりに欄杆らんかんを設まうくべし是これは人ひとその上うへより墮おちてこれが血ちの汝なんぢの家いへに歸きすること無なからんためなり

9 汝なんぢ菓物くだもの園ばたけに異い類るゐの種たねを混まぜて播まくべからず然しかせば汝なんぢが播まきたる種たねより產さんする物ものおよび汝なんぢの菓物くだもの園ばたけより出いづる菓物くだものみな聖󠄃物きよきものとならん 10 汝なんぢ牛うしと驢馬ろばとを耦あはせて耕󠄃たがへすことを爲なすべからず 11 汝なんぢ毛けと麻󠄃あさとをまじへたる衣服󠄃ころもを著きるべからず

12 汝なんぢが上うへに纒󠄂まとふ衣服󠄃ころもの裾すその四方しはうに繸ふさをつくべし

13 人ひともし妻つまを娶めとり之これとともに寢いねて後のちこれを嫌󠄃きらひ 14 我われこの婦󠄃人をんなを娶めとりしが之これと寢いねたる時ときにその處女をとめなるを見みざりしと言いひて誹謗そしりの辭抦ことがらを設まうけこれに惡あしき名なを負󠄅おはせなば 15 その女をんなの父󠄃ちちと母はゝその女むすめの處女をとめなる證跡しるしを取とり門もんにをる邑まちの長老としより等たちにこれを差さし出いだし 16 而しかしてその女をんなの父󠄃ちち長老等としよりたちに言いふべし我われこの人ひとにわが女子むすめを與あたへて妻つまとなさしめしにこの人ひとこれを嫌󠄃きらひ〘278㌻〙 17 誹謗そしりの辭抦ことがらを設まうけて言いふ我われなんぢの女子むすめの處女をとめなるを見みざりしと然しかるに吾わが女子むすめの處女をとめなりし證跡しるしは此こゝにありと斯かくいひてその父󠄃母ちちははかの布ぬのを邑まちの長老等としよりたちの前󠄃まへに展のぶべし 18 然しかる時ときは邑まちの長老等としよりたちその人ひとを執とらへてこれを鞭むちうち
 365㌻ 
19 又󠄂またこれに銀ぎん百シケルを罰ばつしてその女をんなの父󠄃ちちに償はらはしむべし其そはイスラエルの處女をとめに惡あしき名なを負󠄅おはせたればなり斯かくてその人ひとはこれを妻つまとすべし一生いつしやうこれを去さることを得えず 20 然されどこの事こともし眞󠄃まことにしてその女をんなの處女をとめなる證跡しるしあらざる時ときは 21 その女をんなをこれが父󠄃ちちの家いへの門もんに曳ひきいだしその邑まちの人々ひと〴〵石いしをもてこれを擊うちころすべし其そは彼かれその父󠄃ちちの家いへにて淫みだりなる事ことをなしてイスラエルの中うちに惡あくをおこなひたればなり汝なんぢかく惡事あくじを汝なんぢらの中うちより除のぞくべし

22 もし夫をつとに適󠄄ゆきし婦󠄃をんなと寢いぬる男をとこあるを見みばその婦󠄃をんなと寢いねたる男をとこと其その婦󠄃をんなとをともに殺ころし斯かくして惡事あくじをイスラエルの中うちより除のぞくべし

23 處女をとめなる婦󠄃人をんなすでに夫をつとに適󠄄ゆくの約やくをなせる後のちある男をとここれに邑まちの內うちに遇󠄃あひてこれを犯をかさば 24 汝なんぢらその二人ふたりを邑まちの門もんに曳ひきいだし石いしをもてこれを擊うちころすべし是これその女をんなは邑まちの內うちにありながら叫さけぶことをせざるに因よりまたその男をとこはその鄰󠄄となりの妻つまを辱はづかしめたるに因よりてなり汝なんぢかく惡事あくじを汝なんぢらの中うちより除のぞくべし

25 然されど男をとこもし人ひとに適󠄄ゆくの約やくをなしし女むすめに野のにて遇󠄃あひこれを强しひて犯をかすあらば之これを犯をかしし男をとこのみを殺ころすべし 26 その女をんなには何なにをも爲なすべからず女をんなには死しにあたる罪つみなし人ひとその鄰󠄄となり人びとに起󠄃たちむかひてこれを殺ころせるとその事ことおなじ 27 其そは男をとこ野のにてこれに遇󠄃あひたるが故ゆゑにその人ひとに適󠄄ゆくの約やくをなしし女をんな叫さけびたれども拯すくふ者ものなかりしなり

28 男をとこもし未いまだ人ひとに適󠄄ゆくの約やくをなさざる處女をとめなる婦󠄃をんなに遇󠄃あひこれを執とらへて犯をかすありてその二人ふたり見みあらはされなば 29 これを犯をかせる男をとこその女をんなの父󠄃ちちに銀ぎん五十シケルを與あたへて之これを己おのれの妻つまとすべし彼かれその女をんなを辱はづかしめたれば一生いつしやうこれを去さるべからざるなり

30 人ひとその父󠄃ちちの妻つまを娶めとるべからずその父󠄃ちちの被ふすまを掀開まくるべからず
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第23章

1 外ぐわい腎じんを傷そこなひたる者ものまたは玉ぎよく莖きやうを切きりたる者ものはヱホバの會くわいに入いるべからず 2 私子かくしごはヱホバの會くわいにいるべからず是これは十じふ代だいまでもヱホバの會くわいにいるべからざるなり

3 アンモン人びとおよびモアブ人びとはヱホバの會くわいにいる可べからず彼かれらは十じふ代だいまでも何時いつまでもヱホバの會くわいにいるべからざるなり〘279㌻〙 4 是これ汝なんぢらがエジプトより出いできたりし時ときに彼かれらはパンと水みづとをもて汝なんぢらを途󠄃みちに迎󠄃むかへずメソポタミアのペトル人びとベオルの子こバラムを倩󠄂やとひて汝なんぢを詛のろはせんと爲したればなり 5 然しかれども汝なんぢの神かみヱホバ、バラムに聽きくことを爲なし給たまはずして汝なんぢの神かみヱホバその呪詛のろひを變かへて汝なんぢのために祝福めぐみとなしたまへり是これ汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢを愛あいしたまふが故ゆゑなり 6 汝なんぢ一生いつしやういつまでも彼かれらのために平󠄃安へいあんをもまた福祿さいはひをも求もとむべからず

7 汝なんぢエドム人びとを惡にくむべからず是これは汝なんぢの兄弟きやうだいなればなりまたエジプト人びとを惡にくむべからず汝なんぢもこれが國くにに客かくたりしこと有󠄃あればなり 8 彼等かれらの生うみたる子等こどもは三代だいにおよばばヱホバの會くわいにいることを得うべし

9 汝なんぢ軍旅󠄃ぐんりよを出いだして汝なんぢの敵てきを攻せむる時ときは諸もろ〳〵の惡あしき事ことを自みづから謹つゝしむべし 10 汝なんぢらの中間うちにもし夜中やちう計はからずも汚穢けがれにふれて身みの潔󠄄きよからざる人ひとあらば陣ぢん營えいの外そとにいづべし陣じん營えいの內うちに入いるべからず 11 而しかして薄󠄄暮ゆふぐれに水みづをもて身みを洗あらひ日ひの入いりて後のち陣ぢん營えいに入いるべし 12 汝なんぢ陣ぢん營えいの外そとに一箇ひとつの處ところを設まうけおき便󠄃べんする時ときは其處そこに往󠄃ゆくべし 13 また器具󠄄うつはの中うちに小こ鍬すきを備そなへおき外そとに出いでて便󠄃べんする時ときはこれをもて土つちを掘ほり身みを返󠄄かへしてその汝なんぢより出いでたる物ものを蓋おほふべし 14 其そは汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢを救すくひ汝なんぢの敵てきを汝なんぢに付わたさんとて汝なんぢの陣ぢん營えいの中なかを步あるきたまへばなり是こゝをもて汝なんぢの陣ぢん營えいを聖󠄃潔󠄄きよくすべし然しかせば汝なんぢの中うちに汚穢きたなき物ものあるを見みて汝なんぢを離はなれたまふこと有󠄃あらざるべし

15 その主人しゆじんを避󠄃さけて汝なんぢの許もとに逃󠄄にげきたる僕しもべをその主人しゆじんに交󠄄わたすべからす 16 その者ものをして汝なんぢらの中うちに汝なんぢとともに居をらしめ汝なんぢの一ひとつの邑まちの中うちにて之これが善よしと見みて擇えらぶ處ところに住󠄃すましむべし之これを虐󠄃遇󠄃しへたぐべからず
 367㌻ 

17 イスラエルの女子によしの中うちに娼妓あそびめあるべからずイスラエルの男子なんしの中うちに男娼なんしやうあるべからず 18 娼妓あそびめの得えたる價あたひおよび狗いぬの價あたひを汝なんぢの神かみヱホバの家いへに携たづさへいりて何なにの誓願せいぐわんにも用もちゐるべからず是等これらはともに汝なんぢの神かみヱホバの憎にくみたまふ者ものなればなり

19 汝なんぢの兄弟きやうだいより利息りそくを取とるべからず即すなはち金かねの利息りそく食󠄃物しよくもつの利息りそくなど凡すべて利息りそくを生しやうずべき物ものの利息りそくを取とるべからず 20 他國よそぐにの人ひとよりは汝なんぢ利息りそくを取とるも宜よろし惟たゞ汝なんぢの兄弟きやうだいよりは利息りそくを取とるべからず然さらば汝なんぢが往󠄃ゆきて獲うるところの地ちにおいて汝なんぢの神かみヱホバ凡すべて汝なんぢが手てに爲なすところの事ことに福祥さいはひをくだしたまふべし

21 汝なんぢの神かみヱホバに誓願せいぐわんをかけなば之これを還󠄃はたすことを怠おこたるべからず汝なんぢの神かみヱホバかならずこれを汝なんぢに要󠄃もとめたまふべし怠おこたる時ときは汝なんぢ罪つみあり〘280㌻〙 22 汝なんぢ誓願せいぐわんをかけざるも罪つみを獲うること有󠄃あらじ 23 汝なんぢが口くちより出いだしし事ことは守まもりて行おこなふべし凡すべて自意こゝろよりの禮物そなへものは汝なんぢの神かみヱホバに汝なんぢが誓願せいぐわんし口くちをもて約やくせしごとくに行おこなふべし

24 汝なんぢの鄰󠄄となりの葡萄園ぶだうばたけに至いたる時とき汝なんぢ意こゝろにまかせてその葡萄ぶだうを飽󠄄あくまで食󠄃くらふも宜よし然されど器うつはの中うちに取とりいるべからず 25 また汝なんぢの鄰󠄄となりの麥むぎ圃ばたけにいたる時とき汝なんぢ手てにてその穗ほを摘つみ食󠄃くらふも宜よし然されど汝なんぢの鄰󠄄となりの麥むぎ圃ばたけに鎌󠄃かまをいるべからず

第24章

1 人ひと妻つまを取とりてこれを娶めとれる後のち恥はづべき所󠄃ところのこれにあるを見みてこれを好このまずなりたらば離緣りえん狀じやうを書かきてこれが手てに交󠄄わたしこれをその家いへより出いだすべし 2 その婦󠄃をんなこれが家いへより出いでたる後のち往󠄃ゆきて他ほかの人ひとに嫁とつぐことをせんに 3 後のちの夫をつともこれを嫌󠄃きらひ離緣りえん狀じやうを書かきてその手てにわたして之これを家いへより出いだし又󠄂またはこれを妻つまにめとれるその後のちの夫をつと死しぬるあるも 4 是これは已すでに身みを汚玷けがしたるに因よりて之これを出いだしたるその先さきの夫をつとふたたびこれを妻つまにめとるべからず是これヱホバの憎にくみたまふ事ことなればなり汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて產業さんげふとなさしめたまふ地ちに汝なんぢ罪つみを負󠄅おはすなかれ
 368㌻ 

5 人ひとあらたに妻つまを娶めとりたる時ときは之これを軍いくさに出いだすべからずまた何なにの職務つとめをもこれに任まかすべからずその人ひとは一年ねん家いへに間居かんきよしてその娶めとれる妻つまを慰なぐさむべし

6 人ひとその磨󠄃礱ひきうすを質しちにおくべからず是これその生命いのちをつなぐ物ものを質しちにおくなればなり

7 イスラエルの子孫ひと〴〵の中うちなるその兄弟きやうだいを拐󠄄帶かどわかしてこれを使󠄃つかひまたはこれを賣うる人ひとあるを見みばその拐󠄄帶者かどわかしを殺ころし然しかして汝なんぢらの中うちより惡あくを除のぞくべし

8 汝なんぢ癩らい病びやうを愼つゝしみ凡すべて祭司さいしたるレビ人びとが汝なんぢらに敎をしふる所󠄃ところを善よく守まもりて行おこなふべし即すなはち我わが彼かれらに命めいぜしごとくに汝なんぢら守まもりて行おこなふべし 9 汝なんぢらがエジプトより出いできたれる路みちにて汝なんぢの神かみヱホバがミリアムに爲なしたまひしところの事ことを誌おぼえよ

10 凡すべて汝なんぢの鄰󠄄となりに物ものを貸かしあたふる時ときは汝なんぢみづからこれが家いへにいりてその質物しちもつを取とるべからず 11 汝なんぢは外そとに立たちをり汝なんぢが貸かしたる人ひとその質物しちもつを外そとに持もちいだして汝なんぢに付わたすべし 12 その人ひともし困苦なやめる者ものならば之これが質物しちもつを留とめおきて睡眠ねむりに就つくべからず 13 かならず日ひの入いる頃ころその質物しちもつを之これに還󠄃かへすべし然しかせばその人ひとおのれの上衣うはぎをまとふて睡眠ねむりにつくことを得えて汝なんぢを祝しゆくせん是これ汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへにおいて汝なんぢの義ぎとなるべし

14 困苦なやめる貧󠄃まづしき傭人やとひびとは汝なんぢの兄弟きやうだいにもあれ又󠄂または汝なんぢの地ちにてなんぢの門もんの內うちに寄寓やどる他よそ國ぐにの人ひとにもあれ之これを虐󠄃しへたぐべからず〘281㌻〙 15 當日そのひにこれが値あたひをはらふべし日ひの入いるまで延󠄅のばすべからず其そは貧󠄃まづしき者ものにてその心こゝろにこれを慕したへばなり恐おそらくは彼かれヱホバに汝なんぢを訴うつたふるありて汝なんぢ罪つみを獲えん
 369㌻ 

16 父󠄃ちちはその子等こどもの故ゆゑによりて殺ころさるべからず子等こどもはその父󠄃ちちの故ゆゑによりて殺ころさるべからず各人おのおのおのれの罪つみによりて殺ころさるべきなり

17 汝なんぢ他よそ國ぐにの人ひとまたは孤子みなしごの審判󠄄さばきを曲まぐべからずまた寡婦󠄃やもめの衣服󠄃ころもを質しちに取とるべからず 18 汝なんぢ誌おぼゆべし汝なんぢはエジプトに奴隸どれいたりしが汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢを其處そこより贖あがなひいだしたまへり是これをもて我われこの事ことをなせと汝なんぢに命めいずるなり

19 汝なんぢ田野はたけにて穀物こくもつを刈かる時ときもしその一ひと束たばを田野はたけに忘󠄃わすれおきたらば返󠄄かへりてこれを取とるべからず他よそ國ぐにの人ひとと孤子みなしごと寡婦󠄃やもめとにこれを取とらすべし然しかせば汝なんぢの神かみヱホバ凡すべて汝なんぢが手てに作なすところの事ことに祝福さいはひを降󠄄くだしたまはん 20 汝なんぢ橄欖かんらんを打うち落おとす時ときは再ふたゝびその枝えだをさがすべからずその遺󠄃のこれる者ものを他よそ國ぐにの人ひとと孤子みなしごと寡婦󠄃やもめとに取とらすべし 21 また葡萄園ぶだうばたけの葡萄ぶだうを摘つみとる時ときはその遺󠄃のこれる者ものを再ふたゝびさがすべからず他よそ國ぐにの人ひとと孤子みなしごと寡婦󠄃やもめとにこれを取とらすべし 22 汝なんぢ誌おぼゆべし汝なんぢはエジプトの國くにに奴隸どれいたりしなり是こゝをもて我われこの事ことを爲なせと汝なんぢに命めいず

第25章

1 人ひとと人ひととの間あひだに爭辯あらそひありて來きたりて審判󠄄さばきを求もとむる時ときは士師さばきびとこれを鞫さばきその義ただしき者ものを義ただしとし惡あしき者ものを惡あしとすべし 2 その惡あしき者ものもし鞭うつべき者ものならば士師さばきびとこれを伏ふさせその罪つみにしたがひて數󠄄かずのごとく自己おのれの前󠄃まへにてこれを扑うたすべし 3 これを扑うつことは四十を逾こゆべからず若もしこれを逾こえて是これよりも多おほく扑うつときは汝なんぢその汝なんぢの兄弟きやうだいを賤いやしめ視みるにいたらん

4 穀物こくもつを碾こなす牛うしに口籠くつごをかく可べからず

5 兄弟きやうだいともに居をらんにその中うちの一人ひとり死しにて子こを遺󠄃のこさざる時ときはその死しにたる者ものの妻つまいでて他人たにんに嫁とつぐべからず其その夫をつとの兄弟きやうだいこれの所󠄃ところに入いりこれを娶めとりて妻つまとなし斯かくしてその夫をつとの兄弟きやうだいたる道󠄃みちをこれに盡つくし
 370㌻ 
6 而しかしてその婦󠄃をんなの生うむところの初子うひごをもてその死しにたる兄弟きやうだいの後あとを嗣つがしめその名なをイスラエルの中うちに絕たえざらしむべし 7 然されどその人ひともしその兄弟きやうだいの妻つまをめとることを肯がへんぜずばその兄弟きやうだいの妻つま門もんにいたりて長老等としよりたちに言いふべし吾わが夫をつとの兄弟きやうだいはその兄弟きやうだいの名なをイスラエルの中うちに興たつることを肯がへんぜず吾わが夫をつとの兄弟きやうだいたる道󠄃みちを盡つくすことをせずと〘282㌻〙 8 然しかる時ときはその邑まちの長老等としよりたちかれを呼よびよせて諭󠄄さとすべし然しかるも彼かれ堅かたく執とりて我われはこれを娶めとることを好このまずと言いはば 9 その兄弟きやうだいの妻つま長老等としよりたちの前󠄃まへにて彼かれの側そばにいたりこれが鞋くつをその足あしより脫ぬがせその面かほに唾つばきして答こたへて言いふべしその兄弟きやうだいの家いへを興たつることを肯がへんぜざる者ものには斯かくのごとくすべきなりと 10 またその人ひとの名なは鞋くつを脫ぬぎたる者ものの家いへとイスラエルの中うちに稱󠄄となへらるべし

11 人ひと二人ふたりあひ爭あらそふ時ときに一人ひとりの者ものの妻つまその夫をつとを擊うつ者ものの手てより夫をつとを救すくはんとて進󠄃すゝみより手てを伸のべてその人ひとの陰所󠄃かくしどころを執とらふるあらば 12 汝なんぢその婦󠄃をんなの手てを切きりおとすべし之これを憫あはれみ視みるべからず

13 汝なんぢの嚢ふくろの中うちに一箇ひとつは大おほきく一箇ひとつは小ちひさき二種ふたいろの權衡はかり石いしをいれおくべからず 14 汝なんぢの家いへに一箇ひとつは大おほきく一箇ひとつは小ちひさき二種ふたいろの升斗ますをおくべからず 15 唯たゞ十分󠄃じうぶんなる公󠄃正たゞしき權衡はかりを有󠄃もつべくまた十分󠄃じうぶんなる公󠄃正たゞしき升斗ますを有󠄃もつべし然しかせば汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢにたまふ地ちに汝なんぢの日ひ永ながからん 16 凡すべて斯かゝる事ことをなす者もの凡すべて正たゞしからざる事ことをなす者ものは汝なんぢの神かみヱホバこれを憎にくみたまふなり

17 汝なんぢらがエジプトより出いできたりし時ときその路みちにおいてアマレクが汝なんぢに爲なしたりし事ことを記憶おぼえよ 18 即すなはち彼かれらは汝なんぢを途󠄃みちに迎󠄃むかへ汝なんぢの疲つかれ倦うみたるに乘じやうじて汝なんぢの後うしろなる弱󠄃よわき者等ものどもを攻擊せめうてり斯かくかれらは神かみを畏おそれざりき 19 然されば汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて產業さんげふとなさしめたまふ地ちにおいて汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢにその周󠄃圍󠄃まはりの敵てきを盡こと〴〵く攻せめふせて安泰やすらかならしめたまふに至いたらば汝なんぢアマレクの名なを天あめが下したより塗抹けしさりて之これをおぼゆる者ものなからしむべし
 371㌻ 

第26章

1 汝なんぢその神かみヱホバの汝なんぢに與あたへて產業さんげふとなさしめたまふ地ちにいりこれを獲えてそこに住󠄃すむにいたらば 2 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたへたまへる地ちの諸もろ〳〵の土產とさんの初はつを取とりて筐かごにいれ汝なんぢの神かみヱホバのその名なを置おかんとて選󠄄えらびたまふ處ところにこれを携たづさへゆくべし 3 而しかして汝なんぢ當時そのときの祭司さいしに詣いたり之これにいふべし我われは今日けふなんぢの神かみヱホバに申まうさん我われはヱホバが我われらに與あたへんと我われらの先祖せんぞ等たちに誓ちかひたまひし地ちに至いたれりと 4 然しかる時ときは祭司さいし汝なんぢの手てよりその筐かごをとりて汝なんぢの神かみヱホバの壇だんのまへに之これを置おくべし 5 汝なんぢまた汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに陳のべて言いふべし我わが先祖せんぞは憫然あはれなる一人ひとりのスリア人びとなりしが僅少わづかの人ひとを將ゐてエジプトに下くだりゆきて其處そこに寄寓やどりをりそこにて終󠄃つひに大おほいにして强つよく人口ひとかずおほき民たみとなれり 6 然しかるにエジプト人びと我われらに害󠄅がいを加くはへ我われらを惱なやまし辛からき力役つとめを我われらに負󠄅おはせたりしに因よりて 7 我等われら先祖せんぞ等たちの神かみヱホバに向むかひて呼よばはりければヱホバわれらの聲こゑを聽きき我われらの艱難なやみと勞苦ほねをりと虐󠄃遇󠄃しへたげを顧󠄃かへりみたまひ〘283㌻〙 8 而しかしてヱホバ强つよき手てを出いだし腕うでを伸のべ大おほいなる威󠄂嚇おどしと徴證しるしと奇跡ふしぎとをもてエジプトより我われらを導󠄃みちびきいだし 9 この處ところに我われらを携たづさへいりてこの地ちすなはち乳󠄃ちゝと蜜みつとの流ながるる地ちを我われらに賜たまへり 10 ヱホバよ今いま我われなんぢが我われに賜たまひし地ちの產物さんぶつの初はつを持もちきたれりと斯かくいひて汝なんぢその筐かごを汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへにそなへ汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに禮拜をがみをなすべし 11 而しかして汝なんぢは汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢと汝なんぢの家いへに降󠄄くだしたまへる諸もろ〳〵の善事よきことのためにレビ人びとおよび汝なんぢの中間なかなる旅󠄃客たびゞととともに樂たのしむべし

12 第だい三年ねんすなはち十に一を取とるの年としに汝なんぢその諸もろ〳〵の產物さんぶつの什一じふいちを取とりレビ人びとと客旅󠄃たびゞとと孤子みなしごと寡婦󠄃やもめとにこれを與あたへて汝なんぢの門もんの內うちに食󠄃くらひ飽󠄄あかしめたる時ときは 13 汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに言いふべし我われは聖󠄃物きよきものを家いへより執とりいだしまたレビ人びとと客旅󠄃たびゞとと孤子みなしごと寡婦󠄃やもめとにこれを與あたへ全󠄃まつたく汝なんぢが我われに命めいじたまひし命令めいれいのごとくせり我われは汝なんぢの命令めいれいに背そむかずまたこれを忘󠄃わすれざるなり
 372㌻ 
14 我われはこの聖󠄃物きよきものを喪もの中うちに食󠄃くらひし事ことなくをた汚穢けがれたる身みをもて之これを携たづさへ出いだしし事ことなくまた死し人にんのためにこれを贈おくりし事ことなきなり我われはわが神かみヱホバの言ことばに聽きゝしたがひて凡すべて汝なんぢが我われに命めいじたまへるごとく行おこなへり 15 願ねがはくは汝なんぢの聖󠄃住󠄃所󠄃きよきすみかなる天てんより臨のぞみ觀み汝なんぢの民たみイスラエルと汝なんぢの我われらに與あたへし地ちとに福祉さいはひをくだしたまへ是これは我わがわれらの先祖せんぞ等たちに誓ちかひたまひし乳󠄃ちゝと蜜みつとの流ながるる地ちなり

16 今日けふ汝なんぢの神かみヱホバこれらの法度のりと律法おきてとを行おこなふことを汝なんぢに命めいじたまふ然されば汝なんぢ心こゝろを盡つくし精心せいしんを盡つくしてこれを守まもりおこなふべし 17 今日けふなんぢヱホバを認󠄃みとめて汝なんぢの神かみとなし且かつその道󠄃みちに步あゆみその法度のりと誡法いましめと律法おきてとを守まもりその聲こゑに聽きゝしたがはんと言いへり 18 今日けふヱホバまたその言いひしごとく汝なんぢを認󠄃みとめてその寳たからの民たみとなし且かつ汝なんぢにその諸もろ〳〵の誡命いましめを守まもれと言いひたまへり 19 ヱホバ汝なんぢの名譽ほまれと聲聞きこえと榮耀󠄃さかえとをしてその造󠄃つくれる諸もろ〳〵の國くにの人ひとにまさらしめたまはん汝なんぢはその神かみヱホバの聖󠄃きよき民たみとなることその言いひたまひしごとくならん

第27章

1 モーセ、イスラエルの長老等としよりたちとともにありて民たみに命めいじて曰いふ我わが今日けふなんぢらに命めいずるこの誡命いましめを汝なんぢら全󠄃まつたく守まもるべし 2 汝なんぢらヨルダンを濟わたり汝なんぢの神かみヱホバが汝なんぢに與あたへたまふ地ちにいる時ときは大おほいなる石いし數󠄄すう箇こを立たてて石灰󠄃しつくいをその上うへに塗ぬり 3 旣󠄁すでに濟わたりて後のちこの律法おきての諸もろ〳〵の言語ことばをその上うへに書しるすべし然さすれば汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢにたまふ地ちなる乳󠄃ちゝと蜜みつの流ながるる國くにに汝なんぢいるを得うること汝なんぢの先祖せんぞ等たちの神かみヱホバの汝なんぢに言いひたまひしごとくならん〘284㌻〙 4 即すなはち汝なんぢらヨルダンを濟わたるにおよばば我わが今日けふなんぢらに命めいずるその石いしをエバル山やまに立たて石灰󠄃しつくいをその上うへに塗ぬるべし 5 また其處そこに汝なんぢの神かみヱホバのために石いしの壇だん一座ひとつを築きづくべし但たゞし之これを築きづくには鐵てつの器うつはを用もちゐるべからず 6 汝なんぢ新あら石いしをもて汝なんぢの神かみヱホバのその壇だんを築きづきその上うへにて汝なんぢの神かみヱホバに燔祭はんさいを献さゝぐべし
 373㌻ 
7 汝なんぢまた彼處かしこにて酬しう恩おん祭さいを獻ささげその物ものを食󠄃くらひて汝なんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに樂たのしむべし 8 汝なんぢこの律法おきての諸もろ〳〵の言語ことばをその石いしの上うへに明白あきらかに書しるすべし

9 モーセまた祭司さいしたるレビ人びととともにイスラエルの全󠄃家ぜんかに吿つげて曰いふイスラエルよ謹つゝしみて聽きけ汝なんぢは今日けふ汝なんぢの神かみヱホバの民たみとなれり 10 然されば汝なんぢの神かみヱホバの聲こゑに聽きゝ從したがひ我わが今日けふ汝なんぢに命めいずる之これが誡命いましめと法度のりをおこなふべし 11 その日ひにモーセまた民たみに命めいじて言いふ 12 汝なんぢらがヨルダンを渡わたりし後のち是これらの者ものゲリジム山やまにたちて民たみを祝しゆくすべし即すなはちシメオン、レビ、ユダ、イツサカル、ヨセフおよびベニヤミン 13 また是これらの者ものはエバル山やまにたちて呪詛のろふことをすべし即すなはちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ 14 レビ人びと大おほ聲ごゑにてイスラエルの人々ひと〴〵に吿つげて言いふべし

15 偶像󠄃ぐうざうは工人こうじんの手ての作さくにしてヱホバの憎にくみたまふ者ものなれば凡すべてこれを刻󠄂きざみまたは鑄い造󠄃つくりて密ひそかに安置かざりおく人ひとは詛のろはるべしと民たみみな對こたへてアーメンといふべし 16 その父󠄃母ちちははを輕かろんずる者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし 17 その鄰󠄄となりの地界ちざかひを侵󠄃をかす者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし 18 盲者めしひをして路みちに迷󠄃まよはしむる者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし 19 客旅󠄃たびゞと孤子みなしごおよび寡婦󠄃やもめの審判󠄄さばきを枉まぐる者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし 20 その父󠄃ちちの妻つまと寢いぬる者ものはその父󠄃ちちを辱はづかしむるなれば詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし 21 凡すべて獸畜けものと交󠄄まじはる者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし 22 その父󠄃ちちの女子むすめまたはその母はゝの女子むすめたる己おのれの姉妹しまいと寢いぬる者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンとふべし 23 その妻つまの母はゝと寢いぬる者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし
 374㌻ 
24 暗󠄃やみの中うちにその鄰󠄄となりを擊うつ者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし 25 報酬むくいをうけて無辜者つみなきものを殺ころしてその血ちを流ながす者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし 26 この律法おきての言ことばを守まもりて行おこなはざる者ものは詛のろはるべし民たみみな對こたへてアーメンといふべし〘285㌻〙

第28章

1 汝なんぢもし善よく汝なんぢの神かみヱホバの言ことばに聽きゝしたがひ我わが今日けふなんぢに命めいずるその一切すべての誡命いましめを守まもりて行おこなはば汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢをして地ちの諸もろ〳〵の國人くにびとの上うへに立たたしめたまふべし 2 汝なんぢもし汝なんぢの神かみヱホバの言ことばに聽きゝしたがふ時ときはこの諸もろ〳〵の福祉さいはひ汝なんぢに臨のぞみ汝なんぢにおよばん 3 汝なんぢは邑まちの內うちにても福祉さいはひを得え田野はたけにても福祉さいはひを得えん 4 また汝なんぢの胎たいの產さん汝なんぢの地ちの產さん汝なんぢの家畜かちくの產さん汝なんぢの牛うしの產さん汝なんぢの羊ひつじの產さんに福祉さいはひあらん 5 また汝なんぢの飯めし籃かごと汝なんぢの捏こね盤ばちに福祉さいはひあらん 6 汝なんぢは入いるにも福祉さいはひを得え出いづるにも福祉さいはひを得えべし

7 汝なんぢの敵てき起󠄃たちて汝なんぢを攻せむるあればヱホバ汝なんぢをして之これを打敗うちやぶらしめたまふべし彼かれらは一條ひとつの路みちより攻せめきたり汝なんぢの前󠄃まへにて七條ななつの路みちより逃󠄄にげはしらん 8 ヱホバ命めいじて福祉さいはひを汝なんぢの倉庫くらに降󠄄くだしまた汝なんぢが手てにて爲なすところの事ことに降󠄄くだし汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに與あたふる地ちにおいてヱホバ汝なんぢを祝福めぐみたまふべし 9 汝なんぢもし汝なんぢの神かみヱホバの誡命いましめを守まもりてその道󠄃みちに步あゆまばヱホバ汝なんぢに誓ちかひしごとく汝なんぢを立たて己おのれの聖󠄃きよき民たみとなしたまふべし 10 然しかる時ときは地ちの民たみみな汝なんぢがヱホバの名なをもて稱󠄄となへらるるを視みて汝なんぢを畏おそれん 11 ヱホバが汝なんぢに與あたへんと汝なんぢの先祖せんぞ等たちに誓ちかひたまひし地ちにおいてヱホバ汝なんぢの佳物よきものすなはち汝なんぢの身みの產さんと汝なんぢの家畜かちくの產さんと汝なんぢの地ちの產さんとを饒ゆたかにしたまふべし 12 ヱホバその寳たからの藏くらなる天てんを啓󠄃ひらき雨あめをその時ときにしたがびて汝なんぢの地ちに降󠄄くだし汝なんぢの手ての諸もろ〳〵の行爲わざに祝福めぐみをたまはん汝なんぢは許多あまたの國々くに〴〵の民たみに貸かすことをなすに至いたらん借かることなかるべし
 375㌻ 
13 ヱホバ汝なんぢをして首かしらとならしめたまはん尾をとはならしめたまはじ汝なんぢは只たゞ上うへにおらん下したには居をらじ汝なんぢもし我わが今日けふ汝なんぢに命めいずる汝なんぢの神かみヱホバの誡命いましめに聽きゝしたがひてこれを守まもりおこなはばかならず斯かくのごとくなるべし 14 汝なんぢわが今日けふ汝なんぢに命めいずるこの言語ことばを離はなれ右みぎまたは左ひだりにまがりて他ほかの神々かみ〴〵にしたがひ事つかふることをすべからず

15 汝なんぢもし汝なんぢの神かみヱホバの言ことばに聽きゝしたがはず我わが今日けふなんぢに命めいずるその一切すべての誡命いましめと法度のりとを守まもりおこなはずば此このもろもろの呪詛のろひ汝なんぢに臨のぞみ汝なんぢにおよぶべし 16 汝なんぢは邑まちの內うちにても詛のろはれ田野はたけにても詛のろはれん 17 また汝なんぢの飯めし籃かごも汝なんぢの捏こね盤ばちも詛のろはれん 18 汝なんぢの胎たいの產さん汝なんぢの地ちの產さん汝なんぢの牛うしの產さん汝なんぢの羊ひつじの產さんも詛のろはれん 19 汝なんぢは入いるにも詛のろはれ出いづるにも詛のろはれん

20 ヱホバ汝なんぢをしてその凡すべて手てをもて爲なすところにおいて呪詛のろひと恐懼おそれと譴責いましめを蒙かうむらしめたまふべければ汝なんぢは滅ほろびて速󠄃すみやかに亡うせはてん是こは汝なんぢ惡あしき事ことをおこなひて我われを棄すつるによりてなり〘286㌻〙 21 ヱホバ疫病えきびやうを汝なんぢの身みに着つかせて遂󠄅つひに汝なんぢをその往󠄃ゆきて得うるとこるの地ちより滅ほろぼし絕たちたまはん 22 ヱホバまた癆瘵らうさいと熱病ねつびやうと傷しやう寒󠄃かんと瘧疾おこりと刀劍つるぎと枯死ふけと汚腐くさりとをもて汝なんぢを擊うちなやましたまふべし是これらの物もの汝なんぢを追󠄃おひ汝なんぢをして滅ほろびうせしめん 23 汝なんぢの頭かしらの上うへなる天てんは銅あかがねのごとくになり汝なんぢの下したなる地ちは鐵くろがねのごとくになるべし 24 ヱホバまた雨あめのかはりに沙すなと灰󠄃はひとを汝なんぢの地ちに降󠄄ふらせたまはん是これらの物もの天てんより汝なんぢの上うへに下くだりて遂󠄅つひに汝なんぢを滅ほろぼさん

25 ヱホバまた汝なんぢをして汝なんぢの敵てきに打敗うちやぶられしめたまふべし汝なんぢは彼かれらにむかひて一條ひとつの路みちより進󠄃すゝみ彼かれらの前󠄃まへにて七條ななつの路みちより逃󠄄にげはしらん而しかして汝なんぢはまた地ちの諸もろ〳〵の國くににて虐󠄃遇󠄃しへたげにあはん 26 汝なんぢの死屍しかばねは空󠄃そらの諸もろ〳〵の鳥とりと地ちの獸けものの食󠄃しよくとならん然しかるもこれを逐󠄃おひはらふ者ものあらじ
 376㌻ 
27 ヱホバまたエジプトの瘍瘡はれものと痔ぢと癰ようと癢󠄂しつとをもて汝なんぢを擊うちたまはん汝なんぢはこれより愈󠄃いゆることあらじ 28 ヱホバまた汝なんぢを擊うち汝なんぢをして狂くるひ且かつ目めくらみて心こゝろに驚おどろき悸おそれしめたまはん 29 汝なんぢは瞽者めしひが暗󠄃やみにたどるごとく眞󠄃晝まひるにおいても尙なほたどらん汝なんぢその途󠄃みちによりて福祉さいはひを得うることあらじ汝なんぢは只たゞつねに虐󠄃しへたげられ掠かすめられんのみ汝なんぢを救すくふ者ものなかるべし 30 汝なんぢ妻つまを娶めとる時ときは他ほかの人ひとこれと寢いねん汝なんぢ家いへを建󠄄たつるもその中うちに住󠄃すむことを得えず葡萄園ぶだうばたけを作つくるもその葡萄ぶだうを摘つみとることを得えじ 31 汝なんぢの牛うし汝なんぢの目めの前󠄃まへに宰ほふらるるも汝なんぢは之これを食󠄃くらふことを得えず汝なんぢの驢馬ろばは汝なんぢの目めの前󠄃まへにて奪うばひさられん再ふたゝび汝なんぢにかへることあらじ又󠄂またなんぢの羊ひつじは汝なんぢの敵てきの有󠄃ものとならん然されど汝なんぢにはこれを救すくふ道󠄃みちあらじ 32 汝なんぢの男子むすこと汝なんぢの女子むすめは他よそ邦󠄆ぐにの民たみの有󠄃ものとならん汝なんぢは終󠄃日ひねもすこれを慕したひ望󠄇のぞみて目めを喪うしなふに至いたらん汝なんぢの手てには何なにの力ちからもあらじ 33 汝なんぢの地ちの產物さんぶつおよび汝なんぢの努苦ほねをりて得えたる物ものは汝なんぢの識しらざる民たみこれを食󠄃くらはん汝なんぢは只たゞつねに虐󠄃しへたげられ窘くるしめられん而已のみ 34 汝なんぢはその目めに見みるところの事ことによりて心こゝろ狂くるふに至いたらん 35 ヱホバ汝なんぢの膝ひざと脛はぎとに惡あしくして愈󠄃いえざる瘍瘡はれものを生しやうぜしめて終󠄃つひに足あしの蹠うらより頭かしらの頂いたゞきにまでおよぼしたまはん

36 ヱホバ汝なんぢと汝なんぢが立たてたる王わうとを携たづさへて汝なんぢも汝なんぢの先祖せんぞ等たちも知しらざりし國々くに〴〵に移うつし給たまはん汝なんぢは其處そこにて木きまたは石いしなる他ほかの神々かみ〴〵に事つかふるあらん 37 汝なんぢはヱホバの汝なんぢを遣󠄃つかはしたまふ國々くに〴〵にて人ひとの詑異あやしむ者ものとなり諺語ことわざとなり諷刺そしりとならん 38 汝なんぢは多分󠄃おほくの種たねを田野はたけに携たづさへ出いだすもその刈かりとるとこるは少すくなかるべし蝗いなごこれを食󠄃くらふべければなり〘287㌻〙 39 汝なんぢ葡萄園ぶだうばたけを作つくりてこれに培つちかふもその酒さけを飮のむことを得えずまたその果みを斂あつむることを得えじ蟲むしこれを食󠄃くらふべければなり 40 汝なんぢの國くにには遍󠄃あまねく橄欖かんらんの樹きあらん然されど汝なんぢはその油あぶらを身みに膏ぬることを得えじ其その果みみな墮おつべければなり 41 汝なんぢ男子なんし女子によしを擧もうくるもこれを汝なんぢの有󠄃ものとすることを得えじ皆みな擄とらへゆかるべければなり 42 汝なんぢの諸もろ〳〵の樹きおよび汝なんぢの地ちの產物さんぶつはみな蝗いなごこれを取とりて食󠄃くらふべし
 377㌻ 
43 汝なんぢの中間うちにある他國よそぐにの人ひとはますます高たかくなりゆきて汝なんぢの上うへに出いで汝なんぢはますます卑ひくくなりゆかん 44 彼かれは汝なんぢに貸かすことをせん汝なんぢは彼かれに貸かすことを得えじ彼かれは首かしらとなり汝なんぢは尾をとならん 45 この諸もろ〳〵の災禍わざはひ汝なんぢに臨のぞみ汝なんぢを追󠄃おひ汝なんぢに及およびてつひに汝なんぢを滅ほろぼさん是こは汝なんぢその神かみヱホバの言ことばに聽きくしたがはず其そのなんぢに命めいじたまへる誡命いましめと法度のりとを守まもらざるによるなり 46 是等これらの事ことは恒つねになんぢと汝なんぢの子孫しそんの上うへにありて徴證しるしとなり人ひとを驚おどろかす者ものとなるべし

47 なんぢ萬よろづの物ものの豐饒ゆたかなる中なかにて心こゝろに歡よろこび樂たのしみて汝なんぢの神かみヱホバに事つかへざるに因より 48 饑󠄃うゑ渇かわきかつ裸はだかになり萬よろづの物ものに乏とぼしくしてヱホバの汝なんぢに攻せめきたらせたまふところの敵てきに事つかふるに至いたらん彼かれ鐵てつの軛くびきをなんぢの頸くびにつけて遂󠄅つひに汝なんぢをほろぼさん 49 即すなはちヱホバ遠󠄄方とほきところより地ちの極はて所󠄃ところより一ひとつの民たみを鵰わしの飛とぶがごとくに汝なんぢに攻せめきたらしめたまはん是これは汝なんぢがその言語ことばを知しらざる民たみ 50 その面かほの猛まう惡あくなる民たみにして老おいたる者ものの身みを顧󠄃かへりみず幼稚をさなき者ものを憐あはれまず 51 汝なんぢの家畜かちくの產さんと汝なんぢの地ちの產さんを食󠄃くらひて汝なんぢをほろぼし穀物こくもつをも酒さけをも油あぶらをも牛うしの產さんをも羊ひつじの產さんをも汝なんぢのために遺󠄃のこさずして終󠄃つひに全󠄃まつたく汝なんぢを滅ほろぼさん 52 その民たみは汝なんぢの全󠄃國ぜんこくにおいて汝なんぢの一切すべての邑々まちまちを攻せめ圍󠄃かこみ遂󠄅つひにその汝なんぢが賴たのむ堅固けんごなる高たかき石垣いしがきをことごとく打うち圮くづし汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢにたまへる國くにの中うちなる一切すべての邑々まちまちをことごとく攻せめ圍󠄃かこむべし 53 汝なんぢは敵てきに圍󠄃かこまれ烈はげしく攻せめなやまさるるによりて終󠄃つひにその汝なんぢの神かみヱホバに賜たまはれる汝なんぢの胎はらの產さんなる男子むすこ女子むすめの肉󠄁にくを食󠄃くらふにいたらん 54 汝なんぢらの中うちの柔やはらか生育そだちにして軟弱󠄃たよわなる男をとこすらもその兄弟きやうだいとその懷ふところの妻つまとその遺󠄃のこれる子女こどもとを疾にくみ視み 55 自己おのれの食󠄃くらふその子等こどもの肉󠄁にくをこの中うちの誰たれにも與あたふることを好このまざらん是こは汝なんぢの敵てき汝なんぢの一切すべての邑々まちまちを圍󠄃かこみ烈はげしく汝なんぢを攻せめなやまして何なに物ものをも其人そのひとに遺󠄃のこさざればなり
 378㌻ 
56 又󠄂また汝なんぢらの中うちの柔やはらか生育そだちにして纎弱󠄃たよわなる婦󠄃女をんなすなはちその柔やはらか生育そだちにして纎弱󠄃たよわなるがために足あしの蹠うらを土つちにつくることをも敢あへてせざる者ものすらもその懷ふところの夫をつととその男子むすことその女子むすめとを疾にくみ視み 57 己おのれの足あしの間あひだより出いづる胞󠄃衣えなと己おのれの產うむところの子こを取とりて密ひそかにこれを食󠄃くらはん是これは汝なんぢの敵てきなんぢの邑々まちまちを圍󠄃かこみ烈はげしくこれを攻せめなやますによりて何なに物ものをも得えざればなり〘288㌻〙

58 汝なんぢもしこの書ふみに記しるしたるこの律法おきての一切すべての言ことばを守まもりて行おこなはず汝なんぢの神かみヱホバと云いふ榮さかえある畏おそるべき名なを畏おそれずば 59 ヱホバ汝なんぢの災禍わざはひと汝なんぢの子孫しそんの災禍わざはひを烈はげしくしたまはん其その災禍わざはひは大おほいにして久ひさしくその疾病やまひは重おもくして久ひさしかるべし 60 ヱホバまた汝なんぢが懼おそれし疾病やまひなるエジプトの諸もろ〳〵の疾病やまひを持もちきたりて汝なんぢの身みに纒󠄂まとひ附つかしめたまはん 61 また此この律法おきての書ふみに載のせざる諸もろ〳〵の疾病やまひと諸もろ〳〵の災害󠄅わざはひを汝なんぢの滅ほろぶるまでヱホバ汝なんぢに降󠄄くだしたまはん 62 汝なんぢらは空󠄃そらの星ほしのごとくに衆多おほかりしも汝なんぢの神かみヱホバの言ことばに聽きゝしたがはざるによりて殘のこり寡すくなに打うちなさるべし 63 ヱホバさきに汝なんぢらを善よくして汝等なんぢらを衆おほくすることを喜よろこびしごとく今いまはヱホバ汝なんぢらを滅ほろぼし絕たやすことを喜よろこびたまはん汝なんぢらは其その往󠄃ゆきて獲うるところの地ちより拔ぬきさらるべし 64 ヱホバ地ちのこの極はてよりかの極はてまでの國々くに〴〵の中うちに汝なんぢを散ちらしたまはん汝なんぢは其處そこにて汝なんぢも汝なんぢの先祖せんぞ等たちも知しらざりし木きまたは石いしなる他ほかの神々かみ〴〵に事つかへん 65 その國々くに〴〵の中うちにありて汝なんぢは安寧あんねいを得えずまた汝なんぢの足あしの跖うらを休やすむる所󠄃ところを得えじ其處そこにてヱホバ汝なんぢをして心こゝろ慄をののき目め昏くらみ精神せいしん亂みだれしめたまはん 66 汝なんぢの生命いのちは細ほそき糸いとに懸かかるが如ごとく汝なんぢに見みゆ汝なんぢは夜よる晝ひるとなく恐怖おそれをいだき汝なんぢの生命いのちおぼつかなしと思おもはん 67 汝なんぢ心こゝろに懼おそるる所󠄃ところによりまた目めに見みる所󠄃ところによりて朝󠄃あしたにおいては言いはん嗚呼ああ夕ゆふべならば善よからんとまた夕ゆふべにおいては言いはん嗚呼ああ朝󠄃あしたならば善よからんと 68 ヱホバなんぢを舟ふねにのせ彼かの昔むかしわが汝なんぢに吿つげて汝なんぢは再ふたゝびこれを見みることあらじと言いひたるその路みちより汝なんぢをエジプトに曳ひきゆきたまはん彼處かしこにて人ひと汝なんぢらを賣うりて汝なんぢらの敵てきの奴婢ぬひとなさん汝なんぢらを買かふ人ひともあらじ
 379㌻ 

第29章

1 ヱホバ、モーセに命めいじモアブの地ちにてイスラエルの子孫ひと〴〵と契󠄅約けいやくを結むすばしめたまふその言ことばは斯かくのごとし是これはホレブにてかれらと結むすびし契󠄅約けいやくの外ほかなる者ものなり

2 モーセ、イスラエルの全󠄃家ぜんかを呼よびあつめて之これに言いひけるは汝なんぢらはヱホバがエジプトの地ちにおいて汝なんぢらの目めの前󠄃まへにてパロとその臣下しんかとその全󠄃地ぜんちとに爲なしたまひし一切すべての事ことを觀みたり 3 即すなはち其その大おほいなる試煉こゝろみと徴證しるしと大おほいなる奇跡ふしぎとを汝なんぢ目めに觀みたるなり 4 然しかるにヱホバ今日こんにちにいたるまで汝なんぢらの心こゝろをして悟さとることなく目めをして見みることなく耳みゝをして聞きくことなからしめたまへり 5 四十年ねんの間あひだわれ汝なんぢらを導󠄃みちびきて曠野あらのを通󠄃とほりしが汝なんぢらの身みの衣服󠄃ころもは古ふるびず汝なんぢの足あしの鞋くつは古ふるびざりき〘289㌻〙 6 汝なんぢらはまたパンをも食󠄃くらはず葡萄ぶだう酒しゆをも濃酒こきさけをも飮のまざりき斯かくありて汝なんぢらは我わが汝なんぢらの神かみヱホバなることを知しれり 7 汝なんぢらこの處ところに來きたりし時ときヘシボンの王わうシホンおよびバシヤンの王わうオグ我われらを迎󠄃むかへて戰たゝかひしが我われらこれを打敗うちやぶりて 8 その地ちを取とりこれをルベン人びととガド人びととマナセの半󠄃はん支󠄂派󠄄わかれとに與あたへて產業さんげふとなさしめたり 9 然されば汝なんぢらこの契󠄅約けいやくの言ことばを守まもりてこれを行おこなふべし然さすれば汝なんぢらの凡すべて爲なすところに祥さいはひあらん

10 汝なんぢらみな今日けふなんぢらの神かみヱホバの前󠄃まへに立たつ即すなはち汝なんぢらの首領をさ等たちなんぢらの支󠄂派󠄄わかれなんぢらの長老等としよりたちおよび汝なんぢらの牧司つかさ等たちなどイスラエルの一切すべての人ひと 11 汝なんぢらの小ちひさき者等ものども汝なんぢらの妻つまならびに汝なんぢらの營えいの中うちにをる客旅󠄃たびゞとなど凡すべて汝なんぢのために薪たきぎを割󠄅わる者ものより水みづを汲󠄂くむ者ものにいたるまで皆みなヱホバの前󠄃まへに立たちて 12 汝なんぢの神かみヱホバの契󠄅約けいやくに入いらんとし又󠄂また汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢにむかひて今日けふなしたまふところの誓ちかひに入いらんとす 13 然さればヱホバさきに汝なんぢに言いひしごとくまた汝なんぢの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかひしごとく今日けふなんぢを立たてて己おのれの民たみとなし己おのれみづから汝なんぢの神かみとなりたまはん
 380㌻ 

14 我われはただ汝なんぢらと而已のみ此この契󠄅約けいやくと誓ちかひとを結むすぶにあらず 15 今日けふ此こゝにてわれらの神かみヱホバの前󠄃まへに我われらとともにたちをる者ものならびに今日けふわれらとともに此こゝにたち居をらざる者ものともこれを結むすぶなり 16 我われらは如何いかにエジプトの地ちに住󠄃すみをりしか如何いかに國々くに〴〵を通󠄃とほり來きたりしか汝なんぢらこれを知しれり 17 汝なんぢらはまた木ぼく石せき金銀きんぎんにて造󠄃つくれる憎にくむべき物ものおよび偶像󠄃ぐうざうのその國々くに〴〵にあるを見みたり 18 然されば汝なんぢらの中うちに今日けふその心こゝろに我われらの神かみヱホバを離はなれて其それ等らの國々くに〴〵の神かみに往󠄃ゆきて事つかふる男をとこ女をんな宗族やから支󠄂派󠄄わかれなどあるべからず又󠄂またなんぢらの中うちに葶藶にがぜりまたは茵蔯いんちんを生しやうずる根ねあるべからず 19 斯かゝる人ひとはこの呪詛のろひの言ことばを聞きくもその心こゝろに自みづから幸福さいはひなりと思おもひて言いはん我われはわが心こゝろを剛愎かたくなにして事ことをなすも尙なほ平󠄃安へいあんなり終󠄃つひには醉ゑひ飽󠄄あける者ものをもて渇かわける者ものを除のぞくにいたらんと 20 是かくのごとき人ひとはヱホバかならず之これを赦ゆるしたまはじ還󠄃かへつてヱホバの忿怒いかりと嫉妬ねたみの火ひこれが上うへに燃もえまたこの書ふみにしるしたる災禍わざはひみなその身みに加くははらんヱホバつひにその人ひとの名なを天あまが下したより抹けしさりたまふべし 21 ヱホバすなはちイスラエルの諸すべての支󠄂派󠄄わかれの中うちよりその人ひとを分󠄃わかちてこれに災禍わざはひを下くだしこの律法おきての書ふみにしるしたる契󠄅約けいやく中ちうの諸もろ〳〵の呪詛のろひのごとくしたまはん〘290㌻〙

22 汝等なんぢらの後のちに起󠄃おこる汝なんぢらの子孫しそんの代よの人ひとおよび遠󠄄とほき國くにより來きたる客旅󠄃たびゞとこの地ちの災禍わざはひを見みまたヱホバがこの地ちに流行はやらせたまふ疾病やまひを見みて言いふところあらん 23 即すなはち彼かれら見みるにその全󠄃地ぜんちは硫黃いわうとなり鹽しほとなり且かつ燒やけ土つちとなりて種たねも蒔まかれず產さんする所󠄃ところもなく何なにの草くさもその上うへに生しやうせずして彼かの昔むかしヱホバがその震怒いかりと忿恨いきどほりとをもて毀こぼちたましソドム、ゴモラ、アデマ、ゼポイムの毀こぼたれたると同おなじかるべければ 24 彼かれらも國々くに〴〵の人ひともみな言いはんヱホバ何なにとて斯かくこの地ちになしたるやこの烈はげしき大おほいなる震怒いかりは何事なにごとぞやと 25 その時とき人ひと應こたへて曰いはん彼かれらはその先祖せんぞたちの神かみヱホバがエジプトの地ちより彼かれらを導󠄃みちびきいだして彼かれらと結むすびたるその契󠄅約けいやくを棄すて
 381㌻ 
26 往󠄃ゆきて己おのれの識しらずまた授さづからざる他ほかの神々かみ〴〵に事つかへてこれを拜をがみたるが故ゆゑなり 27 是こゝをもてヱホバこの地ちにむかひて震怒いかりを發はつしこの書ふみにしるしたる諸もろ〳〵の災禍わざはひをこれに下くだし 28 而しかしてヱホバ震怒いかりと忿恨いきどほりと大おほいなる憤怨ふづくみをもて彼かれらをこの地ちより拔ぬきとりてこれを他たの國くにに投なげやれりその狀さま今日こんにちのごとし 29 隱微かくれたる事ことは我われらの神かみヱホバに屬ぞくする者ものなりまた顯露あらはされたる事ことは我われらと我われらの子孫しそんに屬ぞくし我われらをしてこの律法おきての諸すべての言ことばを行おこなはしむる者ものなり

第30章

1 我わが汝なんぢらの前󠄃まへに陳のべたるこの諸もろ〳〵の祝福めぐみと呪詛のろひの事ことすでに汝なんぢに臨のぞみ汝なんぢその神かみヱホバに逐󠄃おひやられたる諸もろ〳〵の國々くに〴〵において此事このことを心こゝろに考かんがふるにいたり 2 汝なんぢと汝なんぢの子等こどもともに汝なんぢの神かみヱホバに起󠄃たちかへり我わが今日けふなんぢに命めいずる所󠄃ところに全󠄃まつたく循したがひて心こゝろをつくし精神せいしんをつくしてヱホバの言ことばに聽きゝしたがはば 3 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの俘擄とらはれを解ときて汝なんぢを憐あはれみ汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢを顧󠄃かへりみその汝なんぢを散ちらしし國々くに〴〵より汝なんぢを集あつめたまはん 4 汝なんぢたとひ天てん涯がいに逐󠄃おひやらるるとも汝なんぢの神かみヱホバ其處そこより汝なんぢを集あつめ其處そこより汝なんぢを携たづさへかへりたまはん 5 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢをしてその先祖せんぞの有󠄃たもちし地ちに歸かへらしめたまふて汝なんぢまたこれを有󠄃たもつにいたらんヱホバまた汝なんぢを善よくし汝なんぢを增まして汝なんぢの先祖せんぞよりも衆おほからしめたまはん 6 而しかして汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの心こゝろと汝なんぢの子等こどもの心こゝろに割󠄅禮かつれいを施ほどこし汝なんぢをして心こゝろを盡つくし精神せいしんをつくして汝なんぢの神かみヱホバを愛あいせしめ斯かくして汝なんぢに生命いのちを得えさせたまふべし 7 汝なんぢの神かみヱホバまた汝なんぢの敵てきと汝なんぢを惡にくみ攻せむる者ものとにこの諸もろ〳〵の災禍わざはひをかうむらせたまはん 8 然されど汝なんぢは再ふたゝびヱホバの言ことばに聽きゝしたがひ我わが今日けふなんぢに命めいずるその一切すべての誡命いましめを行おこなふにいたらん 9 然しかる時ときは汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢをして汝なんぢが手てをかくる諸すべての物ものと汝なんぢの胎はらの產さんと汝なんぢの家畜かちくの產さんと汝なんぢの地ちの產さんに富とましめて汝なんぢを善よくしたまはん即すなはちヱホバ汝なんぢの先祖せんぞたちを悅よろこびしごとく再ふたゝび汝なんぢを悅よろこびて汝なんぢを善よくしたまはん〘291㌻〙
 382㌻ 
10 是こは汝なんぢその神かみヱホバの言ことばに聽きゝしたがひ此この律法おきての書ふみにしるされたる誡命いましめと法度のりを守まもり心こゝろをつくし精神せいしんを盡つくして汝なんぢの神かみヱホバに歸きするによりてなり

11 我わが今日けふなんぢに命めいずる誡命いましめは汝なんぢが理會さとりがたき者ものにあらずまた汝なんぢに遠󠄄とほき者ものにあらず 12 是これは天てんに在あるならねば汝なんぢは誰たれか我われらのために天てんにのぼりてこれを我われらに持もちくだり我われらにこれを聞きかせて行おこなはせんかと曰いふにおよばず 13 また是これは海うみの外そとにあるならねば汝なんぢは誰たれか我われらのために海うみをわたりゆきてこれを我われらに持もちきたり我われらにこれを聞きかせて行おこなはせんかと曰いふにおよばず 14 是この言ことばは甚はなはだ汝なんぢに近󠄃ちかくして汝なんぢの口くちにあり汝なんぢの心こゝろにあれば汝なんぢこれを行おこなふことを得うべし

15 視みよ我われ今日けふ生命いのちと福德さいはひおよび死しと災禍わざはひを汝なんぢの前󠄃まへに置おけり 16 即すなはち我われ今日けふ汝なんぢにむかひて汝なんぢの神かみヱホバを愛あいしその道󠄃みちに步あゆみその誡命いましめと法度のりと律法おきてとを守まもることを命めいずるなり然しかなさば汝なんぢ生いきながらへてその數󠄄かず衆おほくならんまた汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが往󠄃ゆきて獲うるところの地ちにて汝なんぢを祝福めぐみたまふべし 17 然されど汝なんぢもし心こゝろをひるがへして聽きゝ從したがはず誘いざなはれて他ほかの神々かみ〴〵を拜をがみまたこれに事つかへなば 18 我われ今日けふ汝なんぢらに吿つぐ汝なんぢらは必かならず滅ほろびん汝なんぢらはヨルダンを渡わたりゆきて獲うるところの地ちにて汝なんぢらの日ひを永ながうすることを得えざらん 19 我われ今日けふ天てんと地ちを呼よびて證あかしとなす我われは生命いのちと死しおよび祝福めぐみと呪詛のろひを汝なんぢらの前󠄃まへに置おけり汝なんぢ生命いのちをえらぶべし然しかせば汝なんぢと汝なんぢの子孫しそん生存いきながらふることを得えん 20 即すなはち汝なんぢの神かみヱホバを愛あいしてその言ことばを聽きき且かつこれに附つき從したがふべし斯かくする時ときは汝なんぢ生命いのちを得えかつその日ひを永ながうすることを得えヱホバが汝なんぢの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに與あたへんと誓ちかひたまひし地ちに住󠄃すむことを得えん

第31章

1 茲ここにモーセ往󠄃ゆきてイスラエルの一切すべての人ひとにこの言ことばをのべたり 2 即すなはちこれに言いひけるは我われは今日こんにちすでに百二十歳さいなれば最早もはや出で入いりをすること能あたはず且かつまたヱホバ我われにむかひて汝なんぢはこのヨルダンを濟わたることを得えずと宣のたまへり
 383㌻ 
3 汝なんぢの神かみヱホバみづから汝なんぢに先さきだちて渡わたりゆき汝なんぢの前󠄃まへよりこの國々くに〴〵の人ひとを滅ほろぼしさりて汝なんぢにこれを獲えさせたまふべしまたヱホバのかつて宣のたまひしごとくヨシユア汝なんぢを率󠄃ひきゐて濟わたるべし 4 ヱホバさきにアモリ人びとの王わうシホンとオグおよび之これが地ちになしたる如ごとくまた彼かれらにも爲なしてこれを滅ほろぼしたまはん〘292㌻〙 5 ヱホバかれらを汝なんぢらの前󠄃まへに付わたしたまふべければ汝なんぢらは我わが汝なんぢらに命めいぜし一切すべての命令めいれいのごとくこれに爲なすべし 6 汝なんぢら心こゝろを强つよくしかつ勇󠄃いさめ彼かれらを懼おそるる勿なかれ彼かれらの前󠄃まへに慄をののくなかれ其そは汝なんぢの神かみヱホバみづから汝なんぢとともに往󠄃ゆきたまへばなり必かならず汝なんぢを離はなれず汝なんぢを棄すてたまはじ 7 斯かくてモーセ、ヨシユアを呼よびイスラエルの一切すべての人ひとの目めの前󠄃まへにてこれに言いふ汝なんぢはこの民たみとともに往󠄃ゆき在昔むかしヱホバがかれらの先祖せんぞたちに與あたへんと誓ちかひたまひし地ちに入いるべきが故ゆゑに心こゝろを强つよくしかつ勇󠄃いさめ汝なんぢ彼かれらにこれを獲えさすることを得うべし 8 ヱホバみづから汝なんぢに先さきだちて往󠄃ゆきたまはんまた汝なんぢとともに居をり汝なんぢを離はなれず汝なんぢを棄すてたまはじ懼おそるる勿なかれ驚おどろくなかれ

9 モーセこの律法おきてを書かきヱホバの契󠄅約けいやくの櫃はこを舁かくところのレビの子孫しそんたる祭司さいしおよびイスラエルの諸すべての長老等としよりたちに授さづけたり 10 而しかしてモーセ彼かれらに命めいじて言いひけるは七年ねんの末すゑの年としすなはち放釋ゆるしの年としの節󠄄せつ期きにいたり結茅かりほずまひの節󠄄いはひにおいて 11 イスラエルの人ひと皆みななんぢの神かみヱホバの前󠄃まへに出いでんとてヱホバの選󠄄えらびたまふ處ところに來きたらんその時ときに汝なんぢイスラエルの一切すべての人ひとの前󠄃まへにこの律法おきてを誦よみてこれに聞きかすべし 12 即すなはち男をとこ女をんな子等こどもおよび汝なんぢの門もんの內うちなる他よそ國ぐにの人ひとなど一切すべての民たみを集あつめ彼かれらをしてこれを聽きゝかつ學まなばしむべし然さすれば彼等かれら汝なんぢらの神かみヱホバを畏おそれてこの律法おきての言ことばを守まもり行おこなはん
 384㌻ 
13 また彼かれらの子等こどものこれを知しらざる者ものも之これを聞きゝて汝なんぢらの神かみヱホバを畏おそるることを學まなばん汝なんぢらそのヨルダンを濟わたりゆきて獲うるところの地ちに存ながらふる日ひの間あひだつねに斯かくすべし

14 ヱホバまたモーセに言いひたまひけるは視みよ汝なんぢの死しぬる日ひ近󠄃ちかしヨシユアを召めしてともに集會しふくわいの幕屋まくやに立たて我われかれに命めいずるところあらんとモーセとヨシユアすなはち往󠄃ゆきて集會しふくわいの幕屋まくやに立たちけるに 15 ヱホバ幕屋まくやにおいて雲くもの柱󠄃はしらの中うちに現あらはれたまへりその雲くもの柱󠄃はしらは幕屋まくやの門口かどぐちの上うへに駐󠄃とどまれり 16 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢは先祖せんぞたちとともに寢ねむらん此この民たみは起󠄃たちあがりその往󠄃ゆくところの他よそ國ぐにの神々かみ〴〵を慕したひて之これと姦淫かんいんを行おこなひかつ我われを棄すてて我わが彼かれらとむすびし契󠄅約けいやくを破やぶらん 17 その日ひには我われかれらにむかひて怒いかりを發はつし彼かれらを棄すて吾わが面かほをかれらに隱かくすべければ彼かれらは呑のみほろぼされ許多あまたの災害󠄅わざはひと艱難なやみかれらに臨のぞまん是こゝをもてその日ひに彼かれら言いはん是等これらの災禍わざはひの我われらにのぞむは我われらの神かみヱホバわれらとともに在いまさざるによるならずやと 18 然しかるも彼かれら諸もろ〳〵の惡あくをおこなひて他ほかの神々かみ〴〵に歸きするによりて我われその日ひにはかならず吾わが面かほをかれらに隱かくさん〘293㌻〙 19 然されば汝なんぢら今いまこの歌うたを書かきイスラエルの子孫ひと〴〵にこれを敎をしへてその口くちに念ねんぜしめ此この歌うたをしてイスラエルの子孫ひと〴〵にむかひて我われの證あかしとならしめよ 20 我われかれらの先祖せんぞたちに誓ちかひし乳󠄃ちゝと蜜みつの流ながるる地ちにかれらを導󠄃みちびきいらんに彼かれらは食󠄃くらひて飽󠄄あき肥太こえふとるにおよばば飜ひるがへりて他ほかの神々かみ〴〵に歸きしてこれに事つかへ我われを輕かろんじ吾わが契󠄅約けいやくを破やぶらん 21 而しかして許多あまたの災禍わざはひと艱難なやみ彼かれらに臨のぞむにいたる時ときはこの歌うたかれらに對むかひて證あかしをなす者ものとならん其そはこの歌うたかれらの口くちにありて忘󠄃わするることなかるべければなり我われいまだわが誓ちかひし地ちに彼かれらを導󠄃みちびきいらざるに彼かれらは早はやく已すでに思おもひ量はかる所󠄃ところあり我われこれを知しると 22 モーセすなはちその日ひにこの歌うたを書かきてこれをイスラエルの子孫ひと〴〵に敎をしへたり 23 ヱホバまたヌンの子こヨシユアに命めいじて曰いひたまはく汝なんぢはイスラエルの子孫ひと〴〵を我わが其それに誓ちかひし地ちに導󠄃みちびきいるべきが故ゆゑに心こゝろを强つよくしかつ勇󠄃いさめ我われなんぢとともに在あるべしと
 385㌻ 

24 モーセこの律法おきての言ことばをことごとく書ふみに書かきしるすことを終󠄃をへたる時とき 25 モーセ、ヱホバの契󠄅約けいやくの櫃はこを舁かくところのレビ人びとに命めいじて言いひけるは 26 この律法おきての書ふみをとりて汝なんぢらの神かみヱホバの契󠄅約けいやくの櫃はこの傍かたはらにこれを置おき之これをして汝なんぢにむかひて證あかしをなす者ものたらしめよ 27 我われなんぢの悖もとる事ことと頑󠄂梗󠄃かたくななるとを知しる見みよ今日こんにちわが生存いきながらへて汝なんぢらとともにある間あひだすら汝なんぢらはヱホバに悖もとれり况ましてわが死しにたる後のちにおいてをや 28 汝なんぢらの諸わかれ支󠄂派󠄄わかれの長老等としよりたちおよび牧伯つかさたちを吾わが許もとに集あつめよ我われこれらの言ことばをかれらに語かたり聞きかせ天てんと地ちとを呼よびてかれらに證あかしをなさしめん 29 我われしる我わが死しにたる後のちには汝なんぢら必かならず惡あしき事ことを行おこなひ我わが汝なんぢらに命めいぜし道󠄃みちを離はなれん而しかして後のちの日ひに災害󠄅わざはひなんぢらに臨のぞまん是これなんぢらヱホバの惡あくと觀みたまふ事ことをおこなひ汝なんぢらの手ての行爲わざをもてヱホバを怒いからするによりてなり

30 かくてモーセ、イスラエルの全󠄃ぜん會衆くわいしうにこの歌うたの言ことばをことごとく語かたり聞きかせたり

第32章

1 天てんよ耳みゝを傾かたむけよ我われ語かたらん地つちよ吾わが口くちの言ことばを聽きけ 2 わが敎をしへは雨あめの降󠄄くだるがごとし吾わが言ことばは露つゆのおくがごとく靀こさめの若わか艸くさの上うへにふるごとく細雨きりさめの靑あを艸くさの上うへにくだるが如ごとし 3 我われはヱホバの御名みなを頌󠄃たたへ揚あげん我われらの神かみに汝なんぢら榮光さかえを歸きせよ 4 ヱホバは磐いはにましましてその御み行爲わざは完まつたくその道󠄃みちはみな正たゞしまた眞󠄃實まことある神かみにましまして惡あしきところ無なし只たゞ正たゞしくして直なほくいます 5 彼かれらはヱホバにむかひて惡あしき事ことをおこなふ者ものにてその子こにはあらず只たゞこれが玷きずとなるのみ其人そのひとと爲なりは邪󠄅僻よこしまにして曲まがれり〘294㌻〙 6 愚おろかにして智慧󠄄ちゑなき民たみよ汝なんぢらがヱホバに報むくゆること是かくのごとくなるかヱホバは汝なんぢの父󠄃ちちにして汝なんぢを贖あがなひまた汝なんぢを造󠄃つくり汝なんぢを建󠄄たてたまはずや 7 昔むかしの日ひを憶おぼえ過󠄃すぎにし世よ代よの年としを念おもへよ汝なんぢの父󠄃ちちに問とふべし彼かれ汝なんぢに示しめさん汝なんぢの中うちの年老としよりに問とふべし彼かれら汝なんぢに語かたらん
 386㌻ 
8 至高者いとたかきもの人ひとの子こを四方よもに散ちらして萬よろづの民たみにその產業もちものを分󠄃わかちイスラエルの子孫ひと〴〵の數󠄄かずに照てらして諸もろ〳〵の民たみの境界さかひを定さだめたまへり 9 ヱホバの分󠄃ぶんはその民たみにしてヤユブはその產業もちものたり 10 ヱホバこれを荒野あれのの地ちに見みこれに獸けものの吼ほゆる曠野あらのに遇󠄃あひ環󠄃めぐりかこみて之これをいたはり眼めの珠たまのごとくにこれを護まもりたまへり 11 鵰わしのその巢す雛びなを喚起󠄃よびおこしその子この上うへに翺翔󠄃まひかけるごとくヱホバその羽はねを展のべて彼かれらを載のせせその翼󠄅つばさをもてこれを負󠄅おひたまへり 12 ヱホバは只たゞ獨ひとりにてかれを導󠄃みちびきたまへり別あだし神がみはこれとともならざりき 13 ヱホバかれに地ちの高處たかみを乘のりとほらせ田園たはたの產物なりいでものを食󠄃くらはせ石いしの中なかより蜜みつを吸すはしめ磐いはの中なかより油あぶらを吸すはしめ 14 牛うしの乳󠄃ちゝ 羊ひつじの乳󠄃ちゝ 羔羊こひつじの脂あぶら バシヤンより出いづる牡羊をひつじ 牡山羊をやぎおよび小麥こむぎの最もつとも佳よき者ものをこれに食󠄃くらはせたまひき汝なんぢはまた葡萄ぶだうの汁しるの紅あかき酒さけを飮のめり 15 然しかるにヱシユルンは肥こえて踢けることを爲なす汝なんぢは肥太こえふとりて大おほきくなり己おのれを造󠄃つくりし神かみを棄すて己おのが救拯すくひの磐いはを輕かろんず 16 彼かれらは別あだし神がみをもて之これが嫉妬ねたくをおこし憎にくむべき者ものをもて之これが震怒いかりを惹ひく 17 彼かれらが犧牲いけにへをささぐる者ものは鬼おににして神かみにあらず彼かれらが識しらざりし鬼神かみ〴〵近󠄃頃ちかごろ新あらたに出いでたる者もの汝なんぢらの遠󠄄とほつ親おやの畏かしこまざりし者ものなり 18 汝なんぢを生うみし磐いはをば汝なんぢこれを棄すて汝なんぢを造󠄃つくりし神かみをば汝なんぢこれを忘󠄃わする 19 ヱホバこれを見みその男子むすこ女子むすめを怒いかりてこれを棄すてたまふ 20 すなはち曰いひたまはく我われわが面かほをかれらに隱かくさん我われかれらの終󠄃をはりを觀みん彼かれらはみな背そむき悖もとる類たぐひの者もの眞󠄃實まことあらざる子等こどもなり 21 彼かれらは神かみならぬ者ものをもて我われに嫉妬ねたみを起󠄃おこさせ虛むなしき者ものをもて我われを怒いからせたれば我われも民たみならぬ者ものをもて彼かれらに嫉妬ねたみを起󠄃おこさせ愚おろかなる民たみをもて彼かれらを怒いからせん 22 即すなはちわが震怒いかりによりて火ひ燃もえいで深ふかき陰府よみぢに燃もえいたりまた地つちとその產物なりいでものとを燒やきつくし山々やまやまの基もとゐをもやさん
 387㌻ 
23 我われ禍災わざはひをかれらの上うへに積つみかさね吾わが矢やをかれらにむかひて射󠄂いつくさん 24 彼かれらは饑󠄃うゑて痩やせおとろへ熱ねつの病患わづらひと惡あしき疫えやみとによりて滅ほろびん我われまたかれらをして獸けものの齒はにかからしめ地つちに匍はふ者ものの毒󠄂どくにあたらしめん 25 外そとには劒つるぎ內うちには恐惶おそれありて少わかき男をとこをも少わかき女をんなをも幼兒をさなごをも白髮しらがの人ひとをも滅ほろぼさん 26 我われは曰いふ我われ彼等かれらを吹ふき掃󠄃はらひ彼かれらの事ことをして世よの中なかに記憶おぼえらるること無なからしめんと〘295㌻〙 27 然しかれども我われは敵人あたびとの怒いかりを恐おそる即すなはち敵人あたびとどれを見みあやまりて言いはん我われらの手て能よくこれを爲なせり是これはすべてヱホバの爲なせるにあらずと 28 彼かれらはまつたく智慧󠄄ちゑなき民たみなりその中うちには知識ちしきある者ものなし 29 嗚呼ああ彼かれらもし智慧󠄄ちゑあらば之これを了さとりてその身みの終󠄃をはりを思慮おもんぱからんものを 30 彼かれらの磐いはこれを賣うらずヱホバごれを付わたさずば爭いかでか一人ひとりにて千せん人にんを逐󠄃おひ二人ふたりにて萬人まんにんを敗やぶることを得えん 31 彼かれらの磐いはは我われらの磐いはにしかず我われらの敵あだたる者等ものどもも然しか認󠄃みとめたり 32 彼かれらの葡萄ぶだうの樹きはソドムの葡萄ぶだうの樹きまたゴモラの野のより出いでたる者ものその葡萄ぶだうは毒󠄂どく葡萄ぶだうその球ふさは苦にがし 33 その葡萄ぶだう酒しゆは蛇へびの毒󠄂どくのごとく蝮まむしの惡あしき毒󠄂どくのごとし 34 是これは我われの許もとに蓄たくはへあり我われの庫くらに封ふうじこめ有󠄃あるにあらずや 35 彼かれらの足あしの躚󠄂よろめかん時ときに我われ仇あだをかへし應報むくいをなさんその災禍わざはひの日ひは近󠄃ちかく其それがために備そなへられたる事ことは迅󠄄速󠄃すみやかにいたる 36 ヱホバつひにその民たみを鞫さばきまたその僕しもべに憐憫あはれみをくはへたまはん其そは彼かれらの力ちからのすでに去さりうせて繋つながれたる者ものも繋つながれざる者ものもあらずなれるを見みたまへばなり 37 ヱホバ言いひたまはん彼かれらの神々かみ〴〵は何處いづくにをるや彼かれらが賴たのめる磐いはは何處いづくぞや 38 即すなはちその犧牲いけにへの膏油あぶらを食󠄃くらひその灌祭くわんさいの酒さけを飮のみたる者ものは何處いづくにをるや其それ等らをして起󠄃たちて汝なんぢらを助たすけしめ汝なんぢらを護まもらしめよ 39 汝なんぢら今いま觀みよ我われこそは彼かれなり我われの外ほかには神かみなし殺ころすこと活いかすこと擊うつこと愈󠄃いやすことは凡すべて我われ是これを爲なす我わが手てより救すくひ出いだすことを得うる者ものあらず
 388㌻ 
40 我われ天てんにむかひて手てをあげて言いふ我われは永遠󠄄とこしへに活いく 41 我われわが閃爍きらめく刃󠄃やいばを磨󠄃とぎ審判󠄄さばきをわが手てに握にぎる時ときはかならず仇あだをわが敵てきにかへし我われを惡にくむ者ものに返󠄄報むくいをなさん 42 我われわが箭󠄃やをして血ちに醉よはしめ吾わが劍つるぎをして肉󠄁にくを食󠄃くらはしめん即すなはち殺ころさるる者ものと擄とらへらるる者ものの血ちを之これに飮のませ敵てきの髮かみおほき首かうべの肉󠄁にくをこれに食󠄃くらはせん 43 國々くに〴〵の民たみよ汝なんぢらヱホバの民たみのために歡悅よろこびをなせ其そはヱホバその僕しもべの血ちのために返󠄄報むくいをなしその敵てきに仇あだをかへしその地ちとその民たみの汚穢けがれをのぞきたまへばなり

44 モーセ、ヌンの子こヨシユアとともに到いたりてこの歌うたの言ことばをことごとく民たみに誦よみきかせたり 45 モーセこの言語ことばをことごとくイスラエルの一切すべての人ひとに吿つげをはりて 46 これに言いひけるは我わが今日けふなんぢらに對むかひて證あかしするこの一切すべての言語ことばを汝なんぢら心こゝろに藏をさめ汝なんぢらの子等こどもにこの律法おきての一切すべての言語ことばを守まもりおこなふことを命めいずべし 47 抑そもそもこの言ことばは汝なんぢらには虛むなしき言ことばにあらず是これは汝なんぢらの生命いのちなりこの言ことばによりて汝なんぢらはそのヨルダンを濟わたりゆきて獲うるところの地ちにて汝なんぢらの生命いのちを永ながうすることを得うるなり〘296㌻〙

48 この日ひにヱホバ、モーセに吿つげて言いひたまはく 49 汝なんぢヱリコに對たいするモアブの地ちのアバリム山やまに登のぼりてネボ山やまにいたり我わがイスラエルの子孫ひと〴〵にあたへて產業さんげふとなさしむるカナンの地ちを觀みわたせよ 50 汝なんぢはその登のぼれる山やまに死しにて汝なんぢの民たみに列つらならん是これ汝なんぢの兄弟きやうだいアロンがホル山やまに死しにてその民たみに列つらなりしごとくなるべし 51 是こは汝なんぢらチンの曠野あらのなるカデシのメリバの水みづの邊󠄎ほとりにおいてイスラエルの子孫ひと〴〵の中間なかにて我われに悖もとりイスラエルの子孫ひと〴〵の中うちに我われの聖󠄃きよきことを顯あらはさざりしが故ゆゑなり 52 然されども汝なんぢは我わがイスラエルの子孫ひと〴〵に與あたふる地ちを汝なんぢの前󠄃まへに觀みわたすことを得えん但たゞしその地ちには汝なんぢいることを得えじ
 389㌻ 

第33章

1 神かみの人ひとモーセその死しぬる前󠄃まへにイスラエルの子孫ひと〴〵を祝しゆくせりその祝しゆくせし言ことばは是かくのごとし云いはく 2 ヱホバ、シナイより來きたりセイルより彼かれらにむかひて昇のぼりバランの山やまより光明ひかりを發はなちて出いで千萬ちよろずの聖󠄃者きよきものの中間なかよりして格いたりたまへりその右みぎの手てには輝かがやける火ひありき 3 ヱホバは民たみを愛あいしたまふ其その聖󠄃者きよきものは皆みなその手てにあり皆みなその足下あしもとに坐すわりその言ことばによりて起󠄃たちあがる 4 モーセわれらに律法おきてを命めいぜり是これはヤコブの會衆くわいしうの產業もちものたり 5 民たみの首領かしら等たちイスラエルの諸すべての支󠄂派󠄄わかれあひ集あつまれる時ときに彼かれはヱシユルンの中うちに王わうたりき 6 ルベンは生いきん死しにはせじ然されどその人ひと數󠄄かずは寡少すくなくならん 7 ユダにつきては斯かくいふヱホバよユダの聲こゑを聽ききこれをその民たみに引ひきかへしたまへ彼かれはその手てをもて己おのれのために戰たゝかはん願ねがはくは汝なんぢこれを助たすけてその敵てきにあたらしめたまへ 8 レビについては言いふ汝なんぢのトンミムとウリムは汝なんぢの聖󠄃きよき人ひとに歸きす汝なんぢかつてマツサにて彼かれを試こゝろみメリバの水みづの邊󠄎ほとりにてかれと爭あらそへり 9 彼かれはその父󠄃ちちまたはその母はゝにつきて言いへり我われはこれを見みずと又󠄂また彼かれは自己おのれの兄弟きやうだいを認󠄃みとめずまた自己おのれの子等こどもを顧󠄃かへりみざりき是こはなんぢの言ことばに遵󠄅したがひ汝なんぢの契󠄅約けいやくを守まもりてなり 10 彼かれらは汝なんぢの式例さだめをヤコブに敎をしへ汝なんぢの律法おきてをイスラエルに敎をしへ又󠄂また香かうを汝なんぢの鼻はなの前󠄃まへにそなへ燔祭はんさいを汝なんぢの壇だんの上うへにささぐ 11 ヱホバよ彼かれの所󠄃有󠄃もちものを祝しゆくし彼かれが手ての作爲わざを悅よろこびて納󠄃いれたまへ又󠄂また起󠄃たちてこれに逆󠄃さからふ者ものとこれを惡にくむ者ものとの腰󠄃こしを摧くだきて復また起󠄃たちあがることあたはざらしめたまへ 12 ベニヤミンについては言いふヱホバの愛あいする者もの安然やすらかにヱホバとともにあり日々ひびにその庇護まもりをかうむりてその肩󠄃かたの間あひだに居をらん〘297㌻〙 13 ヨセフについては言いふ願ねがはくはその地ちヱホバの祝福めぐみをかうむらんことを即すなはち天てんの寳物たからものなる露つゆ淵わだの底そこなる水みづ 14 日ひによりて產さんする寳物たからもの月󠄃つきによりて生しやうずる寳物たからもの
 390㌻ 
15 古ふるき山やまの嶺いただきの寳物たからもの老おいたる嶽をかの寳物たからもの 16 地ちの寳物たからもの地ちの中うちの產物さんぶつおよび柴しばの中うちに居ゐたまひし者ものの恩惠めぐみなどヨセフの首かうべに臨のぞみその兄弟きやうだいと別べつになりたる者ものの頂いたゞきに降󠄄くだらん 17 彼かれの牛うしの首出うひごはその身みに榮光さかえありてその角つのは兕のうしの角つののごとく之これをもて國々くに〴〵の民たみを衝つきたふして直ただちに地ちの四方よもの極はてにまで至いたる是これはエフライムの萬々まんまん是これはマナセの千々せんせんなり 18 ゼブルンについては言いふゼブルンよ汝なんぢは外そとに出いでて快樂たのしみを得えよイツサカルよ汝なんぢは家いへに居をりて快樂たのしみを得えよ 19 彼かれらは國々くに〴〵の民たみを山やまに招まねき其處そこにて義ぎの犧牲いけにへを献さゝげん又󠄂また海うみの中なかに盈みてる物ものを得えて食󠄃くらひ沙すなの中なかに藏かくれたる物ものを得えて食󠄃くらはん 20 ガドについては言いふガドをして大おほいならしむる者ものは讃ほむべき哉かなガドは獅子ししのごとくに伏ふし腕うでと首かしらの頂いたゞきとを掻かき裂さかん 21 彼かれは初はつ穗ほの地ちを自己おのれのために選󠄄えらべり其處そこには大たい將しやうの分󠄃ぶんもこもれり彼かれは民たみの首領かしら等たちとともに至いたりイスラエルとともにヱホバの公󠄃義ただしきと審判󠄄さばきとをなこなへり 22 ダンについては言いふダンは小獅子こじしのごとくバシヤンより跳をどり出いづ 23 ナフタリについては言いふナフタリよ汝なんぢは大おほいに福祉さいはひをかうむりヱホバの恩惠めぐみにうるほふて西にしと南みなみの部ぶを獲えん 24 アセルについては言いふアセルは他ほかの子等こらよりも幸福さいはひなりまた其その兄弟きやうだい等たちにこえて惠めぐまれその足あしを膏あぶらの中なかに浸󠄃ひたさん 25 汝なんぢの門閂かんのきは鐵くろがねのごとく銅あかがねのごとし汝なんぢの能力ちからは汝なんぢが日々ひびに需もとむるところに循したがはん 26 ヱシユルンよ全󠄃能ぜんのうの神かみのごとき者ものは外ほかに無なし是これは天てんに乘のりて汝なんぢを助たすけ雲くもに駕のりてその威󠄂光ゐくわうをあらはしたまふ 27 永久とこしなへに在います神かみは住󠄃所󠄃すみかなり下したには永遠󠄄とこしへの腕うであり敵人あたびとを汝なんぢの前󠄃まへより驅おひはらひて言いひたまふ滅ほろぼせよと 28 イスラエルは安然やすらかに住󠄃すみをりヤコブの泉いづみは穀こくと酒さけとの多おほき地ちに獨ひとり在あらんその天てんはまた露つゆをこれに降󠄄くだすべし 29 イスラエルよ汝なんぢは幸福さいはひなり誰たれか汝なんぢのごとくヱホバに救すくはれし民たみたらんヱホバは汝なんぢを護まもる楯たて汝なんぢの榮光さかえの劍つるぎなり汝なんぢの敵てきは汝なんぢに諂へつらひ服󠄃ふくせん汝なんぢはかれらの高處たかきところを踐ふまん
 391㌻ 

第34章

1 斯かくてモーセ、モアブの平󠄃野ひらのよりネボ山やまにのぼりヱリコに對たいするピスガの嶺いたゞきにいたりければヱホバ之これにギレアデの全󠄃地ぜんちをダンまで見しめし 2 ナフタリの全󠄃部ぜんぶエフライムとマナセの地ちおよびユダの全󠄃地ぜんちを西にしの海うみまで見しめし 3 南みなみの地ちと棕櫚しゆろの邑まちなるヱリコの谷たにの原はらをゾアルまで見しめしたまへり〘298㌻〙 4 而しかしてヱホバかれに言いひたまひけるは我わがアブラハム、イサク、ヤコブにむかひ之これを汝なんぢの子孫しそんにあたへんと言いひて誓ちかひたりし地ちは是これなり我われなんぢをして之これを汝なんぢの目めに觀みることを得えせしむ然されど汝なんぢは彼處かしこに濟わたりゆくことを得えずと 5 斯かくの如ごとくヱホバの僕しもべモーセはヱホバの言ことばの如ごとくモアブの地ちに死しねり 6 ヱホバ、ベテペオルに對たいするモアブの地ちの谷たににこれを葬はうむり給たまへり今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとなし 7 モーセはその死しにたる時とき百二十歳さいなりしがその目めは曚かすまずその氣き力りよくは衰󠄄おとろへざりき 8 イスラエルの子孫ひと〴〵モアブの地ちにおいて三十日にちのあひだモーセのために哭泣なげきをなしけるがモーセのために哭なき哀かなしむ日ひつひに滿みてり

9 ヌンの子こヨシユアは心こゝろに智慧󠄄ちゑの充みてる者ものなりモーセその手てをこれが上うへに按おきたるによりて然しかるなりイスラエルの子孫ひと〴〵は之これに聽きゝしたがひヱホバのモーセに命めいじたまひし如ごとくおこなへり 10 イスラエルの中うちにはこの後のちモーセのごとき預言者よげんしやおこらざりきモーセはヱホバが面かほを對あはせて知しりたまへる者ものなりき 11 即すなはちヱホバ、エジプトの地ちにおいてかれをパロとその臣下しんかとその全󠄃地ぜんちとにつかはして諸々もろ〳〵の徴證しるしと奇蹟ふしぎを行おこなはせたまへり 12 またイスラエルの一切すべての人ひとの目めの前󠄃まへにてモーセその大おほいなる能力ちからをあらはし大おほいなる畏おそるべき事ことを行おこなへり〘299㌻〙
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